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日米の株価は下げすぎている。2月で底入れ、後は上昇局面へ=馬渕治好

荒れた米国市場のあおりを受け、日経平均も4営業日で1,300円幅の大幅安となりました。確かに悪材料はありますが、2月に底入れしたという私の考えに変更はありません。(『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』)

※本記事は有料メルマガ『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』2018年3月2日号の一部抜粋です。毎週いち早く馬渕氏の解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。市場急変時には号外の配信もあります。

悪材料はわかるが下げ過ぎている。2月「底入れ」判断に変更ナシ

NYダウ、4日間で1100ドル超えの急落

米国株価が荒れ模様となり、ニューヨークダウ工業株指数は終値ベースで2/26(月)の2万5,709.27ドルをピークに4日連続で大幅に下落し、3/2(金)は2万4538.06ドルと、合計で1100ドル幅(4.77%)の下落となりました。

NYダウ 日足(SBI証券提供)

この背景要因としては、次の点が挙げられています。

<背景その1:パウエル連銀議長の議会証言>

パウエル連銀議長の議会証言が、2/27(火)には下院金融サービス委員会で、3/1(木)には上院銀行委員会で、行なわれました。

当メールマガジンの定例号(2/25付)では、議長の発言の細かい部分を、市場がことさらに悪材料として取り上げて、米株安などになる、との懸念を示していました。

実際の2/27(火)の下院での証言では、個人的な見解だとしながらも、「経済見通しは昨年12月以降強まっている」と述べたため、年3回の利上げを想定していた昨年12月のFOMCより利上げ回数が多くなる(年4回になる)との思惑が生じました。

<背景その2:トランプ大統領の「追加関税」発言>

3/1(木)に、トランプ大統領は、鉄鋼輸入品に対し25%、アルミニウム製品に対して10%の、追加関税を課す方針を表明しました。実施は来週からとされています。

<背景その3:一方向に動きやすい市況>

こうした材料に加え、最近の米国株式市況は、一方向に動きやすくなっています。これは、いわゆる「リスク・パリティ取引」(株式のリスクが高まれば売り、リスクが低くなれば買う、という取引手法)によって増幅されていると言われます。つまり、株価が下落する→投資家の想定するリスクを示すVIX指数が上昇する→株式のリスクが高まったと判断され、株式の売りが出る→株価が下落する、といった悪循環に陥りやすいということです(株価が上がった時も逆方向で循環が進みやすい)。

Next: 懸念は杞憂に終わる? 下げ幅は増幅され過ぎている



下げ幅は増幅され過ぎている

さて、(1)のパウエル議長証言については、議長自身が「個人的な見解」だと断ったように、3/20(火)~3/21(水)のFOMCの公式な金利見通しにおいては、年3回利上げするとのメインシナリオに変更はないだろう、という観測があり、うなずけるところです(強気方向となっても、年3回がメインのままで、4回の可能性が若干高まっていることが示唆される程度)。実際、3/1(木)の上院での証言では、議長は、「現時点で景気過熱の証拠はない」と語り、火消しに回った感もあります。

(2)のトランプ発言については、保護主義自体は、米国経済や市場にとって、悪材料であることは事実です。

それは、

といったような点によります。

ただ、保護主義的な政策については、米産業界や議会共和党(もともと共和党保守派は、自由貿易を標榜している)からの反発も強く、だからこそ一時トランプ大統領は、TPP交渉への復帰の可能性を表明するなど、軌道修正を図らざるを得なくなってもいるわけです。

また、今回の鉄鋼とアルミ製品への追加関税は、EU(欧州連合)からも反発を招き、欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は、今後数日中に米国への対抗措置を提案する、と表明しています。

加えて、諸国がWTO(世界貿易機関)に今回の米国の措置を提訴する可能性が高く、米国の行為がWTO協定違反だという判断が下れば、米国が追加関税を取り下げる展開となることもありえます。

加えて、トランプ政権が保護主義的な動きを示すのは、以前からのことであり、今になって大きく騒ぐのも、腑に落ちないところがあります。

以上から、今回(1)(2)といった材料を受けて米国株価が下落したのは頷けるとしても、下げ幅は述べたように「リスク・パリティ取引」などによって増幅され過ぎている感があります。

Next: 今後の展望:日経平均は2月で底入れした可能性が高い



日経平均は2月で底入れした可能性が高い

このため、2月半ば以降、当メールマガジンで述べてきたような、

底入れした可能性が高い、という見解は変えません。

もちろん、近日中の日経平均株価が(日本発の悪材料は何もありませんが)米株安やそれに連れた米ドル安・円高を受けて、2万0,950.15円を割れる可能性はあります。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

ただ、そうした展開になったとしても、日本株のPERは割安水準にあり(すなわち企業収益が下支え役として働き)、前回安値を大きく長く割り込むことにはなりにくいと予想しています。

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※本記事は有料メルマガ『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』2018年3月2日号の一部抜粋です。毎週いち早く馬渕氏の解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した項目もすぐ読めます。

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馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2018年3月2日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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