株式投資の初心者が失敗する要因に「下げ続けている銘柄を買いに行く」というのがあります。値下がりしている株を買うのは、逆転ホームランを狙うようなものです。(『資産1億円への道』山田健彦)
無計画では生き残れない。自分にあった「投資ルール」のつくり方
狙うのはヒットかホームランか?
株式投資の初心者が失敗する要因に「下げ続けている銘柄を買いに行く」というのがあります。何を隠そう、筆者も駆け出しの頃にはそのような経験は1度や2度ではありません。
業績はとても良い会社で「これ以上は、下げ続ける理由が見当たらない」とか「ここまで下げたら、いつ反転しても不思議ではない」と考え、株価の大底圏で買ったつもりが、株価はさらにズルズルと下げて損失を出して撤退することを繰り返していました。
それ以外にも、毎月定額の積立投資をしている場合も要注意です。定額積立は株価が下がったほうが、より多くの株式を購入できるので、株価の値下がりが気にならなくなるのです。
「今月、買った1株の株価が近々10倍になっても、儲けは微々たるものだ。このまま積立をして100株になってから、株価が上昇に転じれば、儲けも大きくなるはずだ。早く100株にならないかな…」と考え、株価の値下がりを歓迎してしまうようになります。
しかし値下がりし続けている株を買い続けていては、損益はマイナスで、しかもそのマイナスはどんどん膨らんでいきます。値下がりしている株を買ってはいけないのです。
値下がりしている株を買うのは、逆転ホームランを狙っているようなものです。逆転ホームランはカッコ良いし、何よりも「ヤッター!」という達成感が味わえます。ただ、投資の世界で逆転ホームランを狙うのは、ギャンブルです。
ギャンブルは退屈な日常に変化をもたらすエンターテイメントとしての価値しかなく、知的なアプローチではありません。
投資で安定的、継続的に利益を得たいなら、逆転ホームランよりヒットを狙うべきです。ヒットとは上昇トレンドに転じた銘柄を丁寧に拾っていくことです。
賢くヒットを重ねれば市場で生き残ることができますが、ホームラン狙いのギャンブルは市場から退場する近道になります。
投資ルールを持たないと生き残れない
市場から撤退することのないよう、自分なりのルールを作りましょう。ルール作りは以下の3つがポイントになります。
- 買い出動するタイミングと投入する資金量はどのくらいにするのか?
- 追撃買いするタイミングとポジションを減らすタイミングはどのようなときか?
- 撤退するタイミングはどのようなときか? 一度に撤退するのか、数回に分けて撤退するのか?
事前にルールを決めると、投資の楽しみ1つでもある、ある種の熱狂や興奮から自分を遠ざけることになります。しかしこの事前ルールは、10年後でも20年後でも投資の世界で生き残っていけることを保証してくれます。
筆者の場合は、以下のとおりです(いつも申し上げておりますが、これのみが唯一無二の正しい方法だ、とは言うつもりはありません。いろいろなアプローチがあって良いと思います。ご参考程度に見ておいてください)。
Next: 投資ルールの参考例:買い出動から撤退まで
私の投資ルール
<その1:買い出動するタイミングと投入資金量>
今の株価と、5日移動平均線、25日移動平均線、75日移動平均線をPC(スマホ)画面上に出します。それぞれの位置関係は、1番下に5日移動平均、その上に現在の株価、その上に25日移動平均線、その上に75日移動平均線があるのが、筆者にとっての理想の姿です。
トレンドは75日移動平均線は上向きが絶対条件。
25日移動平均線は、鋭角的な下向きでない限り、向きはどうでも良い。
ここで、5日移動平均線が上向きに転じた時点で打診買い。
ただし、四半期決算発表が数日後に控えている場合は、そこで流れが変わるかもしれないので、そのまま何もせず様子見。
打診買いはミニ株で10から20株程度。
<その2:追撃買いするタイミングとポジションを減らすタイミングはどのようなときか?>
(その1に続く状況で)もし、5日移動平均線が上向きを引き続きキープし、株価が25日移動平均線を下から上に突き抜けたら、そこで追撃買い。
5日移動平均線が25日移動平均線を下から上に突き抜けたら2回目の追撃買い。
25日移動平均線が上向きに転じたら、3回目の追撃買い。
75日移動平均線を株価が越えたら、4回目の追撃買いを実施。
以後、5日移動平均線が75日移動平均線を越えた段階、25日移動平均線が75日移動平均線を越えた段階で、それぞれ追撃買いを実施。
ただし、どこかの過程で、5日移動平均線が下向きに転じたら、それまでのポジションは半分に落とすか、一度撤退する。
<その3:撤退するタイミングはどのようなときか? 一度に撤退するのか、数回に分けて撤退するのか?>
(その2に続く状況で)5日移動平均線が25日移動平均線の上に位置する場合は、5日移動平均線が下向きに転じたら、ポジションは半分に落とす。
その後、25日移動平均線を株価が上から下に突き抜けたら、完全に売却するか、または残っている半分のさらに半分にポジションを落とす。
その場合、25日移動平均線が下向きに転じたら、全面撤退です。
私が決めている投資ルールはこんな感じです。ここのところ、マーケットは調整色を強めているので、このルールは少し変更しようかな、とも考えています。
Next: タイミングは教えてくれない…。プロの「買い推奨」とどう向き合うか
プロや達人の「買い推奨」とどう向き合うか
上場企業が4千近くあるなかで、何を買うかを選ぶのは至難の業です。さらに四苦八苦して特定の2~3つの銘柄に決めたところで、その銘柄の株価が次の日から上がってくれるという保証はどこにもありません。
だったら銘柄を選ぶ手間は、プロや達人あるいは証券会社に任せて、そこから自分の納得できるものに絞り込むというのも1つの方法です。
ここでの問題は、彼らは買うべき理由は教えてくれますが、「どのようなタイミングで買えば良いのか」については何も教えてくれないことです。
利益を上げられるかどうかは、その買い推奨に飛び乗るタイミングでほぼ決まり、買うこと自体にはほとんど関係がありません。
先人は「穴のあくほどチャートを見つめよ」との格言を残しました。
「買った瞬間から値下がりする銘柄」と「買った瞬間から値上がりする銘柄」の違いは、単に「買い出動するタイミング」つまり、チャート上で株価が上昇トレンドに転換するタイミングを掴めるかどうかに起因するのです。
上記「3つのルールを作る」が参考になれば幸いです。ぜひ自分なりの3つのルールを作ってみてください。
『資産1億円への道』(2018年2月6日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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資産が1億円あるとゆとりある生活が可能と言われていますが、その1億円を目指す方法を株式投資を中心に考えていきます。株式投資以外の不動産投資や発行者が参加したセミナー等で有益な情報と思われるものを随時レポートしていきます。