fbpx

少子化の原因は「最低でも大卒」という親世代にかかった“呪い”。三流大学に通うのは才能の無駄遣いだ=午堂登紀雄

論理的思考と抽象化思考の上に育成される戦略思考

そして戦略思考とは、これら基礎学力の上に培われる、学生で言えば「自ら目標を設定し、現状との乖離を把握し、その差を埋め目標達成が可能となる方法論と最短プランを描き、それを日々の学習計画やTODOにブレイクダウンし、結果を確認しつつ必要に応じて勉強方法を変え、その勉強方法すら自らの知恵と工夫で編み出す能力の高さ」のことです。

これは社会に出たとしても自分のキャリアパスを描いたり、どんなスキルをどのように向上させるかなどにも同じことが言えますし、家を買うとか資産運用とか、生活の全方位で応用できます。
そしてこの能力が高ければ、人生で出会う問題の多くは乗り越えられるはずで、それが難関大に進める人はこの能力が高く、難易度の低い大学の学生(つまり基礎学力が高くない)はその能力が低い傾向があるわけです(あくまで一般的に、です)。

というのも、難関校に受かるには、よほどの天才は別として、普通の学生にはこの戦略思考が必要だからです。

ただ漫然と学校の勉強(つまり受け身の勉強)をしただけでは上位校への合格はおぼつかず、学校の勉強の上に自分で必要な参考書や問題集を探して弱点を補完しつつ、限られた時間の中で得点力を上げる時間配分など、自分の成績の変化に応じて都度見直さなければならない。

これがたとえばトップクラスの進学校であれば学校の勉強だけで十分なこともありますし、都市部なら塾や予備校などで補えると思いますが、そういう環境でなければたとえば下記の素養が求められるでしょう。

・自分に合った勉強法を自分で考え工夫する創造力や応用力
・勉強方法を試行錯誤し必要に応じて都度変更し最適化させる柔軟性
・受験までに必要な範囲を習得し正答させる力に持っていく時間感覚やプランニング能力
・複数の科目を同時に勉強するバランス感覚や並行処理能力
・出題傾向を把握し力を入れる範囲、手を抜く範囲を取捨選択する分析力や判断力
・自らモチベーションを維持しあきらめず勉強を続ける精神力

つまり難関校出身という学歴は、それら根源的な思考力の高さの副産物に過ぎないというのが私の考えで、ゆえに私は学歴は重視しないものの、その学校に受かるだけの学力はつけてほしいなあと思うのです。

とはいえ、勉強の強制はやる気を損なうだけ

だからといって、子に「勉強しろ」などという強制は百害あって一利なしだと思っています。
実際、大人でも上司から「仕事しろ」とか言われるのは不愉快でしょう。

なので私も「宿題やった?」などと聞くことはありませんし、宿題をやらなくて先生に叱られたとしても、あるいは親に伝えなかったことで忘れ物をしても、それは本人の問題。

長男が小学2年生に上がって学童に行きたくないと言い出した時、「でも勉強は大事だから勉強できる場所を探そうね」と伝えて個別指導塾を数か所体験し、本人自身が「ここがいい」と決めた塾に行かせるようにしたぐらいです。

そしてこれからも「勉強しろ」「宿題しろ」などとは言わないつもりですし、本人から相談してこない限り、成績が悪くても責めたりするつもりもありません。中学受験をするわけでもないのに、親までもが学校や塾と同じ目線に立ってしまえば子も息苦しいでしょう。

それに家庭は子にとって絶対的な安全基地にしたいので、家では勉強しなくてもいいし好きに過ごしていいというスタンスです(なので学校の宿題も塾で済ませてから帰るようにさせています)。

そして強制や叱責ではなく、日頃の親子の会話の中から学ぶことの大切さを感じてもらうことが大切だと考えています。

それに、仮に成績が悪かったとしても、思春期を迎え年齢に応じた思考力が育っているなら、親があえて言わなくても本人なりに危機感を覚えるだろうし、志望校など目標ができれば自ら取り組むはず。なのでそういう自我が育つサポートをするのが親の役目かなと思っています。

それでダメならそれも本人の適性・個性・資質ということで、後述しますが別の道を探します。

Next: 無駄な授業などない?学校の勉強は脳を鍛える訓練

1 2 3 4 5 6 7 8 9
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー