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少子化の原因は「最低でも大卒」という親世代にかかった“呪い”。三流大学に通うのは才能の無駄遣いだ=午堂登紀雄

前回、少子化の要因のひとつとして「教育費がかかる」ために結婚や出産を躊躇する人が多いと指摘しました。日本の社会環境全体が先行き不透明で子育てが不安というのもありますが、「子を育てるにはお金がかかり、その負担に耐えられない」と感じている人が多いからだと思います。高校までは無償化制度等もありなんとかなりそうだけれども、「大学までは行かせないといけない」「でも学費が高くしんどいから子は増やせない」ということなのでしょう。しかし、本当にそうでしょうか。現代の親の「大学までは行かせないといけない」というのは、ある種の「呪い」だと感じます。現実には「大学に行けばなんとかなる」ということはなく、何ともならないことの方が増えているのですから、過剰に大学進学に執着する必要はないと思います。今回は私がそう考えるに至った理由について、発達障害の長男と、定型発達の次男を育てている経験からお伝えします。1人でも多くの人にこの「呪い」に気づいてもらい、呪いから解放される人を増やし、少子化を止めるブレーキの一助になればと思っています。(『 午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門 午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門 』午堂登紀雄)

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プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。

「三流大学」に行くぐらいなら別の道へ?

前回は少子化・人口減少による負のインパクトを考察しましたが、自分の代まではなんとかなったとしても、子の世代の方がよりしんどい状況になっていることが予想されます。

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それで自分の子への教育投資について日々考えています。

基本的な子育ての考え方や方針は拙書『1億稼ぐ子どもの育て方』(主婦の友社)に詳しく書きましたが、今回は「学力」「進学」についてです。

私の勝手な進学観ですが、旧7帝大+4(東京工業・一橋・神戸・横浜国立)、早慶上理明青立法中、関関同立レベルに入れない程度の学力だったら、無理に大学に進学せず他の道を模索すればいいかなと思っています。

というのはまあ半分ジョークで、もちろん無名でも特色ある教育をしている大学、あるいは特定業界への就職や公的資格取得が強いなど、私が知らないだけで探せば魅力的な大学はたくさんあると思います。

なのでこれは「三流校(Fラン校やBF校)に行くことに反対」「学業に適性がないなら大学進学に固執せず別の道を選べ」」というのが主眼です。

ちなみにBFはボーダーフリーのことで、定員割れしていて全入できるため偏差値がつかない学校・学部のことです。

むろん本人の強い目的意識、やる気、強烈な動機、その大学・学部を選んだ先に目指している将来プランの明確さがあれば、当然ながらどんな学校であろうと尊重するつもりではあります。

しかし、「とりあえず大学には行っておかなきゃ」などというあいまいな理由で三流校へは行かせたくない。

そして、そこに行くかどうかは別として、「難関校に受かるだけの基礎学力」は身につけてほしいなあというのが私の勝手な希望です。

基礎学力の高さの重要性

これは学歴重視や詰め込み教育などという矮小な話ではなく(後述しますが、かつて大学教育に失望した私にそもそもそういう発想がない)、基礎学力の確立とそれに伴う戦略思考力の高さが重要だと考えているからです。

基礎学力とは、論理的思考力や抽象化思考力といった人間の知能の土台です。

たとえば国語の勉強は論理的思考力を鍛え、数学は抽象化思考力を鍛えます。論理的思考力とは「スジが通った」考え方ができることで、つまり合理的であるということですから、スジが通っていれば大きな間違いにはなりにくく、自分も周囲も納得させられます。

また、論理は判断の根拠となることから検証も可能です。検証できれば教訓化でき、次に応用できるなど、以降の判断のレベルアップになる。それに論理とは物事の関係性の理解でもありますから、因果関係や相関関係といった未来の想像や予測を助けてくれます。すると「こうすればこうなるだろう」が推測でき、リスク回避や備え、あるいはチャンスをモノにすることにもつながる。

また、正確な日本語運用能力を獲得できれば、この世のあらゆる事象も人間の感情も言語化できる。言語化できれば理解もできるし、言語化できればアウトプットも軌道修正も上書きもできる。
高度な読解力があれば、自分をとりまく世界をより深く広範に理解でき、自分が持っていない物の見方・考え方を吸収し、適切に対処できるようになる。

物事の因果、そして他人の行動原理、自分の感情や内面すら説明できる言語能力があれば、不安や悩みも自力で解消できるし、他人とも適切に付き合えるでしょう。

また、算数とそれを土台に展開される数学は目に見えない事象を扱うため、抽象的に考える力が鍛えられます。

たとえば微分積分・代数幾何・指数関数・二次関数などは、物理的に存在しないし目にも見えないものであり、このような概念的な分野の理解には高度な抽象化思考力が必要です。

抽象化思考力とは、たとえば分野が異なるものの間にある共通点を導いたり、物事の本質を見抜いたり、時間軸を長くとって考える力、空間軸を大きくとって考える力です。

お金も抽象的概念であり、なので対象が違っても1万円を持っているなら1万円の価値があるものと交換可能です。

Next: 学歴は不要だが難関校に入れる学力は必須?次の世代に必要な力とは

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