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その株、いつ買う? 銘柄分析の重要性を5年で株価2.8倍の「花王」で理解する=山田健彦

長期投資はもちろん、デイトレードにも銘柄分析は必要です。過去5年間で株価が2.8倍になった花王<4452>を例に、いつ買うか?を判断する方法を解説します。(『資産1億円への道』山田健彦)

デイトレでも長期でも、ファンダメンタルズ分析で勝率は上がる

投資家と投機家の違い

いきなり、何を言い出すんだ? と思ったかもしれませんが、結構マジメに書いています(笑)。

投機とは「機に乗ずる行為」です。投資との違いは以前にも当メルマガで書きましたが、私は以下のように考えています。
投機:今、目の前にある1つのチャンスに全神経を集中して資金を投じること
投資:投機よりは少し時間軸が長く、目標もやや漠然とし、チャンスは1つとは考えない

例えば、教育は「投資」です。そこから得られる見返りは多岐にわたり、目標もやや漠然としています。

医者になる、大学教授になる、芸術家になる等職業的なものから、知性豊かな教養人、社会人として必要な集団生活の規律や礼儀作法を身につけるなど幅広く、結果が認識できるまで時間がかかるのも特徴です。

株式投資(投機)についても同じで、デイトレードからせいぜい2週間程度までの短期投資は「今、目の前にある1つのチャンスに賭ける」という意味で投機であり、数年以上に渡りその銘柄を保有する行為は投資です。

銘柄分析はやはり必要

ある銘柄を購入してから売却するまで数分間という超短期トレードは別ですが、デイトレードであれ、せいぜい2週間程度しか保有しないスイングトレードであれ、銘柄分析は行った方が良いです。

分析の結果、さしたる理由もなく上がった銘柄なら、流れに乗るとしても、せいぜい1~2日の勝負と割り切れますし、業績の上方修正やファンダメンタル的にも割安水準など内容のしっかりした上げなら少し長めに持っても良いのかな、などおおよその目安がつけられます。長期投資ならなおさら、ファンダメンタルズ分析は重要になります。

株式投資の教科書によく出ているファンダメンタルズ分析にもとづく投資方法は、

  1. 成長している銘柄を選び
  2. それを割安な水準で買い
  3. リスク管理をしながら保有する

という流れになります。

しかし、短期保有の「投機」に重きを置くなら、チャートの形状判断を一番優先し、その次が「成長している銘柄」「リスク管理」の順番になります。そして「割安な水準で買う」というのは全く無視はしないものの、かなり重要度は低くなります。

以下、事例をあげてオーソドックスな分析方法を少し研究していきます(※筆者注:これらの銘柄は説明のために例として出しているもので、購入を勧めているものではありません。ご注意ください)。

Next: 銘柄分析が「いつ買うか?」を解決する。花王<4452>を例に解説



事例:花王<4452>の場合

トイレタリー国内首位のメーカーで、洗濯用洗剤アタックが有名ですが、広告宣伝ではニベアやビオレ等のブランド名を前面に出し、最近は意識して「花王」という名前を出さないようにしているようです。

業績はあまり景気動向に左右されないディフェンシブ銘柄の色彩が強い銘柄です。同社は28年間連続増配を実施しており、連続増配記録日本一の企業です(現在も更新中)。

過去5年間の株価の推移をみると、2013年8月には約2,800円台で、直近は約8,000円。株価は2.8倍になっています。

2013年12月期の業績は、
売上:1兆3,152億1,700万円
営業利益:1,246億5,600万円
営業利益率:9.5%

2017年12月期の業績は、
売上:1兆4,894億2,100万円
営業利益:2,047億9,100万円
営業利益率:13.9%

と、売上は13%、営業利益は64%も伸びています。

今年12月の予想売上高と予想営業利益は、それぞれ対前年度比で3.4%と5%の伸びを見込んでおり(会社側発表数値)、時価総額が3兆8千億円近い大規模な会社の割には比較的高い成長率を見込んでいます。

ちなみにROEは実績値ベースで18.2%、会社四季報の今期予想利益ベースでは18.8%と高いリターンを誇っています。

いつ買うのがベストだったのか?

では、過去5年の間で、花王の株を購入するのに最も良いタイミングはどこだったのでしょうか?

花王<4452> 月足(SBI証券提供)

上記のように過去5年間の間での最安値は2013年8月の約2,800円台のところでした。そこから月足でチャートを見ると2016年1月(約6,400円前後)から同年末まで(約5,000円前後)の1年間を除き一貫して株価は右肩上がりです。

チャート的には2013年8月の約2,800円台の所で買い出動していれば良かった、ということになりますが、それはほぼ4年半以上経った今だから言えることで、その時点ではそこがベストタイミングだとは判断がつきません。

ここで、会社四季報を見てみますと、花王の高値平均PERは28.5、安値平均PERは20.1と出ています。

過去5年間でPER(予想ベース)が低い時とその時の株価を見てみると、

<2013年6月13日>
PER:20.1
株価:2,913円

<2014年2月6日>
PER:21.2
株価:3,100円

<2016年2月12日>
PER:22.5
株価:5,384円

<2017年2月17日>
PER:20.3
株価:5,696円

となっています。このうち2016年2月12日の時点を除き、株価はそのあたりから上昇に転じています。

そのような点から見ると、やはり会社四季報の情報どおり、花王の株はPERが20倍くらいまで下がったところが買い時ということが言えるようです。

ちなみに高値平均PERの28.5に近い直近の日付は2017年12月上旬でそこから3ヶ月位の間は株価は7,600~7,900円台の高値圏での揉み合いとなっています。

考え方としては、「いま花王の株を買いたい」とするとPER的には高値圏なので、チャートの形を重視して短期勝負を挑むということになります。

Next: 「配当利回り」でも判断できる花王の売買タイミング



配当利回りから見た花王の売買ポイント

花王の売買ポイントとしては、28期連続増配という連続増配記録日本一を疾走している状態から考えて、配当利回りに着目して投資している長期投資家も多いと考えられます。

配当利回りと株価の関係を見てみますと、直近の過去2年間で配当利回りは、
最高値:1.93%
最小値:1.38%
平均値:1.61%
となっています。

最高利回りの1.93%をつけたのは、2017年2月2日で、株価は5,598円。
最低利回りの1.38%をつけたのは、2018年1月9日で、株価は7,820円でした。

ここで最高利回りを付けた日(2017年2月2日)と最低PERを付けた日(2017年2月17日)は極めて接近していることに気づきます。

このように、PERが最小値に近く、配当利回りが最大値に近いときまで待って投資すると良いのでは、という仮説が立てられます。

ちなみにこの原稿を書いている5月10日時点での予想配当利回りは、1.57%で過去2年間の平均(1.61%)よりは少し割安な位置につけています。またPERは24.89辺りで、平均値(24.1)よりはやや高めです。

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資産1億円への道』(2018年5月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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資産が1億円あるとゆとりある生活が可能と言われていますが、その1億円を目指す方法を株式投資を中心に考えていきます。株式投資以外の不動産投資や発行者が参加したセミナー等で有益な情報と思われるものを随時レポートしていきます。

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