【VAIOスマホ発表】XperiaとVAIOの仁義なき戦いとなるか?

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日本通信とVAIOが2015年1月に「VAIOスマホ」を投入へ
競合ではなく、Xperiaとの棲み分けを狙ったのか

石川 温の「スマホ業界新聞」2014年12月27日号

日本通信とVAIOは、モバイル機器に関して協業すると明らかにした。これにより、2015年1月にも、VAIOブランドのスマートフォンを日本市場に投入する準備を進めているという。

日本通信と言えば、日本にMVNOという市場を作り上げてきたパイオニアと言える。NTTドコモとケンカ腰で戦ってきたこともあり、敵も多いが、MVNO市場を根付かせようと尽力してきた姿勢は評価できる。

一方、VAIOはソニーにおけるPC部門の不振により、2014年7月1日にソニーから独立。「本質+α」「選択と集中」をキーワードに、長野県・安曇野で製品設計や品質管理を行い、高品質なパソコンブランドとして再生しようとしている。

今回、日経新聞がスクープし、その後、両社から正式発表があったが、タイミングから見て、どちらかが日経新聞にリークをして、記事化されたのだろう。

早ければ1月にも新製品が登場するとアナウンスされているだけに、いまから待ち遠しい限りと言える。

新製品はAndroidスマートフォンになるというのが有力だ。VAIOという会社組織ができて、まだ半年しか経過していない。Androidであれば、中国や台湾などODMメーカー、EMSメーカーも多いことから、製造は彼らに行わせて、まずはVAIOブランドだけをつけるというかたちになるのだろう。将来的には、VAIOが企画、デザインを行ったモデルが登場する可能性もある。

この報道を受けて、多くのメディアが「ソニー・Xperiaと競合する」と伝えている。

おそらく、ここからは推測となるが、ソニーとVAIOとしては競合になるというよりも「棲み分け」を狙ってくるのではないか。

格安スマホ市場が伸びてくる中、ソニーとしても、SIMフリーで安価なXperiaを出すというのはあまり現実的ではない。Xperiaの事業を立て直す中で、プレミアムな路線を目指しているだけに、2~3万円程度の値付けになる格安スマホでは、あまりに商品のイメージとは合致しない。

Xperiaは、Androidのなかでも最高峰のブランドと位置づけられており、キャリアからも重宝がられているブランドだ。
格安スマホ市場が伸びているからと言って、NTTドコモ、KDDI、さらにはソフトバンクを敵に回してまでも、XperiaブランドでSIMフリー版を投入し、格安スマホ市場に挑戦するというのはあまりにリスキーだ。

それならば、キャリアから距離のあるVAIOという会社を使い、VAIOブランドを使って格安スマホ市場に出て行った方が堅実だ。

ソニーの4Kやハイレゾオーディオなどの技術はXperiaに惜しげもなく投入し、VAIOはパソコンのように、ソニーの技術と言うよりも、安く、手軽な価格で売っていく。

まさに、ソニーグループとしても、メガキャリアとLCC向けの商品ラインナップとして、XpeiaとVAIOを棲み分けるというのは理にかなった戦略と言えるだろう。

将来的に、VAIOのノートパソコンでも日本通信のSIMカードが刺さる可能性もあるかも知れない。しかし、ノートパソコンで通信を行うには、いまのMVNOの料金体系は決して安いとは言えず、あまりユーザーには優しくないだろう。
そういった点であれば、MVNOと組むよりも、使い放題でネットワークが使えるUQコミュニケーションズのほうが相性が良いのではないだろうか。

いずれにしても、パソコンもスマホもVAIOが通信モジュールを搭載できることになったことで、新たな可能性が出てきたと言えるだろう。

石川 温の「スマホ業界新聞」2014年12月27日号

著者/石川 温(ケータイ/スマートフォンジャーナリスト)
1999年に日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。現在は国内キャリアやメーカーだけでなく、Googleやアップル、海外メーカーなども取材する。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。新聞、雑誌だけでなく、テレビやラジオでもコメント出演をこなす。
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