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少子化の原因は「最低でも大卒」という親世代にかかった“呪い”。三流大学に通うのは才能の無駄遣いだ=午堂登紀雄

少子化の要因のひとつは「親の呪い」

実はここまでの話は長い前フリで、本題はここから。

前回、少子化の要因のひとつとして「教育費がかかる」ために結婚や出産を躊躇する人が多いと指摘しました。日本の社会環境全体が先行き不透明で子育てが不安というのもありますが、「子を育てるにはお金がかかり、その負担に耐えられない」と感じている人が多いからだと思います。

高校までは無償化制度等もありなんとかなりそうだけれども、「子には大学までは行かせないといけない」「でも学費が高くしんどいから子は増やせない」ということなのでしょう。

しかし本当なのでしょうか。

現代の親の「子には大学までは行かせないといけない」というのはある種の「呪い」だと感じます。現実には「大学に行けばなんとかなる」ということはなく、何ともならないことの方が増えているのですから、過剰に大学進学に執着する必要はないと思います。

仮に高卒で就職したとして、でもやはり高卒は不利だと本人が痛感しているとか、社会に出て自分に足りないものがわかり、「これを真剣に学びたい」と問題意識が高まってから大学に入り直す方が教育的な意義があるし、本人がお金を貯めて(あるいは本人名義の教育ローンで)入学するなら、親の負担も減るでしょう。

後述しますが、大卒の肩書きが欲しいなら安価な通信制大学だってある。なのに、この呪いにがんじがらめになって将来を不安視し、子を持つことや、第2子・第3子を躊躇する人が多い印象です。

それで少子化が進行し、一部の上位難関校を除きこれから大学全入時代を迎えるわけですが、すると「大卒」の価値はこれからも保てるのか、進学で本当に本人の価値や技量が高まるのかというと、極めて疑問です。

一流校や差別化された特色ある教育を提供している大学ならともかく、たとえばFラン大やBF校にまで親が学費を工面し、あるいは奨学金を借りて進学するというのは無駄の極致だというのが私個人の考えです(そういう人を否定するわけではなく、私が無駄だと考えているだけ)。

三流校でも自分の道を掴める人/掴めない人

むろん「本人が真剣に学びたいことがあるからそこを選ぶ」なら良いのですが、「とりあえず大学には行かなきゃ・行かせなきゃ」「でも本人の偏差値で行けるのはこのくらい」「その中でとりあえずこの学校・学部にしとくか」という安易な発想で進学するとしたら?

それで三流大に入る。周囲の同級生も同程度の学力で、同じようにさほど勉強が得意ではなく、さほど学業に適性がない人が集まってくる。そもそも高校までの学習範囲の理解も十分ではない(だから三流校にしか入れない)。当然ながら、一流校の学生ほどには熱心に勉強しない(可能性が高い)。

そして本人も周囲に流され在学中はのんびりと過ごし、就職戦線を勝ち抜くだけのスキル・能力・経験が蓄積されない。いや、そもそも具体的にどのようなスキル・能力・経験を積まないといけないか、周囲のレベルも高くないからその方向性も努力量もわからない。

これがたとえば一流大の学生ならいろんなことにアンテナを張って情報収集・情報交換し、在学中からインターンや海外留学をするなど経験と能力を積み上げます(という人の割合が高い)。

というのも、たとえば学生向けの起業をテーマにしたシンポジウムやセミナー・勉強会などに行っても、来ている参加者の多くは一流大の学生で、質問も鋭いのです(質問するときに本人の学校名を名乗るのを聞いただけのサンプリング的な推測ですから、もちろん他大の学生もいるとは思います)。

しかし三流校では周りにそこまで問題意識を持っている人が多くないから気づけない。仮にいたとしても、そういう意識高い系は三流校では一匹狼になりやすく(あるいは意識高い系同士のグループで固まる)、接点を持てない。

たまに聞いたこともない無名大学の学生が会計士試験や司法試験に合格していることがありますが(最近は知りませんがかつては出身校が公開されていたため)、彼らはそもそも強烈な危機感を抱いて進学していますから、友達作りとかサークル活動やコンパなどにはほとんど興味がない。中には入学してすぐ資格試験の専門学校に通ってダブルスクールで過ごす人もいる。

Next: どちらを選ぶ?「教育」という自己投資か、「借金」という消費か

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