その小学一年生はなぜジャングルジムの1段目も登れなかったのか

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「リスクを避け続ける」と、最もリスクが高い結果を招きます。小さな諍いの積み重ねが、大きなトラブル解決の力を与えてくれます。自転車に乗るため練習で転びまくると、すいすい乗れるようになるのです。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者の松尾英明さんが、「たくましい子に育てるためには、かわいい子には小さなけがをさせよ」と解説しています。

かわいい子にはけがもさせよ。一年生を見ていての気付き

十年以上前に、衝撃的な一年生に会った。ジャングルジムの一段目に上れない子どもである。

なぜなのか。理由は明確であった。

この子どもは、両親が働いていて、ずっと祖母が面倒を見ていたという。祖母という立場は、大事な孫を親の代わりに預かっている以上「絶対ケガをさせないように」ということを考える。

どうしたか。一切外で遊ばせなかったのである。室内でも、一切の危険から遠ざけて育てた。よって、守られている限り、一切のケガをしなかった。

その代償として、一切の危険から身を守る術を奪われていた。その子どもにとって、ジャングルジムの一段目から落ちることは、未知のとてつもない恐怖である。バランスを崩して、頭を打ち付ける可能性がある。その子どもにとっては、外を走り回ることも、転んで顔面に大ケガをするというリスクを背負う行為である。

いつも言っているが、リスクを避けて行動し続けないことが、最もリスクが高い結果を招く

小さなケガの積み重ねが、大きなケガを防いでくれる。自転車に乗るために練習で転びまくるから、すいすい乗れるようになるし、スピードが出ている時にも上手に転べるようになる。

小さな諍いの積み重ねが、大きなトラブルを解決する力を与えてくれる。小さな嫌なことやけんか、いじめのような体験を通して、克服している経験が、大きなけんかや、陰湿ないじめをも解決する力を与えてくれる。

グラウンドで動き回る一年生を見ていると、よくぶつかる。走りながら、前を見ていないのである。しかし、同じ広さのグラウンドでも、二年生になると、よけるよける。慣れているのである。転び方もうまくなっている。ここまで、しっかりぶつかって転んできている成果である。

保健室には迷惑をかけることを、予めお詫びしておく。少しの間、小さなケガで多めに来ることをお願いしておく。それが、将来の大きなケガを防ぐからである。

小さなケガやトラブルを経験させておく。大人が先回りして解決しすぎない。かわいい子には小さなけがをさせよ。変化の多いこの世の中を生き抜ける、たくましい子どもを育てたい。

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