FRBのブレイナード理事が「5月にも急速なペースでバランスシート縮小を開始する」と発言したことを受け、また一段の円安となりました。このまま、また125円台を超えるのかどうかに注目が集まります。過去40年のドル円の歴史を見ても、米国の景気が悪くなると、必ず円安を強要してきました。いつバイデン政権は円安に文句をつけてくるでしょうか。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
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いつバイデン政権は口を出してくるのか?
ブレイナード理事が「今年5月にもバランスシートを急速ペースで縮小開始」などと口走ったことから、ドル円はまたしても大きく値を上げる展開となりました。
このまま、また125円台を超えるのかどうかに注目が集まります。
過度な円安といいますと、2015年6月12日に日銀黒田総裁が円安けん制をしたのがちょうど135.860円レベルということで、この水準が非常に市場の関心を集めています。
ただよく考えますと、同年の5月に当時のオバマ大統領がG7の席上で「強いドルは問題」と発言したとフランスの当局者の話として報道されたのが発端でした。その後、米国政府がしきりに否定していたのも印象的です。
この話、どこからどこまでが本当なのかは、いまだによくわかりません。
いずれにしても「米国が円安に不快感を示したときが、ドル円上昇の天井」ということになりそうです。
足もとではウクライナの件で頭がいっぱいのバイデン政権が、いつ・どのようにして円安をけん制してくるのかが、非常に注目されるところとなってきています。
Next: 円安に難癖?日本はどこよりもバイデン政権が文句を言いやすい国
日本はどこよりもバイデン政権が文句を言いやすい国
一般的にはドル高ならば、輸入物価は抑制されます。ですから、足もとで加速するFRBのインフレ対策にも寄与しそうな話ではあります。
しかし米国は、オバマ政権時代からトランプ政権を経て、バイデン政権でとてつもない金額の連邦債務を抱えています。
21世紀のルーズベルトを気取っているバイデンが、ここからも猛然とバラまきを続ければ、2024年には日本円にして5,000兆円を超える債務総額になるとさえ予測されています。
それだけに、自国の通貨安を示現させれば債務は自然に減少することになり、好都合きわまりないものであることを忘れてはなりません。
とくに米国にとっては、日本はもっとも通貨の件で文句を言いやすい存在です。対ユーロではなく、対円でまず難癖をつけてくることになるのではないでしょうか。
政治的な動きで操作されてきた「ドル円」の歴史
となると、バイデン政権もどこかで「ドル安」を志向してくることはほぼ間違いなさそうです。
過去40年のドル円の歴史を見ても、米国の景気が悪くなると、必ず円安を強要してきました。このことからも、中間選挙前には何かしらの言いがかりをつけてくることになるのではないか、という観測も出始めています。
すでに株価は下がらないように「裏PPT」が暗躍しているようですから、為替に牽制の手が出てくるのも、意外に早くなるのかもしれません。
「1ドル=100円」以下に押し戻される可能性も?
実質実効レートで見た場合、1970年代初頭の305円を上回る円安になっているわけですから、100円以下に押し戻される可能性もあります。米国がけん制してくれば、日銀・財務省ともに動かざるをえなくなりそうです。
秋口になれば中間選挙対策は一層激しさを増しますから、その前に、何かホワイトハウス側から発言が飛んでくる可能性もあるでしょう。
日銀とFRBの政策差から考えれば130円、150円さえも十分にあり得そうな状況になってきていますが、突然、すさまじい要求を突きつけられることになることも想定しておくべき状況です。
Next: アメリカの「属国」であることに気づかされる日本の通貨政策
米国債務が増えると無理やり円高にさせられる日本
米国の債務が増えると通貨安を演出して借金を棒引きにするというのも、基軸通貨のドルの国だからできることです。
そのたびに無理やり円高にせざるをえない日本の通貨政策は実に哀れなものがあり、米国の属国であることを強く感じさせられるものがあります。
債券金利の上昇を食い止めることだけが仕事になりつつある日銀にも呆れますが、自国のご都合で突然ドル高も問題視し、周辺国に是正を迫る米国にも呆れるものがあります。
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『今市太郎の戦略的FX投資』(2022年4月6日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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