和歌山県で寺院を運営する2つの宗教法人の代表が、お布施などあわせておよそ1億5,000万円の収入を私的流用していたにもかかわらず、所得税を納付していなかったとして、大阪国税局から源泉徴収漏れを指摘されていたことが判明した。
報道によると、ともに宗教法人の代表を務める2人の住職は、7年間にわたって賽銭や檀家からのお布施など、あわせておよそ1億5,000万円の収入を、生活費として使ったり預金していたとのこと。大阪国税局は、住職の生活費や預金などは宗教法人からの給与による所得であり、所得税を天引きして納付する源泉徴収の義務があるにも関わらず、徴収漏れが続いていたと認定したようだ。
さらに、流用したお布施などは帳簿に記載していなかったということ。重加算税を含む追徴税額はおよそ7,800万円にのぼるとみられている。
現金でやり取りするお布施は記録に残らない
寺院を含めた宗教法人といえば、収益事業等以外は原則非課税とされるのは誰もが知るところ。ゆえにお賽銭やお布施など宗教活動による収入は、法人税の課税対象にはならないのだが、それを私的流用していたということで、その時点で所得税を天引きして納付する義務が発生する給与と見做された格好である。
いっぽう、最近では“デジタル賽銭”なるものも一部の寺社仏閣では登場しているようだが、基本的にはお賽銭もお布施も現金での受け渡し。やり取りが記録に残らないため、不心得な僧侶らによる私的流用は後を絶たないといった状況のよう。
実際2020年には、愛知県内にある尾張徳川家とも縁があるという著名な寺院の住職親子が、お布施など計1億1,000万円を私的に使い果たしていたことが判明。さらに酷いケースだと、檀家から預かったお布施の一部を小学6年生の女児に渡して買春していたという、とんでもないエロ僧侶も過去にはいたようだ。
このように寺院の歴史や知名度に関わらず、私的流用に手を染める僧侶は一定数存在するということだが、ちなみに前者の寺院に関しては、今回のケースと同様に所得税の源泉徴収漏れを指摘され、重加算税などを含めて約4,000万円の追徴課税となった模様。
ところが、この手の指摘を受けたものの「私的流用はしていない」と断固主張し、源泉所得税や重加算税の納付を行わないといったケースもあるようで、そういった寺院に対しては国税局も、檀家らの先祖代々の墓地なども含めた土地や、本堂などの建物を差し押さえるといった最終手段を取ることもあるようである。
非課税措置に疑問を呈する声も多数
最近は、いわゆる旧統一教会を巡る様々な疑惑が大きな問題となっていることもあり、宗教団体に対しての視線も厳しくなっているところ。そんな最中でのお布施などの私的流用という、いわば“坊主丸儲け”行為の発覚ということで、SNS上などでは宗教法人への非課税措置を疑問視する意見もあがるなど、批判の声が高まっているところ。
宗教法人法を見直した方がいいんじゃないかな。
非課税か課税かの議論の前に宗教法人はお金の流れがブラックボックスってのを正すべき。まずは宗教法人も確定申告するようにした方がいいよね
「檀家のお布施」1.5億円を私的流用 和歌山の宗教2法人 | 毎日新聞 https://t.co/R5nQj9q8Xj
— もるすこちゃん (@morusukochan) January 31, 2023
宗教法人で課税から免れて、こういうことする人達って稀ではなくてかなり存在すると思う。やはり宗教法人には宗教法人税を導入し、子ども予算の財源にするとか、社会保障費の一部に使うのもいいと思う。
「だんかのお布施」1.5億円を私的流用 和歌山の宗教2法人(毎日新聞) https://t.co/l5k31qP31a
— きみ仮想きみ (@kimixasleep) January 31, 2023
とはいえ、そういった金にとことん汚い僧侶も存在するものの、他方では厳しい台所を強いられている寺院も多いというのも事実のようだ。
日本全国に7万5,000箇所以上と、コンビニより多いともよく言われる寺院だが、田舎の過疎地などを中心に住職が不在だという無住寺院も多いようで、その数は2万箇所を上回るとの話も。
これらの原因は、僧侶のなりてがいないという後継者不足の問題もさることながら、経済的困窮に陥った末に破綻し、空き寺になってしまうといったケースも多々ある模様。近年では檀家の人々の高齢化にくわえ、若い層では“檀家離れ”といった動きもあるなどし、収入の減少は著しいようで、全国に1万軒もの寺を擁するとある有名宗派でも、全寺院のうち43%が年収300万円以下だという。
このままいけば、2040年には日本各地にある寺や神社の3分の1以上が消滅する可能性もあるとも取沙汰されるような現状で、仮に宗教法人への非課税措置がなくなるような事態となれば、経済的困窮に陥る寺院はさらに増え、廃寺増加のペースがさらに増すのは火を見るよりも明らか。一部の不心得な僧侶のせいで、寺院に対する負のイメージを募らせるどころか、その衰退をも加速させかねないということで、大多数であろう真面目な同業者からすれば、まさに迷惑千万といった話となっているようだ。
Next: 「旧統一協会事案とはまた違う宗教課題」
ツイッターの反応
和歌山の宗教2法人
住職2人布施1億5千万円私的流用
約7000万円を追徴課税お布施は現金
↓
記録が残らない
↓
私的流用が後を絶たない
↓
身内が死んでバタバタのタイミングで戒名代50〜100万
↓
法事に外車やハーレー
公務員と兼務
↓
坊主丸儲け
↓
旧統一協会事案とはまた違う宗教課題— ガッテム竹内(元ハガキ職人) (@GTT214) January 31, 2023
坊さんの私的財産にお布施していたことになる。人間が作り上げた虚構のわかりやすい側面。
2宗教法人に計1.5億円の所得隠し指摘 国税「お布施を私的流用」 https://t.co/Rbpq6UhF16
— ダースレイダー (@DARTHREIDER) January 30, 2023
7年間の総額なので、1年あたり平均200万円か。それだけ運営資金に余力があったわけで、すごいな。悪いことしてなきゃ寺院経営の天才と言えるのに。住職2人がお布施1億5000万円「私的流用」…国税が「給与」と認定し追徴課税(読売新聞オンライン)#Yahooニュース
https://t.co/hvIfwdU5uD— m_bozu (@m_bozu) January 30, 2023
身内の葬儀に坊さんが高級外車乗って遅刻してきて、「もっと金払え」みたいな説教しだした時は、自分が死んだときには絶対に葬式はしないって誓った。
住職2人がお布施1億5000万円「私的流用」…国税が「給与」と認定し追徴課税 pic.twitter.com/dOR84RwgBm
— お侍さん (@ZanEngineer) January 31, 2023
住職2人がお布施1億5000万円「私的流用」…国税が「給与」と認定し追徴課税 – ライブドアニュース
2人の住職が(過疎地?)田舎の7、8つほどのお寺を兼務して7年間で一億五千万、雑に平均すると一年で1ヶ寺142万円を個人口座で管理
ニュアンス変わりません?
https://t.co/yNgr0HR1An— 寺生まれのTさん a.k.a.愚禿♂️ (@takagori) January 31, 2023
住職2人がお布施1億5000万円「私的流用」…国税が「給与」と認定し追徴課税 https://t.co/RDBhW4rzOS 記事をよく読めば住職2人→別の案件の総額が1.5億/七年間で→単年度じゃない/個人の通帳で管理→お寺の維持費も住職持ち。税務署リークまんま。ビュー稼ぎの坊主叩きはかなわんよ。
— 芝原 三裕 (@shiba3) January 31, 2023
※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。
Image by:Shutterstock, Inc.