夢を諦めない。自腹でロケットを作った零細企業社長の奮闘記

jog20170714
 

「宇宙開発」と聞くと、どうしてもNASAのような大きな機関をイメージしてしまいますが、北海道の富良野にある、従業員20名ほどの企業でも「ロケット開発」が行われていることをご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『Japan on the Globe-国際派日本人養成講座』では、北の大地でロケット開発に取り組む「植松電機」にスポットをあて、「夢を持つことの大切さ」について考察しています。

植松努~自前で挑む宇宙開発

北海道の富良野と言えば、美しいお花畑が連想されるが、その近くの工業団地で、社員20名ほどの小企業が自前でロケットの開発に取り組んでいる、と聞けば、「何を好きこのんで」と思うのが、普通だろう。

その企業、植松電機でリーダー役をしている植松努専務(昭和41年生まれ)は、ロケット開発の目的を「『どうせ無理という言葉をこの世からなくすため」と語っている。

北海道の片田舎の20人の極小企業でもロケット開発ができると実証すれば、都会にある、もっと大きな企業だったら、もっと何でもできる、と考えるだろう、というのである。

突拍子もない発想ですぐにはついていけないが、植松さんの身の上話を聞くと、なるほどな、と腑に落ちる。そして宇宙開発への挑戦ぶりを知れば、これこそ現代日本の閉塞状況を打ち破る発想ではないか、と思えてくる。

5年ほどでロケット打ち上げにこぎ着けた

植松電機の本業は、パワーショベルの先端につけて、産業廃棄物から鉄を取り出すマグネットの製造、販売である。競合製品が存在しないので、ほぼ100%のシェアを持っている、という。そして、そこから得た利益を、ロケット開発につぎ込んでいる

平成16(2004)年、独自の方式でロケットを開発している北海道大学大学院の永田晴紀教授と出会った。翌年、永田教授を全面支援する形で、共同研究を開始。

平成19(2007)年には全長5mのロケットを打ち上げ、高度3,500mに到達。翌年には1年で18機も打ち上げた。今まで約5億円を使ったが、すべて植松電機の自腹で国からの補助金はいっさい貰っていない

永田教授の開発しているロケットの長所は、固体のポリエチレンを使うので、液体燃料よりもはるかに安全で、装置も簡単なこと。小型で安価なロケットを作れるので、電子化されてどんどん小型になりつつある人工衛星を効率よく打ち上げることができる

そんな夢が実現するのは、まだまだ先のことだろう。しかし、それでも植松さんは挑戦している。「どうせ無理」という言葉をこの世からなくすために。

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