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【12月米雇用統計】米国のリセッション入りを懸念!結果に関係なく市場の警戒ゆるまず=ゆきママ

明けましておめでぎゃあ!昨日はフラッシュ・クラッシュで1ドル=104円台まで円高が進むなど、大荒れの展開となっています。そんな中で迎える今回の雇用統計は果たしてどうなるのか?いつものように相場状況を踏まえながら考えていきたいと思います。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

想定レンジは1ドル=107.20~108.80円、今夜のトレード戦略は?

景気後退に怯えるマーケット

とにかく今の市場はリスクオフ(回避)に傾きがちとなっており、この状態が続く限りは円高気味の値動きが続くことでしょう。

そして、このリスクオフの背景にあるのは中国の景気停滞感は元より、米国のリセッション(景気後退局面)入り懸念が挙げられます。

中国の景気減速は今に始まったことではないですが、米中貿易摩擦により対立が激化する中で強く意識されるようになりました。

トランプ政権の報復関税に対し、Apple製品など米国企業の不買運動も重なり、中国で多額の収益を上げている米企業の業績に影響が出る見通し。

さらに、米国経済自体にも懸念が広がっています。ここ最近は景気の先行指標とされる住宅指標に下振れが目立ち始めたほか、昨夜発表された12月のISM製造業景況指数も2016年12月以来、2年ぶりの水準にまで落ち込んでいます。

追い討ちをかける利上げ観測

これらのことから市場は景気動向に非常にセンシティブになっているわけですが、追い討ちをかけるようにFRB(米連邦準備制度理事会)が年2回以上の利上げを示唆しています。

市場としては、米中対立の影響で米中双方の経済見通しが怪しくなっていることも踏まえると、利上げという選択肢は大きな懸念材料です。

しかも、前回の記事に書いたように、利上げが続けば逆イールドが発生する可能性は極めて高いですからね。こうなると、いよいよリセッション入りといった意識が強まるでしょう。

【関連】【11月米雇用統計】利上げ打ち止めで逆イールド発生に懸念? 年末商戦に向けた雇用増の期待も

※逆イールドが発生すると、過去必ず24ヶ月以内にリセッション入り

なので、トランプ大統領をはじめ、ウォール街も利上げには非難囂々ですが、FRBとしてはインフレの兆候を無視するわけにもいかず、株価がどうなろうと経済指標に沿って適正な金融政策を実施していくとしています。

もちろん、FRBとしても金利の引き上げがリセッション入りの引き金となっては困るわけですが、いよいよ景気が怪しくなった時に備えて、ある程度の利上げをして利下げ余地、政策的なオプションを確保したいと考えているのでしょう。

とりわけ、中間選挙でねじれとなり、トランプは減税をはじめとする大規模な景気刺激策は打てなくなっていますからね。政策に余地を残す意味でも、景気停滞の兆候が明らかにならない限りはギリギリの判断で利上げする可能性は高いでしょう。

というわけで、今回の雇用統計は悪ければ悪いでダイレクトに景気停滞、リセッション入りが懸念されることになりますし、良ければ良いで利上げによる逆イールド発生、リセッション入りといった見方になりそうで、どんな結果になったとしても市場がポジティブに受け止めにくいという状況でしょう。

Next: 先行して発表された雇用指数はまずまず、今回の注目ポイントは…



ADPが大幅上振れ!先行指標は良好ですが…

民間の雇用指標であるADP雇用統計が大幅に上振れ、2年ぶりの大幅な伸びを記録したとのことで、昨夜は一時的にドル円が上昇する場面もありました。

先行指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

一方のISM製造業景況指数は、雇用指数こそさほど下がっていませんが、新規受注指数が大幅に低下して総合指数は2年ぶりの水準となりました。

雇用という観点から見れば、基本的にはまずまず良好な数字が並んでいるので、今夜の雇用統計もまずまず問題のない数字が出ることが期待されているでしょう。

ただし、諸手を挙げて市場が歓迎するかといえば全く別の話ですから、その点を踏まえた上でトレード戦略を考えていくことが重要かと思います。

雇用統計で流れが大きく変わる可能性は低そう

繰り返しになりますが、弱ければ弱いで景気停滞といった見方になりそうですし、強ければ強いで利上げが意識されて株安になりがちで、どちらのパターンでも市場がポジティブに受け入れる可能性は低いと考えています。

また、株価はボラティリティが非常に高い状態が続いていますから、引き続き暴騰・暴落の荒れ相場でしょう。

そして、上がるスピードよりも下がるスピードの方が早いことを考えれば、株価とともにドル円が多少戻したとしても、結局は円高方向への値動きが強く出てしまいそうです。

したがって、今夜の雇用統計は数字云々はあまり関係ないでしょう。もちろん、予想を上回る強目の数字が出て反発するのであれば、戻り売りを試すチャンスになると思います。

ドル円日足チャート

新年早々の大暴落でドル円は104円前半まで差し込む(FX各社によってレートはマチマチ)場面がありました。

年始の薄商いな中、流動性が低下した中での急落なので、本質的には見た目ほどの下落ではないものの、108円台すら満足に戻せない状況を踏まえると、やはり短期的には円高という意識が強まっていると言えそうです。

目先の目標としては、上値は前日の安値圏である108.80円から109.00円の節目にかけてがポイントでしょう。ここを抜けて110.00円にトライ出来れば下げ一服といった流れになりそうですが、現状ではかなり遠そうです。

戻せば戻したで一定の満足感も出そうなので、108円後半がせいぜいといった印象。

逆に下値に関しては、107.00円前後は流石に底堅そうで、仮に円高の流れとしても107円前半ぐらいで止まりそうです。

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想定レンジは1ドル=107.20~108.80円!戻り売りで対応したい

トレード戦略としては、昨年末から円高気味の値動きが続いていることに加え、株価が不安定な現状を踏まえるとショート・戻り売り一択。

想定レンジは1ドル=107.20~108.80円ぐらいと考えて、108円台では少しずつ売りポジを作っていく感じで良いと思います。

それから、最後になりますが、雇用統計を終えて24:15にパウエルFRB議長とイエレン前FRB議長、バーナンキ元FRB議長らと共に、アメリカ経済学会の年次総会における合同インタビューが予定されています。

パウエル議長の発言内容によって、相場が大きく動いていく可能性はありますから、念の為ご注意いただければと思います。

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image by: metamorworks

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2019年1月4日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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