老後の費用としてもっとも大切になるのは、住まいについての支出です。持ち家、賃貸、戸建て住宅、マンションに住む時に分けて解説します.
(『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』牧野寿和)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。
3つ目 住まいの基本
今回お話しすることには、「その保険、必要ありません」。シニアライフに不可欠なお金の基本【第1回~金融と保険~】と同様に、このコラムや私のところに相談にみえる方に、常々お話ししている内容も含まれています。
なぜなら、人生の節目ごとに、何度も確認いただきたい、老後のお金と向き合うための、極めて重要かつ基本的な事柄だからです。
次の順番で話を進めていきます。
・3つ目 住まいの基本
・3-1.持ち家に住む場合
・3-1-1. 持ち家の戸建て住宅
・3-1-2. 持ち家のマンション
・3-2. 賃貸住宅に住む場合
・3-2-1. 年老いてから賃貸は借りられない
・3-3. 住まいの基本のまとめ
ここでは、持ち家と賃貸とどちらに住んだ方がいいのか?
ご自身で結論を出したあとの、持ち家、賃貸どちらに住むにしても、老後に向けてのお話です。
持ち家、賃貸、戸建て住宅、マンションに住む時に分けて、お話を進めていきます。
3-1.持ち家に住む場合
まず、戸建て、マンションに限らず、持ち家に住む場合は、固定資産税と住むところによっては都市計画税を生涯、毎年納付する費用を家計から支出します。
そのための資金をねん出する計画が必要です。
また、将来、引越したり、建替えたりする計画があれば、そのための費用の準備も必要です。
3-1-1. 持ち家の戸建て住宅
持ち家の戸建て住宅に住む場合には、その住宅の築年数によっては、将来、修繕やリフォーム、持ち主の判断で建て替えの費用の準備も必要になるでしょう。
水漏れなどの不具合が起きないように、定期的な点検をする。また、不具合が起こってから修繕するのではなく、10数年ごとに外壁を塗り替えるといったメンテンナンスをする。
そのようなことが住宅を長持ちさせるためにも大切だと、推奨する専門の業者もいます。
しかし、ここは費用の面もありますので、中立な専門家に相談してもいいところです。
3-1-2. 持ち家のマンション
持ち家のマンションに住む場合は、修繕積立金などの毎月定額の家計からの支出や、自室の修繕やリフォームの費用が、必要になるでしょう。
また、将来、大規模修繕のための費用が、毎月の修繕積立金のほかに、必要になるかもしれません。
そのほかに、マンション自体の建替え。建物が築古になることにより、次第に住民が少なくなり、毎月の修繕積立金といった、集合住宅を維持するために必要な経費の、1世帯ごとの負担額が高くなる。
このような集合住宅特有の問題が、高齢になっても起きる懸念もあります。
Next: 年老いてから賃貸は借りられない
3-2.賃貸住宅に住む場合
老後も賃貸住宅に住む場合は、生涯、家賃を支払う資金の確保が必要です。
現在の賃貸住宅市場の動向では、家賃が大幅に高くなることは考えられません。
しかし、立地のいい場所では、将来、値が上がるかもしれません。そうなったら、ほかのところに引越す。といったような対策を考えておくことも必要です。
また、築古の住宅に住んでいれば、将来、取壊したり建替えたりする可能性もあります。
急にこのような話が賃貸住宅の所有者から来ることがないように、所有者に今後の動向について聞くことが大切です。
3-2-1. 年老いてから賃貸は借りられない
賃貸住宅では、年配者の入居を嫌がる傾向があります。
その原因は、家賃の不払いや万が一の時の身元引受けなど、賃貸住宅所有者にとっては、厄介な問題を背負う可能性がある、といわれているからです。
老後の生活に入ってから賃貸住宅を新規に借りるのであれば、賃貸住宅所有者の心配を払しょくするように、
・生涯の家賃の支払いが可能な証明
・確かな保証人、言い換えれば身元引受人
少なくてもこの2点を示すことが必要でしょう。
また、生涯賃貸住宅に住むのであれば、これからの生涯、解体や建て替える可能性は少ないであろう築浅の住宅に入居することも、ひとつの対策です。
Next: 家計からの支出額を予算化しておくことが大切
3-3.住まいの基本のまとめ
住むところは、生活をしていく上の土台となるところです。
住まいに係わることは修繕やリフォームまた引越しなど、専門の業者に依頼することが多く、そのための費用もかかります。
一概に老後の生活といっても、過ごす年数はその人によって異なります。
しかし、年金収入が主な収入となり、現役より少なくなるなかで、10数年にわたり生活をすることは確かです。
したがって、現役の間に老後の生活の住まいに関して、家計からの支出額を予算化しておくことは大切なことです。
今回のポイント
現在住んでいる家が、安住の場所と思いつつも、今一度、老後の住まいを描いてみましょう!
住まいに関係する費用は、固定費として占める割合も大きく、また、小手先の節約はできない支出でもあるのです。
老後生活でも「一考要」の課題ですね!
「その保険、必要ありません」。シニアライフに不可欠なお金の基本【第1回~金融と保険~】
『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』(2022年8月24日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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ご自身の描いた老後の生活を実現するために、 40代から、退職・完全リタイアをするまでに、 やっておくべきことがあります。 そんなことはわかっているよ!! でも、行動に移せないんだよね…… 実は、何から始めようか迷っているんだよ!? そもそも、何をしたらいいのかわからないんだよね??? そんな方のために、同年代の私、 「人生の添乗員(R)」が、 ファイナンシャルプランナーとして13年の実績と、 自身の人生経験から、 40代から、退職・完全にリタイアをするまでにすべき、 「貯蓄」と「節約」について、 毎週、1テーマずつお伝えします