イエレン米財務長官が来日し、黒田東彦日銀総裁・鈴木俊一財務相とそれぞれ会談を行いました。結果的には、安定の「為替介入否定」発言が出たことから、いよいよドル円が上方向にぶちあがるタイミングが近づいたようです。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2022年7月14日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月分無料のお試し購読をどうぞ。
イエレン米財務長官が訪日、鈴木俊一財務相と会談
7月11日、予定を1日早めて前乗りし、安倍元首相の葬儀にも参列したイエレン財務長官は、12日に財務省内でおよそ1時間半に渡って鈴木俊一財務相と会談しています。
事前には日米で円安についてなんらかの制圧コメントが出るのではないか?という、まったく見当違いの期待も出回っていたようです。
結果的には、安定の「為替介入否定」発言が出たことから、いよいよドル円が上方向にぶちあがるタイミングが近づいたようです。
はなからイエレンは日米協調介入する意思などまったくないし、単独介入も許さない
もともとクリントン政権以来、日本の自民党政権大嫌いの伝統が培われている米国の民主党。バイデン政権でも、それに対するブレはまったくないようです。
会談後の声明では、為替に関しては「ロシアの侵略による経済的な影響が為替相場の変動を高め、経済と金融の安定に悪影響を与えうる」という内容が日本側のたっての希望でようやく織り込まれました。しかし実際には、会談で為替介入に関する議論はまったくなかったようです。
ロイター通信などの報道によるとイエレンは会談後、記者団に対し、為替介入について「まれで例外的な状況でしか正当化されない」ときっぱり言い切って、まったく日本の当局がつけ入る隙を与えていません。協調介入はおろか、日本だけが単独介入することも、よほどのことがないかぎり認めない姿勢を改めて鮮明にしています。
黒田日銀総裁とも会談。緩和継続を要請か
報道ではこの両財務相会談がクローズアップされていますが、実はイエレンは、この会談に先立ち、日銀の黒田総裁とも会談を行っています。
その内容は見事なほどに開示されていませんが、米国バイデン政権が11月に中間選挙を控えているなかで、インフレ対策はまったくうまくいっておらず、ドル高は選挙まで重要な対策として維持しておきたいのが正直なところでしょう。
日銀が主要国ではただ一行継続している金融緩和についても、世界の金融市場の流動性を確保するためにはそのまま続けることが望ましいと考えているようで、イエレンはその旨を黒田総裁に要請した可能性が高まるところです。
そもそもこの日銀の緩和継続は、米国政府からの強い依頼があってやめることができない……といった見方も出ていたくらいですから、黒田総裁が確信犯的に緩和を継続する姿勢が強まっているのも、こうした米国の支えがあるからなのかも知れません。
Next: 21日「日銀政策決定会合」の結果発表を受けてドル円は140円必達か
21日「日銀政策決定会合」の結果発表を受けてドル円は140円必達か
こうなるとドル円はさらに140円に向けての発射台が完全に準備された状況で、いよいよ21日の日銀政策に注目が集まることになります。
恐らくこの状況下では日銀は一切政策を変更することはなさそうで、YCC(イールドカーブ・コントロール)の上限金利すら動かす可能性はないものと思われます。
政策変更なしの発表後、黒田総裁がまた会見に現れて「何かあれば躊躇なく追加緩和実施」などとダメ押し発言をすれば、すかさずドル円は上昇することとなり、今度こそ1ドル=140円を突き抜ける可能性が極めて高くなりそうです。
21日までにはまだ7営業日ほどありますが、その間に相場が調整下落するようなことがあれば、下値でしっかり拾っておくことが重要です。
恐らくこれが7月の最大上昇タイミングになるものと思われ、その後はFOMCを経て8月のさらなる調整相場に突入することが予想されます。
このシナリオが現実になるならば、今月のドル円では最高の利益にありつけるチャンスになるかも知れません。
<初月無料購読ですぐ読める! 7月配信済みバックナンバー>
※2022年7月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
- イエレン・鈴木財務相の会談ではっきりした為替介入など一切やらないという事実(7/14)
- 7月13日ロンドンタイムショートコメント(7/13)
- 米国のアナリストが先走る凄まじいFRBシナリオについて行って大丈夫?(7/13)
- 7月12日ロンドンタイムショートコメント(7/12)
- 突然消え去った目の上のたんこぶ~岸田首相は骨太の方針通りアベノミクスを継承するのか(7/12)
- 7月11日ロンドンタイムショートコメント(7/11)
- 7月第3週相場分析(7/11)
- ボリスジョンソン一巻のお仕舞~一旦買戻しがでてもポンドはまだ下落する(7/8)
- 7月7日ロンドンタイムショートコメント(7/7)
- イエレン初の訪日~一体何を話にやってくるのか?(7/7)
- 7月6日ロンドンタイムショートコメント(7/6)
- インフレ対策に加えリセッション対策で後手に回るFRB~まさかの中銀起因による相場大暴落に注意が必要(7/6)
- 7月5日ロンドンタイムショートコメント(7/5)
- 本邦経済界も円安の先行き見立てを間違って大損続出~為替予測は実に難しい(7/5)
- 7月4日ロンドンタイムショートコメント(7/4)
- 8月26日ロンドンタイムショートコメント(7/4)
- 7月1日ロンドンタイムショートコメント(7/1)
- 140円まで3円足らずのドル円~ここから上昇をどう考えるか(7/1)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2022年7月14日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月分無料のお試し購読をどうぞ。
<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>
※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込880円)。
- 6月30日ロンドンタイムショートコメント(6/30)
- やはり問題になりはじめた日銀の国債爆買い債務超過問題(6/30)
- 欧米勢が仕掛けたロシアの強制デフォルトでドルの基軸通貨の座からの陥落は加速か(6/29)
- 6月28日ロンドンタイムショートコメント(6/28)
- 日銀黒田・参院選後に首切もしくは辞任という噂は本当なのかガセネタか?(6/28)
- 6月27日ロンドンタイムショートコメント(6/27)
- 6月最終週、7月第一週相場分析(6/27)
- 6月24日ロンドンタイムショートコメント(6/24)
- とうとう議会証言でハードランディングやむなしを口にしたパウエル(6/24)
- 6月23日ロンドンタイムショートコメント(6/23)
- 我々はとうとう日本国債相場の崩壊をリアルに目の当りにするのか(6/23)
- 6月22日ロンドンタイムショートコメント(6/22)
- 主要国中銀の一角を占める日銀がヘッジファンドに負けるなんてあるのか?という読者のご質問にお答えします(6/22)
- 6月21日ロンドンタイムショートコメント(6/21)
- 巷のドル円さらなる上昇期待を完全に裏切る刺客・米株暴落注意報発令(6/21)
- 6月20日ロンドンタイムショートコメント(6/20)
- 6月第四週相場分析(6/20)
- 6月17日ロンドンタイムショートコメント(6/17)
- ドル円反転大幅下落は日銀のYCC維持の降参がきっかけか(6/17)
- 6月16日ロンドンタイムショートコメント(6/16)
- FOMCは75bpの利上げを決定で株は買戻し、債券金利は下落だが・・(6/16)
- 6月15日ロンドンタイムショートコメント(6/15)
- 日銀がなりふり構わずに始めた国債買入れYCCコントロールが市場で打ち負かされる日(6/15)
- 6月14日ロンドンタイムショートコメント(6/14)
- ガソリン価格過去最高で怒り心頭のバイデン~こりゃ2%や3%の政策金利上げではインフレ退治は覚束ないということ(6/14)
- 6月13日ロンドンタイムショートコメント(6/13)
- 6月第三週相場分析(6/13)
- 6月10日ロンドンタイムショートコメント(6/10)
- 連日短期投機筋が挙って参入するため驚くほど荒れるドル円相場(6/10)
- 6月9日ロンドンタイムショートコメント・おまけ版(6/9)
- 6月9日ロンドンタイムショートコメント(6/9)
- 円安は岸田のせい?市場で円安が岸田ショック2.0と呼び声が高い理由とは(6/9)
- 6月8日ロンドンタイムショートコメント(6/8)
- JPモルガンCEO、ゴールドマン社長が言い出した相場の危険信号~一体何が起きるのか?(6/8)
- 6月7日ロンドンタイムショートコメント(6/7)
- 家計が値上げを受け入れているなどと妄言を吐く日銀黒田総裁に国民辟易~この御仁が退任するまでは円安は延々と続く(6/7)
- 6月6日ロンドンタイムショートコメント(6/6)
- 6月第二週相場分析(6/6)
- 6月3日ロンドンタイムショートコメント(6/3)
- とうとう始まったFRBのQT~市場は楽観視するが本当に完結できるのか?(6/3)
- 6月2日ロンドンタイムショートコメント(6/2)
- ポンド好き本邦個人投資家厳重注意~この先ポンド大幅下落のリスク急拡大(6/2)
- 6月1日ロンドンタイムショートコメント(6/1)
- 6月相場の肝は3つの中銀会合(6/1)
『今市太郎の戦略的FX投資』(2022年7月14日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中
今市太郎の戦略的FX投資
[月額880円(税込) 毎週月・火・水・木・金曜日]
個人投資家がもっと得難いファンダメンタルズを徹底的に集めテクニカルで売買チャンスを探るFX投資家のためのメールマガジンです。土日を覗く平日毎日の配信となりますので、確実に日々の売買に役立てることが可能です。