お年玉やおこづかいを「貯金しなさい」と子どもに教えるの危険です。大人にも当てはまりますが、人生をまったく楽しめず、貧乏に育ってしまう恐れがあります。どういうことでしょうか? 前回に続き、子どもを一流の成功者に育てる金銭教育について考えます。(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』午堂登紀雄)
※本記事は有料メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』2018年6月18日号を一部抜粋したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。
貯金にこだわっても人生は楽しくない。お年玉で学ぶ一流の考え方
「貯金しなさい」をやめる
子どもがおこづかいやお年玉をもらったとき、「貯金しなさい」という親がいます。
もちろん、たとえば「今度出る新しいゲームソフトを買うために貯金するんだ」と子どもが自発的に貯金する分には構いません。それは子どもながらに「目的」があり、その目的を達成するために、今は何を優先させなければならないか、わかっているからです。
そうやって子ども自身の意志があって貯金するのなら問題ありませんが、何もなくただ「貯金しなさい」と命令するのは親の思考停止です。
今さら言うまでもなく、お金は交換の道具です。何かを成すための手段です。もちろん価値を保存したり保険としての機能もありますが、しっかりお金を使えない習性が身につくと、あまり人生を楽しめない生き方になってしまいます。
死んだときが人生でもっともお金持ちだった…という悲劇
これは子どもに限らず、大人でも同じです。
そもそも、貯金するとは「使えるお金を少なくする」ことであり、それは「選択肢を狭める」「できることを制限する」ことにほかなりません。
そのため、お金を使えばできたであろう様々な経験をしないまま日々を過ごすことになるわけです。
お友達と映画やコンサートに行って楽しむ。学校帰りにファーストフード店に行っておしゃべりする。語学学習のために電子辞書を買う。バンド結成のために楽器を買う。お金を使えば、人生の楽しみの幅も深さももっと広がるのに、それをしないで貯金に励む。
こんな寂しい生き方ってあるでしょうか。
大人でもこういう人は多いですよね。そして死んだときが人生でもっともお金持ちだったという笑えない話もよく聞きます。
貯金に励む人は、お金に執着している
それに、貯金ばかりする人はお金に執着しているということであり、本当に使うべき時に大胆に使うことができません。
たとえば自己投資。本当は自分にとって必要なのに、それをマスターすればかかった費用などすぐに回収できるのに、ちょっと金額が高いという理由だけで躊躇する。
たとえば私は起業塾を主宰しているのですが、6か月コースで約20万円です。額面だけ見れば高いと映るかもしれませんが、講座で学んだことを2~3年やればその費用はすぐに回収でき、あとは何十年も青天井で稼げるようになります。
なぜならネットを使ったビジネスでは、現在はほぼ王道の成功パターンがあり、あとはそれを忠実に続ければいいだけだからです。
にもかかわらず、得られるものの大きさを長期目線で比較することができず、目先の金額にビビってしまう人がほとんどです。
たとえば農業などは、収穫するまでは1円も入ってこないどころか、タネや肥料など出費ばかりです。しかし作物が実れば大きく刈り取ることができるわけです。
しかし貯金に励む人というのは、そういった先行投資すら恐れる。お金に執着しているゆえにお金を外に出したがらない。だからドアを全部閉じてお金を閉じ込めようとするのです。
でも自分の子どもには、こういうスケールの小さな人間になってほしくない。こじんまりと生きる人生を選択してほしくない。
「ほしいゲームソフトを買うために貯金する」など、子どもなりに目的があるならそれは子に任せればいい。
しかしそうでなければ、自分の子には「貯金しなさい」ではなく、「お金を回しなさい」と教えたい。