増える暴走自転車。現役警官に聞いた「自転車取り締まり」のウラ話

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前回「歩行者に「チリンチリン」が罰金に。自転車で損する改正「道交法」」という記事で、2015年の道交法の改正により「こんなことまで?」と思うようなことが自転車の「危険項目」として罰金の対象になっていることをお伝えしました。第2弾となる今回は、警察の現役巡査部長へ「自転車の取り締まり」に関する裏話などのインタビューを行った、メルマガ『ジャンクハンター吉田の疑問だらけの道路交通法』の著者で交通ジャーナリストの吉田武さんが、自転車の取り締まりに対する警察の本音を聞き出しています。

軽車両の自転車はどこまで車両や歩行者と共存できるのか? その2

前回に引き続き、無理やり感ある自転車における道路交通法ですが、吉田自身も納得いく部分といかない部分が多く混在してましたので、警視庁24時系の番組仕事で知り合った巡査部長Tさんから昨年冬にお話を伺い済みでもあり、そのやりとりを掲載していこうと思います。


吉田:年末放送向けの警視庁密着番組では大変お世話になりました(自転車の無謀運転事故過多に関するテレビ番組取材に同行させてもらえたこと等があり、色々面倒をみて頂いた)。今回は警察官の制服を脱いでのプライベートなお話として、いつかTさんからお伺いしたお話を、僕が毎週発行している交通関係メルマガで発表したいと思っております。当然、匿名にしますよ。

Tさん:吉田さんの誠実な取材等を見ていて、自転車乗りに対する安全意識をもっと高めたいという気持ちが感じられたので、今回協力させて頂いただけですから、私の意志も強いかもしれないです(笑)。

吉田:自転車事案はいつかメルマガで絶対にネタにしようと思ってました。僕はクルマを中心にした生活ですが、自転車に対して敵対心も特にないですし、むしろ自転車に乗っているサイクリストの方々に道路交通法をしっかり認知してもらえればという思いが特に強いだけなんです。

僕自身、一時停止を無視した自転車が飛び出してきて、こちらの車両横へ激突された……にも関わらず、僕の方へ一方的に過失が高まる「もらい事故」になったことがあるんですね。でも、僕はその自転車だけのせいではなく、もっと世間や警察がそんなサイクリストに対して注目注視して、自転車を運転する際も法規を守らないと、この国はおかしなサイクリストだらけになると思い、日本の道路交通法の善し悪しをジャーナリスト目線から追っていきたいだけなんです。そして、今回はTさんが数々の現場で体験してきた自転車事案のエピソード等のお話を伺えればと思ってます。もちろん名前の公表はしませんので好き勝手お話してくれて構いません。

Tさん:いやいや、吉田さんが必要としていることしかお話ししませんってば(笑)。それにしても、やっぱり自転車はクルマからしたら弱者ですから車両の横へ激突されてもクルマ側が悪くなる……これはどう考えても時代遅れだと思うんですね。私たち警察官の間でも自転車側の当たり屋案件にしか実は見てなかったりしてます。時折、自転車の取り締まりに関して署内で議論することもありますが、その論法は歩行者の次の弱者は自転車、という認識がいまだに根付いてます。そこで自転車も軽車両だからもうちょっと運転者に責任を感じさせるべきだとの議論もありますけど、児童や高齢者や身体障害者の運転はどうするんだとの議論にも発展して水掛け論になってますね。

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