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米ドルは10年以内に基軸通貨の座から転落へ。ロシア制裁の裏で強烈に進む中国の通貨政策=今市太郎

ロシアが西側諸国のSWIFT制限制裁を受けているなかで、中国が独自の送金システムCIPSを提供することで、ロシアを助けようとしているのではないかという記事をすでにお送りしています。そして、この数週間で中国の通貨政策は驚くほど先に進みました。ややもすれば10年しないうちに、米国が基軸通貨の座を引きずり降ろされる可能性も出始めています。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

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サウジが示唆した人民元建て決済による原油輸出という驚愕の状況

まず驚かされたのが、サウジアラビアが人民元建てで原油輸出を決済することを検討しているという報道です。

米国の完全属国のような本邦の市場参加者は、「米国がすべて」という猛烈にバイアスのかかった思考で相場に向かっているようにも見えます。

しかし、全世界のうちの8割近くの国や人々は、別にすべての金融商品取引をドル建てにして行うことに決して満足していないのが現実。

冒頭のニュースから、ロシアがSWIFT決済から除外されたことを機に、別の通貨での商品決済を行う動きが出始めていることを如実に示す出来事が起きていることがわかります。

恐らく当面は、サウジから中国に輸出する原油を人民元で決済することからスタートするのでしょう。

そして、周辺の中東諸国・イラン・イラクなどが相次いでその動きに乗ることになれば、ロシアも人民元建てでこれから簡単にエネルギー輸出が可能になります。

そうなれば、原油がドル建てという長く守られた仕組みは完全に崩壊することになります。

ロシアと中国が「共通通貨」の発行を検討するというさらに驚く報道

先週末にヘッドラインが踊ったのが、ロシアが主導するユーラシア経済連合(EAEU)の加盟国は、中国とともに、自由な国際通貨・財政システムを構築するため「単一通貨」の導入プロジェクトを検討しているという報道でした。

もちろん、まだ検討段階ですが、たとえばデジタル人民元が先行ローンチし、それとペッグ制で一定価格で売買できる新たな地域流通ステーブルコインを開発すれば、ほぼ同一のシステムの中で売買が可能になるわけですから、こちらも相当早いタイミングで実施可能な内容と思われます。

西側主要国の中銀がぼんやりしているうちに、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の知見と統合的な仕組みをすっかり中国・ロシア勢にもっていかれる可能性も出てきています。

Next: ドルは基軸通貨の座から転げ落ちる?そうなれば米債の買い手も激減へ



米ドルが基軸通貨の座から転げ落ちれば米国債の買い手は激減へ

こうした仕組みができあがりますと、そもそも中国やロシアは外貨準備のために米国債などを買う必要がまったくなくなります。そうなれば、なんでも脅かされて買いまくる日本以外には大口需要者がほとんどいなくなる可能性もあります。

バイデン政権のバラまきでは、この先2024年までに連邦債務の合計が5,000兆円を超えると言われているだけに、「米ドルもいらないから米債も買いません!」と言う国がほとんどになった場合、債券価格と米ドル水準に重大が問題が発生する可能性もありそうです。

市場参加者はとにかくウクライナ情勢の変化に釘付けですが、実はその陰でとてつもないパラダイムシフトが進行中であることを忘れてはなりません。

10年もしないうちに米ドルは基軸通貨の座から転げ落ちる?

中国の通貨政策は、昨日今日の思い付きで動いているものではないことを、つくづく痛感させられる次第です。

将来的には米ドルが基軸通貨の座を追われる日がやってくるかもしれない、といった漠然的な不安を感じる市場参加者は多いと思いますが、これは10年かからずに現実のものになる可能性も想定しておく必要がありそうです。

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  • 3月18日ロンドンタイムショートコメント(3/18)
  • ウクライナ戦争の陰で強烈に進む中国の通貨政策~ このままでは米国の基軸通貨は10年持たない(3/18)
  • 3月17日ロンドンタイムショートコメント(3/17)
  • FOMCの陰に隠れた日銀政策決定会合~黒田総裁は円安をけん制するかに注目(3/17)
  • 3月16日ロンドンタイムショートコメント(3/16)
  • ウクライナ起因の食料危機を欧州はどう乗り切るつもりなのか(3/16)
  • 3月15日ロンドンタイムショートコメント(3/15)
  • ロシアの外貨建て債務は予想以上に小さい~デフォルトでも世界経済への影響は軽微か(3/15)
  • 3月14日ロンドンタイムショートコメント(3/14)
  • 3月第3週相場分析(3/14)
  • 3月11日ロンドンタイムショートコメント(3/11)
  • 北京パラ終了で習近平はどこと戦争するつもりで人民軍に戦争準備を命令するのか(3/11)
  • 3月15日あたりの謎のドル円、日経平均下落特異日に要注意(3/11)
  • 3月10日ロンドンタイムショートコメント(3/10)
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  • 米欧大国のご都合で消え去りそうなビットコイン(3/10)
  • 3月9日ロンドンタイムショートコメント(3/9)
  • ロシア制裁の裏で台頭する中国~金融市場ではドルが基軸通貨の座を失う可能性も(3/9)
  • 3月8日ロンドンタイムショートコメント(3/8)
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  • 3月7日ロンドンタイムショートコメント(3/7)
  • 3月第二週相場分析(3/7)
  • 3月4日ロンドンタイムショートコメント(3/4)
  • プーチン正気か?欧州最大の原発崩壊ならば欧州大陸全般が崩壊滅亡の危機(3/4)
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  • 3月3日ロンドンタイムショートコメント(3/3)
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  • 3月2日ロンドンタイムショートコメント(3/2)
  • ウクライナの紛争が一定の終焉を迎えるまで新興国通貨は買わぬが正解(3/2)
  • 3月1日ロンドンタイムショートコメント(3/1)
  • 原油価格暴騰で国内実質インフレ率2%を超えると日銀は緩和措置を終了するのか(3/1)

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  • 2月28日ロンドンタイムショートコメント(2/28)
  • 2月最終週・3月第一週相場分析(2/28)
  • 2月25日ロンドンタイムショートコメント(2/25)
  • 豪ドルとNZドルのここからの動きについて(2/25)
  • 2月24日ロンドンタイムショートコメント(2/24)
  • ここからの米株の動きに注意~下落が加速すればまさかのFOMC利上げ延期も(2/24)
  • 市場は完全に日銀のマイナス金利巻き戻しを織り込み始めている(2/23)
  • 2月22日ロンドンタイムショートコメント(2/22)
  • 金融市場にとって足もとの別のリスクはロシアがウクライナ侵攻しないこと(2/22)
  • 2月第四週相場分析(2/21)
  • 2月18日ロンドンタイムショートコメント(2/18)
  • 日銀が突然始めた国債無制限買い入れ案の定応札なしで何の役にも立たず(2/18)
  • 2月17日ロンドンタイムショートコメント(2/17)
  • 低金利に慣れすぎた米国金融市場の利上げに対する過剰な反応が変!(2/17)
  • 2月16日ロンドンタイムショートコメント(2/16)
  • モデルナCEOが売り飛ばした保有自社株~これ明らかに何かのインサイダー確定(2/16)
  • 2月15日ロンドンタイムショートコメント(2/15)
  • 2月16日光明星節における北朝鮮の暴発に注意(2/15)
  • 2月14日ロンドンタイムショートコメント(2/14)
  • 2月第三週相場分析パート1(2/14)
  • 2月第三週相場分析パート2 ロンドンタイム編(2/13)
  • 2月11日ロンドンタイム休日特別版(2/11)
  • 日銀指値オペ実施を突然発表でドル円大幅上昇(2/11)
  • 2月10日ロンドンタイムショートコメント(2/10)
  • 米国1月度のCPIが発表されないとどうにも方向感がでない困った相場(2/10)
  • 2月9日ロンドンタイムショートコメント(2/9)
  • 米国の富裕層はすでに投資資金を市場から引き揚げ始めている(2/9)
  • 2月8日ロンドンタイムショートコメント(2/8)
  • 一段と近づくロシアのウクライナ侵攻 ルーブル暴落で為替はどうなるか(2/8)
  • 2月7日ロンドンタイムショートコメント(2/7)
  • 2月第2週相場分析(2/7)
  • 2月4日ロンドンタイムショートコメント(2/4)
  • 1月雇用統計の劇的悪化を必死に事前告知するホワイトハウスって一体・・(2/4)
  • 岸田首相がダボス会議のスピーチで口にしたグレートリセットに広がる憶測(2/3)
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  • 2月1日ロンドンタイムショートコメント(2/1)
  • バイデンが示唆するロシアのSWIFTからの締め出しで金融市場でも大戦争勃発か(2/1)

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今市太郎の戦略的FX投資』(2022年3月18日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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