ソフトバンクグループ2022年度第3四半期決算では、最終損益が7,834億円の赤字となりました。報道では、昨年12月段階での孫正義さん個人が出資した未決済残高は6,700億円とされており、前回の未決済負債からまったく減っていないことも明らかになっています。大金持ちの孫さんのことですから巨額の含み損を乗り越えることは可能なのでしょうが、純資産のほとんどがSBGの株ということになると、この先、孫さんはSBGとどのような関係になってしまうのかも非常に気になるところとなっています。(『 今市太郎の戦略的FX投資 今市太郎の戦略的FX投資 』今市太郎)
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ソフトバンクグループが赤字転落、孫正義さんの未決済残高は6,700億円に…
「戦略的FX投資」がテーマの このメルマガ このメルマガ では、為替のお隣の日経平均株価の動きに大きな影響を与えるソフトバンクグループ(SBG)について定期的にフォーカスしてお伝えしていますが、今回もこの話題に触れてみたいと思います
2月7日に発表された2022年度第3四半期決算では、最終損益が7,834億円の赤字に。第2四半期なんとか3兆336円の黒字としていましたから、そこから一気に赤字に転落する形となりました。
これにより今年度の第3四半期決算合計は最終利益が9,125億円の赤字となってしまい、まったく精細を欠く状況が続いていることがうかがわれます。
ブルームバーグの報道では、昨年12月段階での孫正義さん個人が出資した未決済残高は6,700億円とされており、前回の未決済負債からまったく減っていないことも明らかになっています。
大金持ちの孫さんのことですから巨額の含み損を乗り越えることは可能なのでしょうが、純資産のほとんどがSBGの株ということになると、この先、孫さんはSBGとどのような関係になってしまうのかも非常に気になるところとなっています。
「AIのユニコーン企業に投資すれば利益爆発」というスキームは完全終焉
これからの社会「AI」がIT産業の主力となり市場は大きく拡大する…という孫さんの見立ては、決して間違ってはいないと思われます。
たしかにリーマン・ショック以降、中央銀行がかつてないような緩和政策を実施し、低金利でカネ余りの時間が続いた絶好な環境下では、多くのITユニコーン企業がIPOに成功し、企業実態と実績をはるかに上回る株価を獲得することができました。
大変失礼な言い方をすれば、名だたる注目度の高いユニコーン企業に投資していれば、さしたる目利き感はなくても、相応の利益を短期に確保することは難しい話ではなかったことがうかがわれる状況です。
しかし足もとでは、いよいよインフレが到来、さらにリセッションまで襲ってくるという厳しい状況下です。FRBは強烈な利上げを断行し、株式相場に簡単にカネが集まらない土壌が形成されてしまいました。
Next: AIユニコーン企業に投資したファンドマネージャーが人工無能だった
AIユニコーン企業に投資したファンドマネージャーが世界一の人工無能だった
さらにこの10年で凄まじい快進撃を繰り広げた「GAFAM」といったビッグテック株ですらとうとう下落を余儀なくされており、IT株の市場も大きく様変わりしてしまったのが現状です。
今期の含み損のほとんどはAI企業への投資失敗によるものであるとCFOは説明しているようですが、AIユニコーン企業に投資したファンドマネージャーが結果的に世界で一番の人工無能だったことが証明されたような話で、笑うに笑えないところに陥ってしまったことがよくわかります。
もちろん投資に関わった当事者は十分に吟味した結果がこれだったと言い訳をするのでしょうが、AI関連ならIPOで爆益ひと儲けという時代ではなくなったことを痛感させられます。
2000年のITバブル崩壊でも似たようなことは起こっていた
今から23年ほど前の2000年のITバブルの時にも、多くの新鋭IT企業がその企業実態と業績をはるかに超えるような株価を示現することになり、当時の市場関係者はIT革命だから主要なIT企業が社会・経済をけん引していくのは当たり前と、相場のさらなる上昇を豪語したものでした。
しかし、そうした株価状況はご存じのとおり長くは続かずに崩壊して、いったん終焉を迎えることになります。
確かにその後、IT産業自体は経済成長の主軸として機能するようになりました。しかし、ITバブル崩壊で大きく下落した株価がその企業実態に沿った形で回復するのには、10年以上の歳月がかかったのが現実です。
相場の現状を見ますと、足もともそれに近いものがあり、収益として投資が実を結ぶのにはここから相当な時間がかかりそうな状況。果たしてSBGがそうした長く辛い期間を持ちこたえられるのかどうかが、大きな焦点になりそうです。
自社株を担保に借金投資し、含み益が出ればまた借金・投資の繰り返し…
孫さんが保有自社株を担保に資金を借りて、それを投資して含み益が出れば、それをさらに担保にして投資金額を大きくして爆発的な利益を獲得する…という手法は、70年代のダイエーの不動産担保投資商法を彷彿とさせるものがあります。
このスキームが完全に上手く回転しているうちはなんの問題もなく激しい拡大再生産を実現できることは、過去の経緯を見ても間違いないようです。
しかし、それが一部からでも崩れ始めると借金と損失だけが膨らみ、最後には決定的な破段階を迎えることは間違いありません。ダイエーも結局、跡形もなく市場から姿を消すことになってしまいました。
Next: 次の金融危機でソフトバンクグループは丸ごと吹き飛ぶ可能性
次の金融危機でソフトバンクグループは丸ごと吹き飛ぶ可能性
SBGもそうなると予想するつもりはありませんが、自社株を担保として大量に差し出している関係上、その株価が下がると追証を求められるので、結局、また自社株買いに専念して相場を維持しなくてはならない現在の孫さんのやり方は、ごく近い将来に起こりうるかもしれない中央銀行バブル崩壊による大幅な株価下落時には完全に破綻をきたしそうで、非常に気になるところです。
もちろんこれまで相当危機的な状況もなんなく乗り越えてきた孫さんのことですから、また何か秘策を出してくるのかも知れません。
しかしながら、すでにそんな話では済まないところまで事態が悪化していることも危惧される状況です。
SBGが決定的におかしな状況になるというのは、日本の株価全体にも大きな影響を与えます。それだけに、ここからの動向を注視していきたいと思います。
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