日本はトランプ大統領のATMか。米朝会談後に日本が命じられること

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2002年にウラン濃縮施設があるとわかったことで、イランが核兵器を持たないよう欧米諸国などが長年交渉と圧力をかけ続けて2015年に合意した、いわゆる「イラン核合意」。米トランプ大統領は9日、ここから離脱する考えを明らかにし、中東情勢にふたたび緊張が走っています。米国がとったイランを敵視するイスラエル寄りの姿勢に、欧州やロシアなどからも批判の声が挙がり、米朝首脳会談をひかえた今、世界情勢や日本の立ち位置も大きく変わろうとしています。メルマガ『国際戦略コラム有料版』の著者・津田慶治さんは、自身のメルマガ最新号で「離脱後」の世界と日本の行く末について厳しい見方を示しています。

米国の「イラン核合意」離脱で世界は、日本はどうなる?

米トランプ大統領は、イラン核合意から離脱してイラン制裁を開始した。この影響で原油は1バーレル70ドル台まで上昇した。中東での紛争、米朝首脳会談などとともに今後を検討しよう。

0. イラン核合意離脱

トランプ大統領は、イラン核合意が片落ちであり、イスラエルの調査で見るような、秘密裡にイランは核開発しているとみているようだ。核合意では、ミサイル開発を縛っていないので、核ミサイルの完成に向けて研究していることになる。

米国はイラン核合意から離脱して、イランに経済制裁をする方向である。この米国の政策で、原油価格がバーレル70ドル台に上昇して、バンカメは、1年後には原油価格は100ドルになると予測。

イランの原油を買えるのは、世界最大輸入国・中国になり、人民元建てで原油を買える可能性が出てきた。何か米国と中国が裏で取引をしているような雰囲気も感じるし、北朝鮮への核合意に向けたメッセージにもなっている。トランプ大統領の取引外交のカードの1つになっているようだ。そして、中間選挙に向けて、中東戦争(アルマゲドン)を望む米キリスト教福音派から熱狂的な支持を得られる。

1. イスラエルのイラン軍攻撃

イスラエルは、米国の核合意離脱後すぐに、シリアにあるイラン軍基地を空爆し始めた。ロシア製s300対空防御システムをすり抜けて、ミサイルが着弾しているし、イラン軍は着弾まで気が付いていない。

そして、モスクワでのネタニエフ首相とプーチン大統領の首脳会談でもプーチン大統領は、イラン軍攻撃を非難していないし、イラン・イスラエルの戦闘を容認しているようである。

その代わりにロシア軍、ロシア民間人の被害は出さないよう攻撃目標の事前通知を依頼している。イスラエルも、シリア内にあるイラン軍基地への攻撃をロシアに事前通知をしている。

一方、イラン軍は、ロケット弾をゴラン高原のイスラエル基地に報復攻撃をしている。徐々に、相互の報復攻撃が続き、その規模も拡大していくようだ。

というように、イスラエルとイランの戦闘がシリアで開始した。中東大戦争への一歩が進み始めている。今のところ、ロシアは静観になっている。イランとロシアには、大きな相互利益の関係がない。しかし、中国とイランは、石油取引という相互利益の関係が成り立つ。中国が中東に出てくると、難しくなるような気がする。逆に、中国が中東方向に関心が行くと東アジアは当分、平穏になる。

トランプ大統領の福音派に向けた中間選挙対策が、世界を激動の時代にしてしまうことになる。それを止めることがメルケル独首相にもマクロン仏大統領にもできない。

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