安保法案成立後、最悪のシナリオは「米国が北朝鮮に先制攻撃」

 

米韓合同軍事演習の真っただ中にあった2009年4月に北朝鮮が人工衛星と称する「光明星」を長距離ロケットを発射しようとした時、ゲーツ米国防長官(当時)が「発射すれば、迎撃も辞さない」と警告したのに対して人民軍参謀部が「(米国が)迎撃行動をとれば、迎撃手段だけでなく、本拠地にも報復打撃を開始する」との声明を出し、平壌の管制総合指揮所で父親の金正日総書記と共に発射を参観した金第一書記は「米国のイージス艦に迎撃されたら米国のイージス艦を、日本の艦船にやられたら日本の艦船を直ちに攻撃せよ」と報復を示唆していた。

朝鮮は2009年のテポドン発射の後に訪朝した米高官に対して「迎撃されれば、日米のイージス艦を撃沈する態勢にあった」と伝えていた。実際に金正恩氏の29歳の誕生日にあたる2012年1月8日に放映された金正恩活動記録映画をみると、金正恩氏は2009年4月5日のミサイル発射を金正日総書記と共に平壌の管制総合指揮所で参観していたことが判明している。問題は映画のナレーションで、なんと「仮に迎撃された場合、戦争する決意であった」との金第一書記(当時党中央軍事委員会副委員長)の言葉が流れていた。

当時、北朝鮮が攻撃手段の一環として特攻隊を編成し、スタンバイさせていたことが今年3月に金第一書記が航空部隊を視察した際に朝鮮中央通信が「(2009年4月の)光明星2号(テポドン)の発射の成功を保障するため作戦に参加し、偉勲を発揮した14人の戦闘飛行士らの偉勲を称えた記念碑の前で記念写真を撮った」と報道したことで判明した。

偉勲を称えられた14人は「党の命令貫徹のため死を覚悟し、決死戦に出て、肉弾自爆する」空軍パイロットのことであり、「肉弾自爆」とはまさに日本で言うところの「特攻隊」を指す。

安倍政権は、日本が米軍に協力しても戦争に巻きこまれることはない、むしろ抑止になると国民に説明しているが、こと朝鮮半島有事では米国の「番犬」となれば、100%戦争に巻きこまれることになるだろう。

image by: Shutterstock

 

『辺真一のマル秘レポート』

著者/辺真一
1947年東京生まれ、明治学院大学英文科卒業後、新聞記者(10年)を経て、フリージャーナリストへ。朝鮮半島問題専門誌「コリア・レポート」創刊、現編集長。毎回驚きの真実をリークするメルマガは人気を集めている。
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