【やっぱり必要】海外旅行保険をケチると超高額医療費が待っている

新婚旅行にパスポート
 

フランス人の彼氏が海外旅行保険に入りたくないと言ってます。私が大げさなのでしょうか?

 

Question

shitumon明日から仏人彼と2ヶ月メキシコにバカンスしにいきます。そのための海外保険は高すぎて入りたくないとキレてます。14,000円です。

私が払うと言っても、バカか?みたいな感じで相手にされません。私が保険ホリックなのですか?

 

 

谷本真由美の回答

単刀直入にいいます。あなた様は保険ホリックでも何でもありません。

ごく正常な感覚の持ち主です。そんなバカ彼氏とは明日にでも別れましょう(笑)。ロマンチックが止まらないフランス人だろうが、オスカル並みのイケメンだろうが関係ありません。

どこの国でも旅行者は医療費が無料ではありません。その国の国民健康保険や民間医療保険には入れない、もしくは加入していないからです。従って、事故や病気の場合に治療を受けると全額自費の高額な費用を請求されます。

その代表はアメリカです。例えば、日本では40万円程度の盲腸の手術で200万円超かかります。日本であれば高額医療費の還付や、共済保険や民間の傷害保険に入ってあればさらに還付があるわけですが、アメリカで旅行者として治療した場合は全額自己負担です。旅行者として全額自己負担でカナダとイギリスで手術をすると170万円、フランスで86万円、オーストラリアで100万円です。

<参考>
海外の国別医療費

アメリカで生活している人は職場がかけている民間の医療保険や、自分で加入している民間医療保険に入っているので、治療費がそこから支払われるので全額自己負担ではありません。低所得者には公的な保険や扶助があります。しかし旅行者はどんなに泣こうがお金がかろうが、旅行保険がなければ全額自費になってしまいます。

イギリスを始めとする欧州の国の場合は、旅行者であっても緊急治療に限って無料になる場合もあります。しかし長期治療が必要な場合などは自己負担での治療になってしまいます。

日本の健康保険を使って治療するという方法もあります。加入している健康保険で「海外療養費」を申請できることがあります。海外で受けた治療を日本での治療に置き換えて、日本でいくらかかるか計算します。そして計算した費用と、海外で実際に払った費用を比較し、どちらか低い方の約7割の金額が払い戻されます。払い戻しには海外で治療を受けた際の領収書、診療内容明細書、領収明細書が必要です。しかし差額ベッド代などはカバーされませんし、最初は全額自己負担で支払わなければなりません。払い戻しを受けるまでに申請後二ヶ月ほどかかってしまいます。

<参考>
けんぽれん 海外療養費

海外療養費とは

ちなみにメキシコの場合、公立病院の医療レベルは劣悪なので外国人の多くは市立病院の治療を受けることになりますが、医療費は高額です。外務省によりますと、診察が1万円(検査・薬代は別会計)、血糖検査1,500円、腹部超音波検査2万5千円、胸部X線検査4千円、MRI検査9万円、上部消化管内視鏡検査10万円などで、入院の室料は1泊1万円から8万円程度です。

国民皆保険で自己負担が1割から3割の日本の感覚からすると、自己負担額が随分高いな、という感じがしますが、これ、アメリカとカナダの基準では安いです。イギリスの全額自己負担の市立病院の費用と比べた場合、半額から3分の1ぐらいの値段です。

外務省によると、メキシコの私立病院に下痢・嘔吐による脱水で入院した乳児が血液検査・抗生物質を含む点滴を受けて3日間の入院で25万円程度の費用がかかります。救急外来受診も入院にも前払い金が必要で、払えない場合は診療拒否です。酷いなあという感じがしますが、前払い金を払えという国は少なくありません。治療を受けてから逃げる人がいるからです。

なおワタクシはテキサスに住んでいましたので、メキシコに何度も行っていますが、個人的にはメキシコは旅行先としてリスクの高い国です。海外旅行初心者にお勧めする国ではありません。

まず、メキシコではエボラ出血熱などの病気に罹患する可能性は低いですが、テング熱やマラリアなどの感染症は少なくありませんし、マイナーな胃腸系のトラブルが少なくありません。現地の水に慣れていない外国人は胃腸炎や下痢の洗礼を受けることがあります。ワタクシも被害者で、ヌエボ・レオンからメキシコシティに車で移動中のその「洗礼」を受け、泣きながらサボテンの広がる原野で用事を済ましたのでした。(何度もです、はい)

また治安も決して良いとはいえません。安全な場所もありますが相当注意が必要な所も多く、強盗殺人など荒っぽい犯罪も少なくありません。リゾート地は比較的安全ですが、それでも事故に遭わない保障はありませんし、日本やフランスなどの先進国に比べると遥かに危険です。特に危険なのはチアパス州や、麻薬取引を牛耳るマフィアが多い地域で、市街地で銃撃戦があったりします。

ワタクシがメキシコシティに滞在していた時、中流階級の友人は車で移動する際に、夜は信号で絶対に止まりませんでした。止まると強盗に襲われる可能性があるからです。基本的に外出は車で、中流以上がいくショッピングモールやレストランにしか行きません。ワタクシはバスや地下鉄でも移動しましたが、地下鉄ではいきなり鞄をむしり取られそうになったりするという強盗未遂に2回も遭遇しました(幸い被害なし)

2カ月で14,000円という海外旅行保険は、正直言って、保険としては大変お得な値段です。どの程度のカバーかは不明ですが、2~3回程度の飲み代で莫大な入院費用や治療費が保障されると思えば安いものです。海外旅行保険は治療費の自己負担がゼロだったりしますし、入院費用も出ます。緊急の場合は日本への帰国費用や日本からの救援者の渡航費用まででるのです。提携病院ならキャッシュレスでの治療が可能です。盗難の場合、免責費用を数千円払えば数万円の保障があったりしますので大変お得な商品なのです。

ちなみに昔はバックパッカーの中には、海外旅行保険をかけておいて、ちょっと具合が悪くなったら現地で病院にいって入院してしまう、という人もおりました。海外の設備や食事の素晴らしい病院に入院する方が、安宿に泊まるよりも快適な上、無料だからです。発展途上国には外国人向けの豪華な私立病院があるので、日本の病院よりも高度な治療を受けることが可能だったりします。医師の多くは先進国で教育を受けていて、英語でのコミュニケーションが可能なので治療も入院も問題がありません。

質問者様の彼氏様が「マトモ」な人間であれば、大事な彼女のために現地のリスクを調べ、リスクが高い場所なのであれば保障金額の高い保険を大喜びで支払うでしょう。たった2~3回(場所によっては1回)の飲み代程度の保険代を「高い」とケチる上、あなたをアホウだと呼ぶ彼氏様は、恐らくあなたに対して愛情などないか、単なるDQNです。つまりダメンズですね。

バカンスに行くには、あなた様は自分だけにこっそりと保険をかけるべきです。そして、バカンスから返って来たらさっさと別れましょう。そんなダメンズと一緒にいたらあなたの人生は台無しになるし、いずれ何らかのトラブルに巻き込まれて酷い目にあうことが目に見えているからです。

 

『谷本真由美(@May_Roma)の「週刊めいろま」』

著者/谷本真由美

谷本真由美米国シラキュース大学で情報管理学修士、国際関係論修士を取得。その後、ITベンチャーなどを経てロンドン在住。
『谷本真由美(@May_Roma)の「週刊めいろま」』では@May_RomaとしてTwitterで舌鋒をふるメイロマが、世界中の時事問題に突っ込む!

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