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本当はボロボロの米国経済。景気悪化の「兆候」を示す3つのデータ

この状況でも強気の投資家が多いようです。彼らは何を見て景況判断しているのか。米経済の危うさがわかる各種データをもとに、自分の基準を持つことの大切さを解説します。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)

※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2018年2月19日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

強気の投資家は何を見ている?米国経済の後退がわかる確かな数値

景況感に疎い投資家たち

株の投資をしている人たちの話を聞いていて、ときどき思うことは、「何をもって景気の良し悪しを判断しているのだろうか?」ということです。

私が「こんなに景気はひどい状態なのに!」と思っていても、何も感じていない様子です。

その点、株価などをまったく気にしていない主婦たちの方が景況感に敏感であり、まだ正確なようです。

ところが、2月5日以降は、それが様変わりです。

株式投資をしている知人の多くが、「これからどうなるのだろう?」と話しかけて来ます。逆に尋ねます。「あなた自身は、どうなると思っているの?」と。

ところが、「どうなるのだろうか?」と聞いて来たにもかかわらず、ほとんどの人が「基幹産業の株だから問題ない」とか「もう少し様子を見てから」とか「心配していない」というような、わけのわからない返事をします。

私は心の中で「それなら聞かねば良いのに」と思います。

ここで気が付いたことは、多分「自分自身でこの事態を深く考えていない」か「問題を軽視している」または「考えることを放棄している」のいずれかです。

大事なことは、自分自身の未来に関することですからもっと調べるべきであり、自分の人生を自分らしく生きたいのであれば、自分の論理を構築することだと思います。

他人の意見に盲従することは、自分の人生を自分で決めていないことになります。

米国の経済指標は本当に強いのか?

米国のファンダメンタルズ(各種の経済指標)は非常に良い。株価下落を心配する必要はまったくない!」と主張する人も居ます。さて、本当にそうでしょうか?

長ったらしい言葉よりも、グラフの方が単純明快です。米国の鉄道輸送量の最新データ(2017年12月)が発表されましたので、その中から3種類のグラフを選んで紹介します。期間は全て2015年1月から2017年12月までの3年間。単位は1000台(無蓋貨車、有蓋貨物車)です。

<(ア)農家、牧畜業、果樹園等の生産物・食料品の鉄道輸送量>

これが減少傾向にあるのは何を意味しているのでしょうか?

<(イ)木材製品、木材関連製品の鉄道輸送量>

11,000台のレベルから10,000台へと1割減です。米国内の新築住宅が減っているのか? それとも米木材の海外需要が減っているのか? どちらにしても最悪です。

<(ウ)自動車、自動車部品の鉄道輸送量>

18,000台レベルから16,000台レベルへの減少です。大変な状況ではないでしょうか?

これで米国経済は堅調と言うのであれば、どなたか説明して頂きたいものです。ここまで株価を上昇させてきた米国人各位の強欲さに驚きます。

Next: 侮れない主婦目線「三角チョコで景気がわかる」



景況感がわかるデータ

さて、ここ最近のいろいろな事象やデータのスナップ・ショットを紹介します。

<(ア)地区連銀のGDP予測>

2月1日に5.4%、2月6日に4.0%、2月9日も4.0%、2月14日も4.0%のままでした。前述の私の知人たちに見せたいものです。そして、2月1日時点で5.4%であると知ったとき、あなたは信じますか?と聞きたいものです。さらに、2月14日時点で現在は4.0%になっていると知ったときに、あなたは信じますか?と。

もしその答えがぶれるようであれば、自分の基本的な考え方を持っていないことになります。

<(イ)スイスの三角チョコ(昔のもの)>

これは日本でもみかけますね。昔は口にほうばるのに便利なように1個ずつ割って食べていたのです。割りやすいように割れ目(山と山の間のスリット)は入っていました。

<(ウ)スイスの三角チョコ(現在のもの)>

それが今や、なんと無残にもスリット幅の方が大きくなり、山は痩せ細ってしまいました。主婦は、このような変化を敏感に感じます。デフレ、デフレと囃し立てているが、これは物価上昇だ! インフレだ!とね。

このような、好ましくない変化が起きている時には、自らが考えることが重要です。

他人の意見を信用しない。自分で調べ、多数の意見を聞き、自分自身で納得できる答えを出すことです。

Next: これを見ても好況と言えるのか。金融当局が注目する景気指標



金融当局が注目する景気指標

<(ア)銀行間同士の貸し借り高>

景気が良いかどうかの判断ですが、金融当局が注目している指標の中には、銀行間同士の貸し借り高があります。

相互に信用しあっていれば、貸し借りを頻繁に行い、融通しあうのです。これが疑心暗鬼になると、貸倒れになるのが怖くて怖くて仕方がない!となります。既に自行の帳簿には不良資産が腐敗を続けており、もうこれ以上は背負いきれないのです。

2008年9月時点では地区連銀のデータでは、銀行間貸し出し残高が491.602T$だったのですが、直近の2018年1月3日にはストーンと墜落して13.237T$と97%強減ってしまっています。

つまり自行以外は誰も信用できない、銀行が銀行を信じられない状態になっているのです。

<(イ)米国のM2マネー(簡単に言えば、現金+各種預金)の流れの速度>

金融経済(心臓)が弱体化しているため、マネー(血液)の流れが非常に悪くなっているのです。ピークで2.2%だったのが、どんどん落ちて、今は、第二次大戦後で最低の状態です。

<(ウ)銀行の破たんリスク指数(CDS)>

さて、最近の世界の株価大幅下落を踏まえて、銀行の破たんリスク指数(CDS)を見ましょう。私の集計データです。

Banco Santanderが1.5倍に上昇、ドイツ銀行も1.47倍です。

これですぐに危ないと判断するのは早計です。見ていただきたいのは、2月の第2週の株価暴落が、銀行のバランスシートにどう影響しているのかです。

今後、銀行間の貸し出しは、さらに減る可能性があります。そうなると、残る道具は「さらなるマイナス金利」でしょうか?

世界中が低金利で血液サラサラ、量的緩和のマネーのだぶつきで血液余剰状態なのに、このテイタラク。これってなぁに?と考えれば、恐ろしくないのが不思議です。

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image by:alredosaz / Shutterstock.com

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いつも感謝している高年の独り言(有料版)』(2018年2月19日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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