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少子化の原因は「最低でも大卒」という親世代にかかった“呪い”。三流大学に通うのは才能の無駄遣いだ=午堂登紀雄

進路はたくさんある

大学ではなく専門学校に進んで、より専門的な技術・技能を学ぶ道もあるでしょう。

専門学校はたいてい2年でトータルの学費は4年制大学より安い学校も多く、しかも奨学金制度も充実しているところが多いですから、経済的に厳しい家庭で本人も職業選択ができるならばこういう道もあります。

私が勤めていた会計事務所には、大学ではなく専門学校で会計士や税理士になった人もいました(士業は資格が前面に出るので学歴はかすむ)。私の知人で自動車整備工場を経営している人も、車が好きで専門学校に行き、整備士の資格を取って修行して独立し成功しています(自動車整備士は人手不足が懸念されている職種でもあるので結構有望かも?)。

ほかにも料理、観光、コンピュータ、デザイン、芸術工芸、理美容、福祉などなど、学歴よりも「腕前」や「センス」、「人間的魅力」がモノを言う仕事は数多くあります。

それに大卒という学歴が欲しいだけなら通信制大学もありますから、これなら多額の費用は不要だし奨学金を借りる必要もない(借りても少額で済む)。どうしても大卒にこだわるなら、三流大に行くよりもそこそこ名の知れた大学の通信制の方がマシではないでしょうか。

実際、早稲田大学や慶応大学も通信教育過程があり、学費も通学より圧倒的に安い。そして通信であっても卒業すれば「早稲田卒です」「慶応卒です」ですし(ただし卒業は難しいというウワサあり)。

通信では「憧れのキャンパスライフ」「仲間との切磋琢磨」という点で劣りますが、スクーリングもありますから同級生とのコミュニケーションがまったくないわけでもないでしょうし、「家計が厳しいけど大学は行かせたい」ならこれで十分のような気もします。途中で挫折しなければ、あるいは卒業できればですが。

さらには防衛大学校(将来の幹部自衛官を養成する士官学校)なら全寮制で学費タダ、しかも国家公務員という立場ですから給料までもらえます(卒業後は原則任官ですが)。ほかにも気象大学校とか学費がかからない学校もある(ただし、そこそこ難関)。

「いや学ぶことが好きなんです」というならインターネット上に大学の講義動画や専門家による解説動画が無料で公開されているし、書店にいけば膨大な叡智が安価に手に入る。お金がなくても成績がふるわなくても、スマホ1台でいつでもどこでも勉強ができる時代です。「その気さえあれば」ですけど。

そう、その気さえあれば何でもできる。でもその意欲がない(あるいは低い)から、三流校でも「とりあえず大卒の学歴があればいいことがありそうだ」、などと学歴にすがってしまう。しかしこれからの時代、そういう受け身の姿勢では大卒だろうと底辺に追いやられかねないでしょう。

いずれにしても大学がすべてではないし、大学に行けば万事解決でもないし、大学を出れば幸福になれるなどと最初から決まっているわけではない。

だから大学進学至上主義的な昨今の風潮に違和感があるのです。大学進学は数ある進路の選択肢の1つに過ぎず、それが「絶対解」ではないのですから、親も子も、もっと視野を広げればこの「呪い」から抜け出せ、お金がかかるからと子を持つことへの不安も減ると思うのですが。

大学は本当に自分の能力を深化・拡大できる場なのか?

これは私個人の経験にすぎませんが、大学教授の中には教えるのがヘタとかやる気なしという人も少なくありません(でした)。おそらく教育者というより研究者だからなのでしょうけれど、あの程度の講義ならその先生の書いた著書を読めばいいし、リアルでもオンラインでもなく、録画した講義を通学の電車の中などで倍速視聴する方が効率的。

特に大講義室でやる授業のつまらなさといったら。あれで「寝るな」「スマホいじるな」というのが難しいぐらい。わざわざお金を払って通う価値など感じられない授業のなんと多かったことか。

たとえばリベラルアーツの授業こそじっくり考える必要があるはずなのに(一般教養は自己の価値判断基準を形成するための勉強ですから)、考えるどころか自分が書いた教科書の解説をするだけという先生がほとんど(まあその教科書がわかりにくいから解説が必要なのかもしれませんが、だったらわかりやすく書けばいいのに。しかも値段も高いし)。

それで私も1年生の前期で「思ってたのと違う」と落胆し、後期からほぼ大学に行かなくなってバイト三昧になりました。そして学生生活の後半は公認会計士の受験勉強に没頭し、出席をとらず前期試験もない講義だけを選んで授業にはまったく出ず、期末試験だけ受けて卒業した身なので(それで卒業できるというのもある意味スゴイ)、大学の特に文系学部の教育的価値には懐疑的なのです(しかも奨学金を借りていたので卒業後は返済が始まった…)。

いやすみません、確かに個人の経験の拡大解釈であり、母校をディスるつもりは毛頭ありません。
当然ながら学部・学科・指導官によって違い、これは30年前の話で今は違うと思います。実際、著名な人やイノベーティブな人もたくさん輩出していますから。しかしながら、たとえばビル・ゲイツ氏やマーク・ザッカーバーグ氏はハーバード大を中退、堀江貴文氏も東大中退など、大学にそれほど魅力を感じない(というか起業の方が楽しい?)人もいるのかと。

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