【白神山地】落葉樹林帯の秘密 森が語りかける声を聞く

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『「ファイブエル(5L)」vol.2 にっぽん日和 秋田県 白神山地』より

白神山地の全体の面積は、秋田・青森県あわせて約13万ha。このうち人為的な影響をほとんど受けていない原生的なブナ林16,971haが、世界自然遺産に登録されています。

かつての鉱山跡地、太良峡(だいらきょう)の紅葉。ブナや秋田杉など樹種も豊富で、四季を通じて自然美が楽しめる。

かつての鉱山跡地、太良峡(だいらきょう)の紅葉。ブナや秋田杉など樹種も豊富で、四季を通じて自然美が楽しめる。

落葉樹林帯の秘密
森が語りかける声を聞け

白神山地には、約3000万年前の植生に近い、豊かなブナ林が残されています。自然の神秘を体感できる希少な森を、山のプロに案内していただきました。

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白神山地は東アジアで最大規模のブナ林です。日本のブナ林の多くは伐採されて、スギなどの人工林となりましたが、人の影響を受けずに大規模なブナの原生林が保たれたのが白神山地。それが1993年、屋久島と共に、日本で初めてユネスコ世界自然遺産に登録された理由です。

なぜブナの原生林が貴重なのか。ガイドをしてくださった白神自然アドバイザーの斎藤栄作美さんが教えてくれます。

「スギは自分が葉を伸ばした下にしか、根を張ることができません。だから地面を抑えることができません。一方ブナ林のような落葉樹林帯は、葉・花・実など、森の生物が食べるものの生産者であり、その腐葉土の中の微生物は、森の果実の分解者です。腐葉土で濾過された水は渓流となって、魚を育みます。そのような循環が、落葉樹林帯にはあるんです」

さらに紅葉を楽しませてくれるのも、落葉樹林帯の恵みです。

「今年は台風の直撃を受けず、虫の大発生もなかった。去年はブナの実が大豊作だったので今年は山がゆっくり休める年。こいつら(森)は『いい年だな』と、ものすごく喜んでいると思うんです。だから紅葉も、数十年に一度と言えるくらい美しいんです」と斎藤さん。

森の声を聞く秘訣は、四季それぞれに10日間くらい山を訪ねて、「歩いて食べて泊まる」を体感することだそうです。

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山は生きている

「『おめえの生きる道は山だ。だから学校なんか行かなくてもいい』と親父に言われましてね」と語る白神自然アドバイザーの斎藤栄作美さん。名刺には秋田白神ガイド協会会長、日本自然保護協会会員、白神世界遺産巡視員……とずらり。数多くの山岳ガイドがいる中でも、ピカ一の知識を持つ「山の博士」です。上の写真は「ブナの木の幹には、雨水を集める『樹幹流』があり、これは雨のときにしか見られない」と説明する斎藤さん。「どんな山でもひと目で性質がわかるし、迷わない」という言葉に感服しました。

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ほぼ毎日、山へ入るという斎藤さん。味噌汁を作りながら、山の恵みをいただく意味を教えてくれます。

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岳岱(だけだい)自然観察教育林でお弁当をいただきました。味噌汁の具は舞茸と山菜(水ぶき)でした。

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白神山地世界遺産センター藤里館を拠点に、ガイドや遭難捜索副隊長も務める斎藤さん。プロの道具が揃っています。

≪続きはこちらからお楽しみください≫

カメラ/渡邊春信 ライター/岩熊純子 デザイン/北川原由貴 プロダクションマネージャー/池田大作 スペシャルサンクス/あきた白神広域観光推進会議

元吉本興業常務・木村政雄編集長メルマガ「ファイブエル(5L)」2014/12/19 号
木村政雄編集長が著名人のホンネに迫る「スペシャル対談」、地域特集「にっぽん日和」・室井佑月「連載コラム」など、大人のためのエンターテイメント情報をお届けします。
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