ワクチンさえ完成すればコロナは終息するとの見方もありましたが、楽観的すぎたようです。接種率にバラツキがあり、世界でもっとも先行接種が始まった英国でも14%、米国は9.4%といったところ。上昇を続けてきた株式市場にも暗雲が立ちこめます。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2021年2月5日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
ワクチン接種率に大きなバラツキ
米国をはじめ欧州各国では、年明けから新型コロナワクチンの接種が始まっています。しかし、その供給はどこもうまくいっていないのが実情のようです。
接種率にはやはりバラツキがあり、今年に入ってからようやく年内に1億4,000万本の供給契約をファイザーと行った日本政府のように間抜けな話ではないものの、かなり早期から製薬会社と交渉をしてきたEU圏の接種率が低いことが目立ちます。
国・地域別のワクチン接種率はイスラエルが55%、世界でもっとも先行接種が始まった英国でも14%、米国は9.4%といったところ。
それに対してEUは2.8%に留まっており、国民の3割以上が接種できたのは、EU圏ではルーマニアとマルタのみというかなりお粗末な状況になっていることが見えてきています(※編注:原稿執筆時点2021年2月4日)。
※参考:More Than 119 Million Shots Given: Covid-19 Vaccine Tracker
ロックダウン継続も困難になってきた
とりわけEU圏は、非常に厳しいロックダウンを各国の国民に強いてきました。
とにかく「ワクチン接種までの我慢」と言い聞かされてきた国民が怒りを感じるのは自然な流れでしょう。
ロックダウンの継続がままならない状況にまで陥るという、深刻な事態も顕在化しつつあるようです。
Next: 「ワクチン接種さえすればコロナ終息」という考えは甘すぎる
「ワクチン接種さえすればコロナ終息」という考えは甘すぎる
米国ハリウッドのスパイ映画などでは、生物化学兵器が作られて悪者が世界にバラまこうとしても、とにかくそれを阻止しようとした正義の見方がまかり間違ってそうした薬を打たれてしまっても、解毒薬をすぐに注射すれば事なきをえる……といった楽観的なストーリーが多く存在します。
しかし、現実はそううまくは行かないもの。実際のウイルスのワクチンの場合、かつてのSARSにしてもHIVにしても、一定の抑止効果はあっても100%感染を終息させられるものなど世の中に出回ったことはないのが実情です。
「ワクチンは万能」という発想が、かなりの空想かつ希望的観測に基づくものであることを改めて感じさせられる状況です。
世界経済のさらなる悪化は覚悟すべき
日本でも合理的な理由もなく非常事態宣言が1か月延期となり、さらに3月7日に解禁されるかどうかもよくわからない状況に陥っています。
今年の経済は各国ともにそう簡単に回復するとは思えない状況になってきており、とくに海外の第1四半期、本邦における2020年度の第4四半期については、劇的に悪化した経済数値が示現する危険性がかなり高くなっていることを感じます。
米国では、とにかくイエレン財務長官・パウエルFRB議長のMMTコンビ(一説にはマジカルミステリーツアーコンビとも呼ばれているようですが)が、爆発的な財政出動を金融緩和を継続する限り、株価は上昇軌道に乗ったまま上値を試す…という楽観的な見方が跡を絶ちません。
現実の経済がここまで悪化しているなかで、実態経済を一切無視して上昇し続けられるのかどうか。これには大きな疑問を感じるところです。
手痛い相場の下落が示現する可能性も、常に考えておく必要が出てきていることを痛感させられます。
Next: 相場急変に要警戒。世界はコロナ自然消滅を待つしかない
相場急変に要警戒
もちろん、ウイルス感染は一定の期間を経て自然消滅することもあり、どこかで終息するのでしょう。
しかし、春先までにその見通しが見えてくることなど、まったくなさそうです。あらためて、これが相場に深刻な影響を与えるリスクについて、想定しておく必要がありそうです。
相場はだいたいにおいて世間のマジョリティの発想とは異なるシナリオを考えておくことが重要で、まさにそれが足元の相場のように思えてなりません。
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『今市太郎の戦略的FX投資』(2021年2月5日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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