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「日本衰退計画」の失敗と、2018年から始まる我が国の明るい未来=児島康孝

2018年は世界的には景気下降の年です。しかしこれは恐慌のような大規模なものとは異なります。また日本の街角景気は、意外なほど明るいものになりそうです。(『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』児島康孝)

世界に逆行しそうな2018年の日本。庶民の景気回復はこれからだ

今年は世界的経済後退の年?

2017年は、トランプ政権下で経済危機が起きるとか、春先に恐慌が起きるとか、様々なことが言われていました。しかし、当メルマガでは一貫して「景気は上昇する」と書いてきました。
※参考:銀座一等地は、25%上昇、やはりバブル景気は始まっている(2017年3月22日配信)
※参考:大きな経済危機は、もう来ない(2017年3月20日配信)

多くの識者が2017年(特に前半)に経済危機が起きると言っていたので、メルマガの読者さんは「本当かな?」と思われたかもしれませんね。

いっぽうで筆者は、2018年は「景気下降」の年になると予想しています。

景気が後退しやすい2つの理由

アメリカの景気は大統領選挙に向けて良くなり、1年目もおおむねそのまま良好です。しかし、大統領就任1年を過ぎたあたりで、少し息切れするのが、アメリカの景気のパターンです。

また、FRB議長が2018年2月に交代します。FRB議長がイエレン氏からパウエル氏に交代するわけですが、パウエル氏の議長としての手腕は未知数です。おおむね、FRB議長の交代にあわせて、マーケットが新任の議長を試すかのような動きをします。

このため、一転して株価が下落するとか、そのような展開になりやすいのです。

アメリカ、ヨーロッパの順に景気が回復し、次は日本かという時期に景気後退が始まりやすいというタイミングにも一致しています。

具体的には、2018年は「株安・円高」になりやすいということです。

しかし「恐慌」は起こらない

しかし、2018年の景気後退は「恐慌」のような大規模なものとは異なります。それなりの値幅と期間はあるでしょうが、経済の超長期サイクルが上昇転換しているからです。

ですから、戦後の高度経済成長の日本でしばしば起きた不況と、同じ程度となるでしょう。それなりの不況ではあるのですが、その後に回復しますので、深刻な大恐慌とは異なります

Next: 日本衰退計画の終了。そして誰しも予想外の「明るい日本」が訪れる



日本の街角景気は回復継続の可能性も

さて、気になる日本の街中の景気ですが、これまで最悪の状態があまりに長かったことから、街中の景気や雇用はこのまま回復を続ける可能性があります。つまり、日経平均の大幅下落や円高が起きても、生活の実態では回復の傾向が持続する可能性があります。

戦後の日本を振り返ってみましても、超長期の景気サイクルが上昇している間は、それほど不況が深刻化していません。

1990年以降のバブル崩壊、リーマンショックというのは、超長期の景気サイクルが下降している中での出来事です。超長期のサイクルは、もう上昇転換しています。

これからは、1990年の時点で、その後の日本が長く暗いトンネルに入るのが予想しにくかったのと逆。今ではまったく考えられないような、明るい日本が予想外に訪れる可能性が高いのです。

先日の当メルマガでお伝えしましたように、ファッションの色はキャメルが流行してきていますし、音楽も1980年代へ回帰の傾向がみられます。つまり、暗く鬱陶しい生活にはみんな飽き飽きしていて、明るい方向に進みたいのです。

「日本衰退」を画策していた欧米勢の衰退

今の50歳代から上の世代は、経済力が強かった頃の日本を知っています。かつて、日本のGDPは、アメリカに次いで世界2位でした。それが、トランプ政権の前の欧米勢の「入れ知恵」で、リストラが経済を良くすると思い込まされ、悲惨な経済状態に陥ったわけです。

トランプ政権以前の欧米勢は、日本を衰退させようとしていました。それに、まんまと乗せられ、誤った「構造改革」「リストラ」で、日本は自滅してしまったわけです。彼らが気に入っていたのは、小泉政権気に入らなかったのは、菅(直人)政権と、安倍政権です。

こんなことを言うと、「民主党の菅政権と、自民党の安倍政権を同じにするな」とそれぞれの支持者から怒られそうですが、筆者がここで言いたいのはこういうことです。

つまり、右か左か、自民党かそれ以外かという尺度ではなく、日本が良くなるのかどうかという尺度なのです。そして現在、日本を陥れようとしてきた旧勢力は、トランプ政権の誕生で動きにくくなっています。

今後の日本は大いに期待できる

さて、今の20歳代・30歳代は「デフレ」の姿の日本しか知らないわけですが、今後はお楽しみというわけです。

ですから、ビットコインで大儲けするのも、大いに結構。新しい動きに積極的に乗ってゆくことが、これからの時代には「吉」ということになります。

2018年の景気は「後退」の予想であるものの、長期的には「日本には大いに期待できる」ということです。

Next: なぜ「アベノミクス」が機能していないように見えるのか?



従来なら機能したはずのアベノミクス

アベノミクスは、するのが正しいのか、しないのが正しいのか。これは、当然「した方が正しい」のです。しなければ、日本はもっとひどいことになっていたでしょう。

しかしアベノミクスは、以前の日本のようには機能していません。現在の日本はインフレではないので、大企業の内部留保にマネーが蓄積します。デフレの場合、単にマネーを積み上げておくだけで、価値が増す(=「合理的」な行動)ためです。

また、今回の三菱東京UFJ銀行のケースのように、アベノミクスや国内のリストラでたまったカネを、「外国で使う」というケースも典型的です。

三菱東京UFJ銀行、インドネシア銀5位を事実上買収へ

三菱東京UFJ銀行の発表資料によりますと、三菱東京UFJ銀行は、インドネシアの商業銀行で5位(当期利益ベース)のバンクダナモンの株式の73.8%を最終的に取得する見通しです。

第1段階として、1334億円で約19.9%を取得。第2段階として、2018年に20.1%を追加取得。さらに一般株主からの買い取りを進め、最終的には73.8%以上の株主となり、事実上、買収を完了します。

多くの株式の買い取りは、シンガポール政府系ファンド、テマセク・ホールディングス(Temasek Holdings)の傘下にある、投資会社からです。テマセクの子会社のFullerton Financial Holdingsの子会社、Asia Financial(Indonesia)やその関連会社から、バンクダナモンの株式の40%を買い取ります。

この話は、2017年12月26日に三菱東京UFJ銀行から発表されましたが、日本経済やアベノミクスという観点から見ると、また違った側面も見えてきます。

大企業は、アベノミクスや国内リストラで巨額利益

日本の大企業は、アベノミクスや、国内のリストラで、巨額の利益を蓄積しています。

従来なら、これが従業員の賃上げボーナスアップに使われたり、国内の設備投資に使われてきました。従来は、その巨額利益が、時間差で従業員や中小企業にまわり、景気が良くなっていたのです。

しかし、現状では、デフレでマネーが目減りしないので、そのまま内部留保として積み上げたり、また、日本国内を見限って、外国に投資しているのです。

従来の経営者なら「不況を乗り切った従業員に報いよう」という発想があったのですが、現在の大企業の経営者にそういう意識はあまりないようです。

今回のケースでも、三菱東京UFJ銀行のマネーは、シンガポールの会社やバンクダナモンの一般株主に流れます。

Next: アベノミクスのカネが、大企業の内部留保や外国に流れている



アベノミクスのカネが、大企業の内部留保や外国に流れている

本来なら、アベノミクスの恩恵はまず国内に及ばせるというのが、本筋であったはずです。

しかし、ひと世代前の大企業経営者と違って、現在の大企業経営者の多くはそういう考えが希薄なようです。これでは、トランプ大統領が、アメリカ第一主義を唱えたように、日本第一主義を唱える動きが始まらなければ、変わりません。

日本の個人消費が良くなければ、外国からみた日本のマーケットとしての魅力も失なわれます。それは、日本の外交力や、安全保障のレベルにつながってゆくのです。

ヨーロッパでは、中国を重視する動きが顕著です。どの国も、自国の利益が優先ですから、中国とのビジネスが重要視されてきているわけです。

日本の肩を持ったところで、メリットがなければ、日本の味方をしようという国もどんどん減ってしまいます。つまり、1990年以降の日本の衰退の間に、日本の味方をしても得をしないという状況になってしまっているのです。

ですから、トランプ大統領がアメリカ第一主義を主張しているのは、アメリカ経済のためには正しいのです。自国の個人消費やGDPこそが、国力や軍事力を左右するのです。

日本にとって今こそ勝負のとき

こうした観点から考えますと、日本の個人消費やGDPを考えない大企業は、目先は良くても、いずれ足元から崩壊することになります。

それが、軍事的な要因なのか、個人消費の低迷によるボディブローなのかはわかりません。ですが、このまま放置すれば何かとんでもないことが起きそうです。

超長期の景気サイクルが上昇転換しているだけに、いまは本来チャンスの時期であり、何らかの対策が不可欠となっています。

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ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2017年12月30日, 2018年1月1日号)より抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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