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「炭鉱のカナリア」銅先物価格に下落余地あり。景気後退の最悪期はまだ先か=高梨彰

景気後退をいつ迎えるのかという話題がメディアの記事を賑わすようになりました。こんなときに役立つのが銅先物価格です。現状を見ると、本当の景気の最悪期はまだ先になりそうです。(『徒然なる古今東西』高梨彰)

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プロフィール:高梨彰(たかなし あきら)
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。

直近の銅先物価格

世界は景気後退に入りつつあるのか、何年かに1回は話題になります。そんなとき、いつも頼りにしているのが銅先物価格です。足元は「景気後退に入りつつあるかもしれないけど、最悪はまだ先でしょ」と語っています。

NY銅先物価格、直近は3.68ドルです。2020年のパンデミック発生時には2ドルまで下げました。その後上昇を続け、2021年春から2022年6月に入るまで、概ね4ドルから5ドルの高値圏推移が続きます。

銅先物(COMEX)週足(SBI証券提供)

銅先物(COMEX)週足(SBI証券提供)

これが6月以降急落。7月には3ドル台前半まで値を下げます。そして少し値を戻しての3.68ドルです。

世界的な金融危機は2ドルが目安

出典:TradingViewの銅先物チャート週足

出典:TradingViewの銅先物チャート週足

2020年の2ドル、これは2008年のリーマン危機から世界的な金融危機が酷くなった2009年春と同水準です。この時も銅先物は2ドル割れを経験しています。

そして危機対策としての金融緩和・財政出動を受けて、2011年には4ドル台に上昇。リーマン危機時とコロナ禍後の足取りはほぼ同じなんです。

単純化すると怒られがちなんですが、銅先物価格が示す「最悪期」の基準は2ドルとも言えそうです。

Fedにはインフレ退治の余裕が残っている

今が3.6ドル台なので、市場はまだ最悪期への備えができていないという理屈です。

言い換えれば、Fedがインフレ退治を優先させるための余裕が残っているとも。26日にジャクソンホール会合で行われるジェローム・パウエルFRB議長のスピーチに際しても、銅先物価格の動向と合わせて考えてみたいと思います。

Next: 金や原油より景気指標として役立つ銅

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