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少子化の原因は「最低でも大卒」という親世代にかかった“呪い”。三流大学に通うのは才能の無駄遣いだ=午堂登紀雄

前回、少子化の要因のひとつとして「教育費がかかる」ために結婚や出産を躊躇する人が多いと指摘しました。日本の社会環境全体が先行き不透明で子育てが不安というのもありますが、「子を育てるにはお金がかかり、その負担に耐えられない」と感じている人が多いからだと思います。高校までは無償化制度等もありなんとかなりそうだけれども、「大学までは行かせないといけない」「でも学費が高くしんどいから子は増やせない」ということなのでしょう。しかし、本当にそうでしょうか。現代の親の「大学までは行かせないといけない」というのは、ある種の「呪い」だと感じます。現実には「大学に行けばなんとかなる」ということはなく、何ともならないことの方が増えているのですから、過剰に大学進学に執着する必要はないと思います。今回は私がそう考えるに至った理由について、発達障害の長男と、定型発達の次男を育てている経験からお伝えします。1人でも多くの人にこの「呪い」に気づいてもらい、呪いから解放される人を増やし、少子化を止めるブレーキの一助になればと思っています。(『 午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門 午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門 』午堂登紀雄)

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プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。

「三流大学」に行くぐらいなら別の道へ?

前回は少子化・人口減少による負のインパクトを考察しましたが、自分の代まではなんとかなったとしても、子の世代の方がよりしんどい状況になっていることが予想されます。

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それで自分の子への教育投資について日々考えています。

基本的な子育ての考え方や方針は拙書『1億稼ぐ子どもの育て方』(主婦の友社)に詳しく書きましたが、今回は「学力」「進学」についてです。

私の勝手な進学観ですが、旧7帝大+4(東京工業・一橋・神戸・横浜国立)、早慶上理明青立法中、関関同立レベルに入れない程度の学力だったら、無理に大学に進学せず他の道を模索すればいいかなと思っています。

というのはまあ半分ジョークで、もちろん無名でも特色ある教育をしている大学、あるいは特定業界への就職や公的資格取得が強いなど、私が知らないだけで探せば魅力的な大学はたくさんあると思います。

なのでこれは「三流校(Fラン校やBF校)に行くことに反対」「学業に適性がないなら大学進学に固執せず別の道を選べ」」というのが主眼です。

ちなみにBFはボーダーフリーのことで、定員割れしていて全入できるため偏差値がつかない学校・学部のことです。

むろん本人の強い目的意識、やる気、強烈な動機、その大学・学部を選んだ先に目指している将来プランの明確さがあれば、当然ながらどんな学校であろうと尊重するつもりではあります。

しかし、「とりあえず大学には行っておかなきゃ」などというあいまいな理由で三流校へは行かせたくない。

そして、そこに行くかどうかは別として、「難関校に受かるだけの基礎学力」は身につけてほしいなあというのが私の勝手な希望です。

基礎学力の高さの重要性

これは学歴重視や詰め込み教育などという矮小な話ではなく(後述しますが、かつて大学教育に失望した私にそもそもそういう発想がない)、基礎学力の確立とそれに伴う戦略思考力の高さが重要だと考えているからです。

基礎学力とは、論理的思考力や抽象化思考力といった人間の知能の土台です。

たとえば国語の勉強は論理的思考力を鍛え、数学は抽象化思考力を鍛えます。論理的思考力とは「スジが通った」考え方ができることで、つまり合理的であるということですから、スジが通っていれば大きな間違いにはなりにくく、自分も周囲も納得させられます。

また、論理は判断の根拠となることから検証も可能です。検証できれば教訓化でき、次に応用できるなど、以降の判断のレベルアップになる。それに論理とは物事の関係性の理解でもありますから、因果関係や相関関係といった未来の想像や予測を助けてくれます。すると「こうすればこうなるだろう」が推測でき、リスク回避や備え、あるいはチャンスをモノにすることにもつながる。

また、正確な日本語運用能力を獲得できれば、この世のあらゆる事象も人間の感情も言語化できる。言語化できれば理解もできるし、言語化できればアウトプットも軌道修正も上書きもできる。
高度な読解力があれば、自分をとりまく世界をより深く広範に理解でき、自分が持っていない物の見方・考え方を吸収し、適切に対処できるようになる。

物事の因果、そして他人の行動原理、自分の感情や内面すら説明できる言語能力があれば、不安や悩みも自力で解消できるし、他人とも適切に付き合えるでしょう。

また、算数とそれを土台に展開される数学は目に見えない事象を扱うため、抽象的に考える力が鍛えられます。

たとえば微分積分・代数幾何・指数関数・二次関数などは、物理的に存在しないし目にも見えないものであり、このような概念的な分野の理解には高度な抽象化思考力が必要です。

抽象化思考力とは、たとえば分野が異なるものの間にある共通点を導いたり、物事の本質を見抜いたり、時間軸を長くとって考える力、空間軸を大きくとって考える力です。

お金も抽象的概念であり、なので対象が違っても1万円を持っているなら1万円の価値があるものと交換可能です。

Next: 学歴は不要だが難関校に入れる学力は必須?次の世代に必要な力とは



論理的思考と抽象化思考の上に育成される戦略思考

そして戦略思考とは、これら基礎学力の上に培われる、学生で言えば「自ら目標を設定し、現状との乖離を把握し、その差を埋め目標達成が可能となる方法論と最短プランを描き、それを日々の学習計画やTODOにブレイクダウンし、結果を確認しつつ必要に応じて勉強方法を変え、その勉強方法すら自らの知恵と工夫で編み出す能力の高さ」のことです。

これは社会に出たとしても自分のキャリアパスを描いたり、どんなスキルをどのように向上させるかなどにも同じことが言えますし、家を買うとか資産運用とか、生活の全方位で応用できます。
そしてこの能力が高ければ、人生で出会う問題の多くは乗り越えられるはずで、それが難関大に進める人はこの能力が高く、難易度の低い大学の学生(つまり基礎学力が高くない)はその能力が低い傾向があるわけです(あくまで一般的に、です)。

というのも、難関校に受かるには、よほどの天才は別として、普通の学生にはこの戦略思考が必要だからです。

ただ漫然と学校の勉強(つまり受け身の勉強)をしただけでは上位校への合格はおぼつかず、学校の勉強の上に自分で必要な参考書や問題集を探して弱点を補完しつつ、限られた時間の中で得点力を上げる時間配分など、自分の成績の変化に応じて都度見直さなければならない。

これがたとえばトップクラスの進学校であれば学校の勉強だけで十分なこともありますし、都市部なら塾や予備校などで補えると思いますが、そういう環境でなければたとえば下記の素養が求められるでしょう。

・自分に合った勉強法を自分で考え工夫する創造力や応用力
・勉強方法を試行錯誤し必要に応じて都度変更し最適化させる柔軟性
・受験までに必要な範囲を習得し正答させる力に持っていく時間感覚やプランニング能力
・複数の科目を同時に勉強するバランス感覚や並行処理能力
・出題傾向を把握し力を入れる範囲、手を抜く範囲を取捨選択する分析力や判断力
・自らモチベーションを維持しあきらめず勉強を続ける精神力

つまり難関校出身という学歴は、それら根源的な思考力の高さの副産物に過ぎないというのが私の考えで、ゆえに私は学歴は重視しないものの、その学校に受かるだけの学力はつけてほしいなあと思うのです。

とはいえ、勉強の強制はやる気を損なうだけ

だからといって、子に「勉強しろ」などという強制は百害あって一利なしだと思っています。
実際、大人でも上司から「仕事しろ」とか言われるのは不愉快でしょう。

なので私も「宿題やった?」などと聞くことはありませんし、宿題をやらなくて先生に叱られたとしても、あるいは親に伝えなかったことで忘れ物をしても、それは本人の問題。

長男が小学2年生に上がって学童に行きたくないと言い出した時、「でも勉強は大事だから勉強できる場所を探そうね」と伝えて個別指導塾を数か所体験し、本人自身が「ここがいい」と決めた塾に行かせるようにしたぐらいです。

そしてこれからも「勉強しろ」「宿題しろ」などとは言わないつもりですし、本人から相談してこない限り、成績が悪くても責めたりするつもりもありません。中学受験をするわけでもないのに、親までもが学校や塾と同じ目線に立ってしまえば子も息苦しいでしょう。

それに家庭は子にとって絶対的な安全基地にしたいので、家では勉強しなくてもいいし好きに過ごしていいというスタンスです(なので学校の宿題も塾で済ませてから帰るようにさせています)。

そして強制や叱責ではなく、日頃の親子の会話の中から学ぶことの大切さを感じてもらうことが大切だと考えています。

それに、仮に成績が悪かったとしても、思春期を迎え年齢に応じた思考力が育っているなら、親があえて言わなくても本人なりに危機感を覚えるだろうし、志望校など目標ができれば自ら取り組むはず。なのでそういう自我が育つサポートをするのが親の役目かなと思っています。

それでダメならそれも本人の適性・個性・資質ということで、後述しますが別の道を探します。

Next: 無駄な授業などない?学校の勉強は脳を鍛える訓練



学校の勉強は脳を鍛える訓練

たまに「こんなこと勉強しても社会ではまったく使わない」「学校で習うことなんて実生活では役に立たない」「だから必死で勉強しても無駄」という人がいますが、こういう人は大きなカン違いをしています。

勉強の中身そのものが直接役に立つのではなく、勉強する過程で脳が鍛えられ、そうやって形成した強靭な頭脳が土台となって役に立つのです。

これは私がよく使う例え話ですが、たとえばどんなスポーツでも、必ず走る練習をします。卓球のような走らないスポーツでも、弓道のように上半身しか使わないように見えるスポーツも、必ず走る練習が組み込まれます。それは、足腰の強さはすべての運動能力の土台だからです。スタミナ、瞬発力、敏捷性、安定性、バランス、姿勢の制御を高い次元で獲得するには、強靭な足腰が必要です。ラケットを振る練習だけ、弓を引く練習だけしても強くはならない。強くなるには、一見意味がないとか役に立たないと思える「走り込む」練習をしないといけない。

学校の勉強もそれに似ていて、論理的な思考力や問題解決の筋道の立て方、知識の応用方法を、勉強を通じて身につけていくわけです。学校を卒業したあとの長い長い人生の中で、必要な知識やスキルをその都度習得して活かし、それまで学んだことを組み合わせて応用し、深く緻密に思考できる高性能な脳をつくることに役立っているのです。

もちろん実社会に出れば学力が高いとか学歴が高いとかは通用しないわけで、一流大卒でも使えない人はいますが、一般的には学力の高さと実力の高さは相関関係にあります。

ちょっと話がそれますが、貧困の連鎖の一因は、一部の親の「勉強なんてクソの役にも立たないんだからやめとけ」みたいな発想かもしれません。

親が勉強を軽視すれば子も軽視し、学校を出ても鍛えられていないスカスカの頭脳のまま。だから応用もきかず問題解決能力も低く、子もまた貧困に陥る、というループはありそうな気がします(むろん、ダメ親を反面教師にしてがんばって成功する人もいますが)。

難しい理論の習得は理性をも鍛える?

ほかにも、例えば医師国家試験・司法試験・公認会計士試験・国家1種試験などの高度に知的かつ倫理的な素養が求められる職業はどれも難関の筆記試験があることからも、ある程度は裏付けられるでしょう(一方、ほとんど誰でも取得できる普通運転免許などは、あおり運転や危険運転をする人なども混じったりする)。

そういう難関試験を突破してきた人たちが、たとえばカッとなって人を刺すとか、ナイフを持ってコンビニ強盗に入るということはほとんど聞かないですよね(あってもレアケースで、強盗傷害事件等の容疑者は無職が多かったり)。

勉学は地道な繰り返しや継続など、怠けたいとか遊びたいという欲求を制御する意志が求められますから、理性すら鍛えるということなのかもしれません(一方、ムラッとして、みたいなエリートによる性犯罪とか、贈収賄や談合といった経済犯罪はときどき聞きますが・苦笑)。

とはいえコンビニ強盗に入るような人は、おそらく勉強が不得意だったのでしょう。

自分の行動の結果が何をもたらすか因果を想像できるほど論理的思考力が育っていないわけですし、今さえ何とかなればいいと思考の時間軸が非常に短い(つまり抽象化思考力が低い)、そのためには犯罪を犯してもいいなどと自己の価値判断基準がゆらぎやすいからです。

中学や高校でも勉強しない人がいたと思いますが、彼ら彼女らはどこか精神的に幼いなと感じた人も少なくないと思います。

これは差別とか上から目線とか選民思想とか優越的な発想などというチープな動機で言っているわけではなく、基礎学力の重要性をいろんな方向から指摘をしたいからです(ちなみに上記のような主張に対し「データはあるのか」などと難癖をつけてくる人は少なくないのですが、そういう人は抽象化思考が苦手で具体の世界しか見えていない。物事を一歩引いて俯瞰し観察し、傾向や共通点を抽出するには抽象化思考が必要です)。

Next: 学力が低い人はどう生きるか?発達障害の長男に期待していること



学力が低くても起業によって補うことができる

むろん本人にやりたいことがあればそれを尊重しますが、三流大学に高い学費を払うぐらいなら起業させたい(これが返還不要の給付型奨学金を取ってくるぐらいであればその限りではありませんが・苦笑)。

なぜなら、学力が高くなくても挽回する方法のひとつが起業だからです。

論理的思考力、抽象化思考力、戦略思考力、そして強靭なメンタルを後天的に獲得する方法のひとつは起業して会社を経営することで、これは自分自身の経験からそう感じています。

たとえば事業戦略を考えることは抽象化思考そものですし、毎日何度も迫られる決断・判断で論理的思考力が鍛えられる(逆にサラリーマンは決断の機会が少なすぎる)。

戦略やビジネスモデルは抽象的領域ですが、それを日々のタスクに落とし込み手順化・マニュアル化するのは具体化力であり、うまくいかなければまた上流の戦略修正に戻って再びタスクに落とすという、この「具体と抽象の往復」作業は、人間が持つ最上級の知性のひとつです(数学や国語が苦手でも成功している人は、別の形で論理的思考力や抽象化思考力が鍛えられたのだと思います)。

だから仮に勉強が苦手でも、勉強によって培われる土台となる能力は、起業や会社経営によってある程度は補えると私は考えています。むろん本人次第の側面は大きいですが、学問の道に適性がないなら本格的に起業しろ、というわけです。

ただし、これを押し付けないように誘導するのがなかなか難しいことで、親の価値観の押し付けは子を腐らせるだけだと、自分自身の経験で身をもって痛感しているからです(私もそれで父親に反発して中高時代は一切口を利かず、高校卒業と同時に飛び出すように家を出たという過去を持っています)。

なのでもう少し成長したら、折に触れて起業の楽しさを吹き込み洗脳したいと思っています(笑)。

発達障害の長男にはフォローが必要かもしれない

そのため息子たちが中3になって高校受験が見えてきたとき、進学校に進める学力が育っているかがカギで、そこで学業への適性がある程度わかると思います。

なのでもし進学高校に行くことができず、本人が学びたいことがあるという意志が強ければともかく、それほど勉強が好きではないとか進学意欲が高くないようであれば、大学進学はやめて一般の高校で起業をさせようかと。

私は基本的に子の勉強や進路には口出しせず本人に任せるという価値観でしたが、長男が3歳の時に発達障害(自閉症スペクトラム/知的障害のない高機能自閉症)と診断されてからは、ある程度の情報や指針の提示、もしくは条件の提示が必要かなと思っています(それも干渉にならないよう注意が必要ですが)。

もともと「まじめな会社員」に育てたいとか考えたこともなく、できればいつかは実業家になってもらいたいと思っていましたし。それに、発達障害者は人間関係が不得手で会社組織の中でやっていくのが難しい傾向があるため(ウツなどでの離職率も高い)、一般企業のサラリーマンは厳しいかなあと。

妻は海外の大学に行かせたいと考えているようで、本人の希望もあるならそれもいいかなと思います。特に米国などは発達障害への教育プログラムや研究も進んでおり、障害者が受け入れてもらいやすいですから。

そういえばスティーブ・ジョブズ氏やイーロン・マスク氏も発達障害と言われており、アメリカの調査ではADHD(注意欠陥・多動性障害)の人が起業する確率は健常者の6倍も高いそうです。
「空気が読めない」という発達障害で見られがちな特性が、周囲の反対をものともせず不可能を可能にする原動力になっているのかもしれません。

それに海外留学は異文化経験、他民族・他宗教とのコミュニケーション、そして語学の習得という点でもメリットがありますし(その際もやはりスカラシップを取れるほどの学力、そして自己分析能力やプレゼン能力を培ってほしい。親の勝手な願望ですが)。

まあ、まだ小学2年生ですし成長して変わっていくでしょうから、それは現時点でのアイデアで、本人の様子や周囲の状況等を見ながら都度柔軟に軌道修正したいと思っています。

いずれにしても、「子はいまよりもっと厳しい時代を生きていく可能性が高い」という前提で教育プランを考えています。

Next: 少子化の要因のひとつは“最低でも大卒”という親にかかった「呪い」



少子化の要因のひとつは「親の呪い」

実はここまでの話は長い前フリで、本題はここから。

前回、少子化の要因のひとつとして「教育費がかかる」ために結婚や出産を躊躇する人が多いと指摘しました。日本の社会環境全体が先行き不透明で子育てが不安というのもありますが、「子を育てるにはお金がかかり、その負担に耐えられない」と感じている人が多いからだと思います。

高校までは無償化制度等もありなんとかなりそうだけれども、「子には大学までは行かせないといけない」「でも学費が高くしんどいから子は増やせない」ということなのでしょう。

しかし本当なのでしょうか。

現代の親の「子には大学までは行かせないといけない」というのはある種の「呪い」だと感じます。現実には「大学に行けばなんとかなる」ということはなく、何ともならないことの方が増えているのですから、過剰に大学進学に執着する必要はないと思います。

仮に高卒で就職したとして、でもやはり高卒は不利だと本人が痛感しているとか、社会に出て自分に足りないものがわかり、「これを真剣に学びたい」と問題意識が高まってから大学に入り直す方が教育的な意義があるし、本人がお金を貯めて(あるいは本人名義の教育ローンで)入学するなら、親の負担も減るでしょう。

後述しますが、大卒の肩書きが欲しいなら安価な通信制大学だってある。なのに、この呪いにがんじがらめになって将来を不安視し、子を持つことや、第2子・第3子を躊躇する人が多い印象です。

それで少子化が進行し、一部の上位難関校を除きこれから大学全入時代を迎えるわけですが、すると「大卒」の価値はこれからも保てるのか、進学で本当に本人の価値や技量が高まるのかというと、極めて疑問です。

一流校や差別化された特色ある教育を提供している大学ならともかく、たとえばFラン大やBF校にまで親が学費を工面し、あるいは奨学金を借りて進学するというのは無駄の極致だというのが私個人の考えです(そういう人を否定するわけではなく、私が無駄だと考えているだけ)。

三流校でも自分の道を掴める人/掴めない人

むろん「本人が真剣に学びたいことがあるからそこを選ぶ」なら良いのですが、「とりあえず大学には行かなきゃ・行かせなきゃ」「でも本人の偏差値で行けるのはこのくらい」「その中でとりあえずこの学校・学部にしとくか」という安易な発想で進学するとしたら?

それで三流大に入る。周囲の同級生も同程度の学力で、同じようにさほど勉強が得意ではなく、さほど学業に適性がない人が集まってくる。そもそも高校までの学習範囲の理解も十分ではない(だから三流校にしか入れない)。当然ながら、一流校の学生ほどには熱心に勉強しない(可能性が高い)。

そして本人も周囲に流され在学中はのんびりと過ごし、就職戦線を勝ち抜くだけのスキル・能力・経験が蓄積されない。いや、そもそも具体的にどのようなスキル・能力・経験を積まないといけないか、周囲のレベルも高くないからその方向性も努力量もわからない。

これがたとえば一流大の学生ならいろんなことにアンテナを張って情報収集・情報交換し、在学中からインターンや海外留学をするなど経験と能力を積み上げます(という人の割合が高い)。

というのも、たとえば学生向けの起業をテーマにしたシンポジウムやセミナー・勉強会などに行っても、来ている参加者の多くは一流大の学生で、質問も鋭いのです(質問するときに本人の学校名を名乗るのを聞いただけのサンプリング的な推測ですから、もちろん他大の学生もいるとは思います)。

しかし三流校では周りにそこまで問題意識を持っている人が多くないから気づけない。仮にいたとしても、そういう意識高い系は三流校では一匹狼になりやすく(あるいは意識高い系同士のグループで固まる)、接点を持てない。

たまに聞いたこともない無名大学の学生が会計士試験や司法試験に合格していることがありますが(最近は知りませんがかつては出身校が公開されていたため)、彼らはそもそも強烈な危機感を抱いて進学していますから、友達作りとかサークル活動やコンパなどにはほとんど興味がない。中には入学してすぐ資格試験の専門学校に通ってダブルスクールで過ごす人もいる。

Next: どちらを選ぶ?「教育」という自己投資か、「借金」という消費か



教育という自己投資か、借金という消費か

また、この話は社会人になってから同窓会で聞いたのですが、私の高校時代の同級生は名古屋の私大に進み、でも「こんな無名大学ではまともなところに就職はできない」と入学してすぐ運動部に所属し、先輩のOB枠で引っ張ってもらう計画だったそうです。

大学の運動部はしんどいと思いますが、彼はそれで見事メガバンクに就職が決まり、30年経ったいまもそこに勤めています。

当時、大企業はOB面接やOB推薦が中心で運動部出身は有利だったようです(200万人もいる団塊ジュニア世代でしかも氷河期1期生でしたから、膨大な応募者をさばくにはそれが効率的だったのでしょう)。いずれにしても、彼もやはり強い危機感を持って4年間を過ごしたのだと思います。

でもそれこそ少数派で、三流校の学生は先ほどの「戦略思考力」の低さがボディブローのように効いてきて、多くの人は浅い学生生活しか送れない。だから就職活動では苦戦し、不安定な契約社員や派遣に登録するしかなかったり、奨学金の返済ができないような給与の会社にしか入れない(ことが多いのではないかと想像します)。

それで奨学金悪玉論が幅を利かせてくる。

そもそも奨学金は自分の価値を上げるための「教育投資」のはずが、それを「苦しい借金」に落としめたのは本人ではないか(むろん病気とか家族の問題とかやむを得ない事情の人もいるとは思いますが一般論として)、なのに「格差を作っている!」「制度がおかしい!」などと責任転嫁する。

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奨学金の「おかげ」で大学で学べたんじゃないの?投資である以上、回収しようと努力したんじゃないの?と思いますが、結局は自分の能力をさほど高めることなく4年間を過ごしてきたわけで、それはもはや投資ではなく「欲しいものがあるから借金して買った」というカードローン利用者と同じ発想です。

すると学費は非常にコスパの悪い出費になりうるわけで、「自分はいったい何に資金と時間を投じようとしているのか」をもう少し冷静に考える必要があるように思います。

そしてこれは親も同じく、自分の生活や老後の準備を犠牲にしてまで三流大学の学費を工面することにどれほどの意味があるのかと。当然そうでない人もいるでしょうし、上記は「そうなるリスクが高い」という私の勝手な想像であるものの、ゆえに私は自分の子には、カネがあってもなくても、その程度の大学にはむしろ行かない方がいいと考えています。

大学(学力・学歴)以外の道もある

そもそも本当に優秀なら、返済不要の給付型奨学金を獲得できるはず。

それもできず三流校にしか受からないということは、学業に対して本人のやる気や適性がないからであって、であれば別の分野で自分の能力を磨いたり発揮した方がよかろうと。

この世には学問や学歴が関係ない職業はたくさんあります。たとえば起業に学歴は関係ないし、漫画家・作家・作曲家の学歴を気にして作品を買うかどうか迷うなんて人もいないでしょう。

「いやいや、一般企業に就職するには大卒と高卒では壁があるからFランでもBFでもとりあえず大学は行っておいた方がいい」という考えもあると思います。

しかし、いったん社会に出てしまえばあとは実力勝負です。

新卒時は大企業や一流企業に入れず中小零細企業に就職するしかなかったとしても、実力をつければ中途で一流企業に転職できるなど、いくらでも挽回可能。もちろん逆もしかりで、一流大卒でも仕事ができなければ落ちこぼれる。

新卒でどこにも就職できずフリーター、最初に勤めた会計事務所も1年でクビになったというド底辺の私でも、難関の外資戦略コンサルに行けるぐらいになれたのですから。

というのはまあ私の生存者バイアスだとわかっていますが、当時はほかにも外資コンサルに3社も内定が出たため、社会に出てそれなりに鍛えられたのではないかと思います。

むろん高卒と大卒とで職種や給与水準、昇進条件などを明確に区別をしている企業もあるとは思いますが、そうではない実力主義の会社を選べば関係なくなる。たとえばベンチャーはほぼ実力主義ですし、営業職なども成績に比例するでしょう。

逆にどんなに有名一流大を出ていても、たとえば大手金融機関で営業に配属されて成績が出せずにウツになって辞めた、という話も聞きますから、仕事は高卒か大卒かという学歴の問題より、能力と適性が大きく影響するように思います。

そう考えれば、研究者や教育者を目指すとか、職業選択に直結する医歯薬系や一部の理工系、美大芸大、特定業種業界への就職に強いとか資格取得に強いなどといった特色がある大学を目指すならともかく、そうでない人が大学進学にこだわる合理的な理由は(特に自分の子が社会に出る頃には)なくなっていくといっても過言ではない(いや、もうすでにないかもしれない)。

だからいまの親世代の大学信仰の強さは「呪い」だよなあと感じるわけです。そして、その呪いが少子化を後押しする原因のひとつになっている。

Next: 道はたくさんある。大学は本当に自分の能力を伸ばせる場なのか?



進路はたくさんある

大学ではなく専門学校に進んで、より専門的な技術・技能を学ぶ道もあるでしょう。

専門学校はたいてい2年でトータルの学費は4年制大学より安い学校も多く、しかも奨学金制度も充実しているところが多いですから、経済的に厳しい家庭で本人も職業選択ができるならばこういう道もあります。

私が勤めていた会計事務所には、大学ではなく専門学校で会計士や税理士になった人もいました(士業は資格が前面に出るので学歴はかすむ)。私の知人で自動車整備工場を経営している人も、車が好きで専門学校に行き、整備士の資格を取って修行して独立し成功しています(自動車整備士は人手不足が懸念されている職種でもあるので結構有望かも?)。

ほかにも料理、観光、コンピュータ、デザイン、芸術工芸、理美容、福祉などなど、学歴よりも「腕前」や「センス」、「人間的魅力」がモノを言う仕事は数多くあります。

それに大卒という学歴が欲しいだけなら通信制大学もありますから、これなら多額の費用は不要だし奨学金を借りる必要もない(借りても少額で済む)。どうしても大卒にこだわるなら、三流大に行くよりもそこそこ名の知れた大学の通信制の方がマシではないでしょうか。

実際、早稲田大学や慶応大学も通信教育過程があり、学費も通学より圧倒的に安い。そして通信であっても卒業すれば「早稲田卒です」「慶応卒です」ですし(ただし卒業は難しいというウワサあり)。

通信では「憧れのキャンパスライフ」「仲間との切磋琢磨」という点で劣りますが、スクーリングもありますから同級生とのコミュニケーションがまったくないわけでもないでしょうし、「家計が厳しいけど大学は行かせたい」ならこれで十分のような気もします。途中で挫折しなければ、あるいは卒業できればですが。

さらには防衛大学校(将来の幹部自衛官を養成する士官学校)なら全寮制で学費タダ、しかも国家公務員という立場ですから給料までもらえます(卒業後は原則任官ですが)。ほかにも気象大学校とか学費がかからない学校もある(ただし、そこそこ難関)。

「いや学ぶことが好きなんです」というならインターネット上に大学の講義動画や専門家による解説動画が無料で公開されているし、書店にいけば膨大な叡智が安価に手に入る。お金がなくても成績がふるわなくても、スマホ1台でいつでもどこでも勉強ができる時代です。「その気さえあれば」ですけど。

そう、その気さえあれば何でもできる。でもその意欲がない(あるいは低い)から、三流校でも「とりあえず大卒の学歴があればいいことがありそうだ」、などと学歴にすがってしまう。しかしこれからの時代、そういう受け身の姿勢では大卒だろうと底辺に追いやられかねないでしょう。

いずれにしても大学がすべてではないし、大学に行けば万事解決でもないし、大学を出れば幸福になれるなどと最初から決まっているわけではない。

だから大学進学至上主義的な昨今の風潮に違和感があるのです。大学進学は数ある進路の選択肢の1つに過ぎず、それが「絶対解」ではないのですから、親も子も、もっと視野を広げればこの「呪い」から抜け出せ、お金がかかるからと子を持つことへの不安も減ると思うのですが。

大学は本当に自分の能力を深化・拡大できる場なのか?

これは私個人の経験にすぎませんが、大学教授の中には教えるのがヘタとかやる気なしという人も少なくありません(でした)。おそらく教育者というより研究者だからなのでしょうけれど、あの程度の講義ならその先生の書いた著書を読めばいいし、リアルでもオンラインでもなく、録画した講義を通学の電車の中などで倍速視聴する方が効率的。

特に大講義室でやる授業のつまらなさといったら。あれで「寝るな」「スマホいじるな」というのが難しいぐらい。わざわざお金を払って通う価値など感じられない授業のなんと多かったことか。

たとえばリベラルアーツの授業こそじっくり考える必要があるはずなのに(一般教養は自己の価値判断基準を形成するための勉強ですから)、考えるどころか自分が書いた教科書の解説をするだけという先生がほとんど(まあその教科書がわかりにくいから解説が必要なのかもしれませんが、だったらわかりやすく書けばいいのに。しかも値段も高いし)。

それで私も1年生の前期で「思ってたのと違う」と落胆し、後期からほぼ大学に行かなくなってバイト三昧になりました。そして学生生活の後半は公認会計士の受験勉強に没頭し、出席をとらず前期試験もない講義だけを選んで授業にはまったく出ず、期末試験だけ受けて卒業した身なので(それで卒業できるというのもある意味スゴイ)、大学の特に文系学部の教育的価値には懐疑的なのです(しかも奨学金を借りていたので卒業後は返済が始まった…)。

いやすみません、確かに個人の経験の拡大解釈であり、母校をディスるつもりは毛頭ありません。
当然ながら学部・学科・指導官によって違い、これは30年前の話で今は違うと思います。実際、著名な人やイノベーティブな人もたくさん輩出していますから。しかしながら、たとえばビル・ゲイツ氏やマーク・ザッカーバーグ氏はハーバード大を中退、堀江貴文氏も東大中退など、大学にそれほど魅力を感じない(というか起業の方が楽しい?)人もいるのかと。

Next: 一方通行の授業しかしない大学に行く価値はない



一方通行の授業しかしない大学に行く価値はない

ただし、これは大学に限らず日本の教育全般に言えそうですが、「生身の人間が一堂に会しているからこそ意味のある授業とはどうあるべきか」という発想で授業の組み立てを考えている教育者は、一部の私立や超難関校などを除き、多くないのではないでしょうか(義務教育段階では人手不足で時間がないという理由もあるかもですが)。

学ぶスタイルが高校までの延長線上で、誰かが作った理論をなぞるだけの受け身の姿勢では成長はない。当時はインターネットもスマホもなかったため限界がありましたが、たとえば全学部・学科の講義動画をサーバーに格納し、学部学科に関係なくすべての学生に無料開放していつでもどこでも自習できるようにする。つまり単純なインプット作業は自学自習が原則。講義動画は学生からの評価ランキングをつけて下位のものは削除・更新していく。

そして一方通行的な授業を廃止し、学校は討論・ゼミ・研究・実験など「人が集まることで価値が出る」「学校の施設を活用してこそ意味がある」内容に限定した方が教育的効果が高いような気がします(そういえばコロナでオンラインになった授業の様子をニュースで見たことがありますが、あんなのまったく意味がなく動画で十分だと感じました)。

また、大学のスタッフにはイノベーティブな気質を持つ人が従事してこそ人材開発ひいては国益につながるはずですが、大学教授は社会人経験がない人も少なくなく、利権維持などもあり人材の流動性も低いのでしょう(知らんけど)。一部の危機感が強い大学を除き、高度な人材を育成する機関とは思えない学校も少なくない(むろん「研究」という領域の意義は理解していますが)。大学のキャリア支援も「就職」つまり「誰かに雇われる」道にほぼ限定されているなど、キャリア開発という側面でも疑問がある。

そう考えれば現行制度の、親の所得が低ければもらえる給付型奨学金や、よほどのことがなければ借りられる貸与型奨学金は、そういう三流大学を生きながらえさせるための制度のように思え、だから私は大学の無償化には反対で、無償化の対象は勉学への意欲と適性が高い成績優秀者に限定したほうがいいという考えです。

高校より後の高等教育は福祉事業ではないのですから、国民の税金を投入するなら費用対効果が高い可能性のある人を対象にしないと、三流大から三流人材を輩出するだけのムダ金になりかねないでしょう。

思考習慣・思考力が何より重要

もちろん、18歳という社会のことをあまり知らない段階で、就職や専門学校といった具体的な職業を選択するのは確かに難しい側面はあると思います。なので大学の4年間が自分の適性や方向性をじっくり見極められる機会になるという側面があることも否定しない。私自身も大学に落胆したのち、会計士という道を無理やりにでも見つけられましたから(結局はこれも適性がありませんでしたが)。

しかし、一流大でも三流大でも高卒でも中卒でも、つねに「それは本当か?」「それはなぜなのか?」「もっと良い方法はないか?」「本質的な課題は何か?」「どうすればこの問題を解決できるか?」「自分のキャリアと人生はどうあるべきか?」といったことを365日考え続ける思考習慣を持つ人が抜きん出ていき、知的に怠惰な人は学歴に関係なく落ちこぼれていくのだろうと思います。

なぜそう思うかというと、外資コンサルで中途採用の面接をする機会が増え、さらに起業して自分が人を雇う側になっていろんな人と接してきて、一流大卒でも適切な思考習慣や思考体系が伴わなければ、誰であろうとポンコツになるな、という経験をしてきたことが挙げられます(もちろん前述の通り基礎学力は重要であり、だからといって勉強しなくていい理由にはならないし、一般論として一流大卒は優秀な人が多いです)。

それで冒頭の「自分の子の世代の方がよりしんどい環境になっている」の話に戻るのですが、社会保障制度を中心に、子どもたちの世代は「良きサラリーマンこそワリを食う」可能性が高いのではと推測しています。

ゆえに根源的な思考力が鍛えられる場、ほかにはない貴重な経験が得られる場、子の成長や鍛錬に貢献する場でないなら、高い学費を出し(あるいは奨学金を借り)て進学する意味はなく、いったんは中3で方向性の見切り、つまり進学高校経由で難関大を目指すか、そうでないなら高校から起業し高卒でひとり立ちさせる(あるいは海外留学?)ほうがよかろうというのが現時点での私の考えです。

もちろん本人の希望を尊重しつつではありますが、その場合も「なんとなく進学」にならないよう、漫画「ベイビーステップ」のアニメ「決意のプレゼン」回ではありませんが、親を説得できるだけのプレゼンをさせようと思っています。

そのプレゼン内容を考える過程で、自分の資質・適性やその先の職業選択、そしてその道で本当に食べていけそうなのかなど調べて想像力を働かせ、進学の意味と価値、そのためにどういう姿勢で過ごすべきかといったことに真剣に向き合うのではないかと思うからです。

あ、念を押しておきますが、これらはすべて私の主観であって、それを他人に押し付けるつもりは一切ありません。私は他人の人生に責任など持てないですから、「こうしろ」「こうすべき」などとは言わない。そんなの余計なお世話でしょうし、私も他人の世話などしない。各家庭、各保護者それぞれにいろんな考えがあり、これは単にわが家の場合であり、もっというと「私の偏見」です。

なので、「自分はそうは思わない」と感じたとしても、その人にとってはそれでいい。Fラン・BFでもいいから大学に行ってほしいという考えを否定はしません。そもそも教育や子育てに正解はなく、わが家の場合も私のエゴによる壮大な人体実験のようなもので、自分の子すらどうなるかはわからない。自分と子は親子であっても明確に別人格の人間なのですから。

それでも1人でも多くの人にこの「呪い」に気づいてもらい、呪いから解放される人を増やし、少子化を止めるブレーキの一助になればと思っています。

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人間の価値は学業・進学だけにあらず

そして当然ながら人間の価値は勉強や進路だけではないので、これはあくまで基礎学力と進学の方向性というだけの話。学問や進学では計測出来ない様々な能力・才能の発掘とはまた別の問題です。

たとえば先ほどの発達障害の長男は、1年生と2年生の2年連続で市内の図画展で入賞して表彰されています(本人は興味がないようで言わないのですが)。絵なんて誰も教えてないし、彼は学校のことは家ではまったく話さないので驚きでした。それでランドセルから賞状が出てきて、「この賞状どうしたの?」と聞いても彼は何も答えずニンテンドースイッチに夢中(苦笑)。

自閉症ゆえに目に移る世界や表現方法が普通の人と違うのかなと思ったりするものの、もしかしたら芸術的な才能、世の中を捉える独特な視点、独自の表現力が眠っているのかもしれないな、とこれはこれで(過剰に期待せず)奨励しています。

一方の次男は定型発達でいま保育園の年長ですが、昨年優勝した園内のコマ回し大会(トーナメント方式)で、今年は第1回大会で初戦敗退、第2回大会で3位だったのがくやしかったらしく(それでも20人中の3位だから立派ですが)、保育園で毎日猛練習して第3回大会でついに優勝をもぎ取ったそうです。

保育園の先生もすごく練習してたと言ってましたし、その経験でコマ回しが楽しくなったらしく、今でも自由時間にはコマ回しをしているそうです。5歳にして本能があふれ出ているなという感じですが、こういう「負けん気の強さ」「負けてスネたり投げ出したりするのではなく、次の勝利のために努力する」という姿勢・資質も賞賛したいところです。

こういったいわゆる自己肯定感とか非認知能力(ボンヤリした表現ですが説明しやすいため使います)といった、自立した人間として生きる土台は、勉強や進学以前に重要なことですから。

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2022年12月配信分
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2022年11月配信分
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2022年9月配信分
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  • 「頑張らないで稼ぐ」の本当の意味(9/19)
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  • インタビュー「年収1億稼ぐ人、年収300万で終わる人」(9/5)

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2022年8月配信分
  • ビジヴォ発展の軌跡(8/22)
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2022年5月配信分
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  • 復活の軌跡/4,600万円で逃げ切るには?(5/23)
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  • 【GW特別号】50代で資産5億円、私のインフレ対策実践記。「食費と快適性はケチるな」節約・運用・収入アップの好循環を生むために今やっていること(5/5)
  • 二束三文の土地の活用法(5/2)

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2022年4月配信分
  • 考える力をつけるということ(4/25)
  • 便利屋ビジネスで稼ぐには?(4/18)
  • 契約がらみでリスクを回避する知識(4/11)
  • フランチャイズビジネスの研究(4/4)

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2022年3月配信分
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  • スタグフレーションがやってくる?(3/21)
  • 介護の経済学(3/14)
  • こどもNISA、がん保険付き団信(3/7)

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2022年2月配信分
  • ロシアのウクライナ侵攻で何を買う?(2/28)
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  • 仮想通貨のマイニングを始めました(2/14)
  • 結婚の経済学:結婚は損かトクか?(2/7)

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2022年1月配信分
  • 学歴とは何か(1/24)
  • 「借金苦で自殺」はバカバカしい(1/17)
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  • 2022年の計画(1/3)

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2021年12月配信分
  • 努力せずガツガツせず生きられる環境作り(12/27)
  • 「手抜き」とは「効率化」(12/20)
  • 季節のイベントも手抜きしてしまおう(12/13)
  • 貧困は脳みそをサボらせることで起こる(12/6)

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2021年11月配信分
  • 2021年の振り返り(後編)(11/22)
  • 2021年の振り返り(11/15)
  • 「恥ずかしい」はブレーキになる(11/8)
  • 法律知識は現代人の戦闘能力(11/1)

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2021年10月配信分
  • ぼーっと振り返る時間を持とう(10/25)
  • 不労所得か、節税か(10/18)
  • 親ガチャとか不毛では?(10/11)
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2021年9月配信分
  • 成長を続けなければならないのか?(9/27)
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  • ライトノベル作家を目指す?(9/13)
  • 手抜きは本質である(9/6)

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2021年8月配信分
  • 毎月分配型投信に再挑戦(8/23)
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  • やりがいはどこから来るのか?(8/9)
  • やりたいことは探しても見つからない(8/2)

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2021年7月配信分
  • やりたい職業の見つけ方(7/26)
  • 知的に打たれ強い人とは?(7/19)
  • 自分は生まれてこなかった方がいい?(7/12)
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2021年6月配信分
  • 流れに身を任せて生きる(6/28)
  • 「やりたいことがわからない」のは悪いことではない(6/21)
  • 自分に必要なテキストは自分で作る(6/14)

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2021年5月配信分
  • 「やりたいことをやれ」は本当なのか?(5/24)
  • 自分なりの合理的判断基準を持つ(5/17)
  • 瀕死の志摩スペイン村をいかに再生させるか?(5/10)
  • 自分のバイアスを理解する(5/3)

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2021年4月配信分
  • 緊急事態宣言なんて関係ねえPart2(4/26)
  • 裸の王様で何が悪い?(4/19)
  • 人生は二段構えで(4/12)
  • 考えるために、考えなくていいことを増やす(4/5)

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2021年3月配信分
  • なぜ貧困層ほどブラック企業を選んでしまうのか?(3/22)
  • みんなの言うことは正しくない(3/15)
  • ポンコツな自分に気がつけるか?(3/8)
  • 事業からの撤退を考える(3/1)

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2021年2月配信分
  • ブルーベリー事業始めます(2/22)
  • 私が情報発信する理由(2/15)
  • 投資詐欺に騙されないために(2/8)
  • コロナで思考停止する日本人(2/1)

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2021年1月配信分
  • 2021年は格差の年になる?(1/25)
  • 保険は入るべし!(1/18)
  • 緊急事態宣言?そんなの関係ねえ(笑)(1/11)
  • 2021年の私の計画(1/4)
  • 【新年特別号】2021年にお金が増えるのはどんな人?コロナに打ち勝つ6つの資産防衛(1/1)

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2020年12月配信分
  • 自分なりの成功を定義する(12/28)
  • 独断力の時代(12/21)
  • 成功をあきらめる?(12/14)
  • 自由を得るには自己責任意識が不可欠(12/7)

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2020年11月配信分
  • できないことよりできることに全集中(11/23)
  • 夢をあきらめるということ(11/16)
  • あきらめ上手は生き方上手?(11/9)
  • 2020年の計画を振り返る(11/2)

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2020年10月配信分
  • 新刊プレゼントキャンペーン(10月28日まで)のお知らせ(10/26)
  • 持ち家にはメリットがたくさん(10/19)
  • 「言葉にできる」はお金になる(10/12)
  • 古民家再生ビジネスは不動産投資ではない(10/5)

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2020年9月配信分
  • 思考停止していく世界に備える(9/28)
  • 健康は財産である!(9/21)
  • 貧困のバーゲンセールが始まる?(9/7)

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2020年8月配信分
  • ツイッターには稼ぐヒントがある?(8/24)
  • 最初の1歩は情報発信から(8/17)
  • コロナ時代のビジネスモデル(8/10)
  • 富裕層とは何か?(8/3)

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2020年7月配信分
  • 抽象化思考の重要性(7/27)
  • 宗教法人の買収を考えてみる(7/20)
  • あきらめることは意味がある(7/13)
  • 資本金は1円でいい理由(7/6)

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2020年6月配信分
  • 草刈りはやはりやっかいでした(6/22)
  • 香港動乱で考える(6/15)
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  • 自分の仕事を仮想空間に持ち込めるか?(6/1)

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2020年5月配信分
  • コロナでもほったらかしで稼ぐ方法とは?(5/25)
  • 教育格差を乗り切るために(5/18)
  • 起業塾なんて不要?(5/11)
  • ピークエンドの法則で今を焦らない(5/4)

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2020年4月配信分
  • アフターコロナ時代を見据えて人生戦略を見直す(4/27)
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2020年3月配信分
  • やはり投信積立は信頼できないが、今なら?(3/23)
  • ついに強制ロスカットに遭いました!(3/16)
  • 暴落相場は今か?待つべきか?(3/9)
  • 意思を持てば世界の見え方は変わる(3/9)
  • コロナで大暴落相場にチャンス?(3/3)
  • イライラしない人になる!(3/2)

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2020年2月配信分
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  • インフルエンザで倒れました。。(2/3)

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2023年3月5日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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