習近平は人民元と中国株安を演出しています。中国発の世界同時株安の懸念を振りまき、米国に嫌がらせをしているのです。しかし、それも中間選挙後まででしょう。(『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』藤井まり子)
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中国経済は2年後に崩壊する? 米国株ブームは今後も続くのか
ついに始まった米中「マネー戦争」
米中の「マネー戦争」が始まっているように見えます。アメリカではパウエルFRBがためらうことなく政策金利を引き上げて、「中国虐め(いじめ)」をしています。
中国は、「中国人民元と中国株安」を演出して、「中国発世界同時株安」の懸念を振りまいて、アメリカに「腹いせの嫌がらせ」をしています(※編注:10月22日の中国株式相場は急伸。上海総合指数は2016年3月以来の上げ幅を記録しました)。
この手の中国のアメリカへの嫌がらせは、この春から夏にかけても行われたことです。今の中国はアメリカに対して、この程度の自虐的な嫌がらせしかできないようです。
10月は大幅下落が起きやすい月
「世界同時株安」の懸念を振りまきながら、「二番底」が始まったようにも見えます。10月は株価が大幅下落が起きやすい月です。中間選挙が終わるまでは、内外のグローバル株式市場は下落を続けることでしょう。
今回の調整の震源地は、「アメリカの長期金利の上昇」から「中国経済の失速懸念と上海株式の大幅安」へとシフトしました。
実際に、中国経済は悪いです。「株安・人民元安」が続いています。不動産もたいして良くないです。実際に、「中国経済はこれほど景気が悪いのか!?」といった「嘆きを通り越した感嘆」の声がマーケット関係者の間で広がっています。
上海株式市場は年初来から30%下落、とうとう2,500ポイントを一時的にせよ割り込みました。中国株式市場は年初から3兆ドルちょっとの規模の価値を失ったわけです。これでは、富裕層を中心に内需も振るいません。世界中で中国関連の株式が売られています。
今の中国株式市場では「落ちてきたナイフを拾うな!」の「ウォール街の諺(ことわざ)」通りのことが起きているかもしれません。
上海株式市場をはじめとする中国株を今は拾ってはいけないでしょう。慌てて売り逃げてもいけません。中間選挙が終わるのを待ちましょう(ちなみに、上海株式市場が2,000ポイントを切るような「深刻な事態」になれば、「中国発世界同時不況」に発展する恐れがあります。しかし、今はまだその時期ではないでしょう。こういった「深刻な事態」になるのは、あと2年後くらいか?)。
中間選挙「前」までは、新興国株(VW)も中国株に釣られる形でもっと下がるかもしれません。新興国株(VWO)も今は「落ちてきたナイフを拾うな!」でしょう。慌てて拾っても、慌てて売り逃げてもいけません。
Next: 中間選挙後は上昇へ? 調整の震源地は中国にシフトしている
中間選挙後は上昇へ?
今回の調整が10%調整くらいの「普通の調整」で済むのか、もっと大きな15%調整まで行くのか、「震源地が中国」へシフトしているので、よく分かりません。
「世界同時株安」懸念は、中間選挙まで続くことでしょうが、中間選挙「後」は上昇に転じる可能性があります。
アメリカという国は、言論が自由なので、様々な党派の意見が対立が存在している国です。ところが、いざ「敵は中国」ということになると、共和党も民主党も労働者もエスタブリッシュメントも「中国憎し」で一致団結するところがあります。
かねてからお伝えしておりますように、パウエルFRB議長もトランプ大統領も彼らを操る上層部も、「中国がぽしゃる前にアメリカ経済がぽしゃるわけにはいかない」という強い信念で一致団結しています。
今にして思えば、イエレン前FRB議長が「バランスシート縮小計画」を強行した理由も(もちろんアメリカ経済が力強い回復軌道にあったからですが、それ以外にも)、「対中国戦略(=中国とのマネー戦争、中国いじめ)」といった意味合いが強く含まれていたように思えます。
パウエル現FRB議長が「政策金利の引き上げ」を着々と推し進めているのも、もちろんアメリカ経済が強いことが一番の理由ですが、これ以外にも「対中国戦略」といった意味合いも強いのです。
ドル高で最も困るのは中国
新興国群の中で群を抜いてドル建て債務が多いのは中国です。アメリカの金利が上昇してドル高になると、一番困るのは中国経済なんです。
もちろん、パウエルFRBは2%以上のインフレを未然に防止する目的で「政策金利の引き上げ」をためらうことなく着々と継続していますが、理由はそれだけではないようなのです。FRBが政策金利を引き上げると一番困るのは中国だから、パウエルFRBは政策金利の引き上げに「ためらいがない」です。
今後の中国政府の出方がとても気になるところです。
中国株・人民元の下落は演出だった?
今の中国北京政府は、「毛沢東時代のような暗黒の管理社会に後戻りしてでも、すなわち、経済成長を犠牲にしてでも、中国共産党の一党独裁を守り通す」方向へ向いています。
今の中国北京政府は「中間選挙前のトランプ政権への嫌がらせ」として、「上海株式市場の下落と人民元の下落」を演出している可能性があります。
「上海発世界同時株安」を演出して、「中国いじめもたいがいにせいよ!」と、アメリカを脅しているようにしか見えないです。
かねてからお伝えしておりますように、中国には「株式買い支え」のための「国家隊」が存在しています。彼らが存在しているのに、この「中国株と人民元の大幅下落の放置」はどこか「おかしい」です。
中国のアメリカへのこういった「自虐的な嫌がらせ」は、長くは続けられないものの、中間選挙までは続くのではないのか?
中間選挙が終わる頃に、すべての悪材料を織り込めるだけ織り込んで、中間選挙後には、内外の株式市場は上昇に転じるのではないのか?
Next: 中国経済は2年後に崩壊へ? 米国株ブームは今後も続くのか
中国経済は2年後に崩壊へ?
アメリカ株式ブームが去るわけではありません。ですから、アメリカ株や日本株は、ポジションゼロにはしてはいけません。調整後は、「凡庸だけど息の長い株式ブーム」が始まることでしょう。調整後でも、アメリカ株式市場は益利回り(1年間の株価の上昇率)は6〜8%くらいはあるでしょう。
この「平凡だけど息の長い株式ブーム」は、中国経済がぽしゃらない限りは、向こう5年くらい続く可能性があります。
向こう5年の国際分散投資での最大のリスクは中国経済です。中国経済は早ければ2年後くらいには崩壊する可能性があります。
中間選挙後は上昇に転じる
2018年末には、日経平均は「2万4,000円から、うまくゆけば2万5,000円台」を再び目指す(調整が終わればドル高円安基調が戻ってきて、日経平均は再び上昇しますが、日本株式市場は投機筋が暗躍し過ぎていて、予測不可能なところがあります)。
アメリカ株式市場は市場メカニズムが働いているので、比較的予測が可能です。アメリカ株式市場が上昇に転じるのは、中間選挙後でしょう。2018年末には、S&P500は、「2,600ポイントから2,800ポイント」、ダウは「2万4,000ドルから2万6,000ドル」を再び目指す。
年末までのシュミレーション(2018年末の株価目標を下方修正)
アメリカ経済は「向こう数年は繁栄する」
アセット・アロケーションとリスク
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