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NHK受信料、カーナビも義務へ。ワンセグ携帯裁判では「NHKから国民を守る党」党首も敗訴

統一地方選で「NHKから国民を守る党」が躍進して話題になりましたが、受信料を巡る裁判では原告の負けが続いています。テレビを見られる携帯・スマホだけではく、カーナビを持っていても受信料支払い義務が発生するとの判断が下されました。(『らぽーる・マガジン』)

※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2019年5月20日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

徴収範囲は拡大中。なぜ契約者だけが見られるようにしないのか?

「NHKから国民を守る党」の大躍進

先の統一地方選後半戦の東京都区議選挙で、「NHKから国民を守る党」が大躍進しました。

自身もNHKに在職していた立花孝志氏が党首として率いる政党で、訴えるのはNHKの受信料拒否一本です。

NHKの電波を使った政見放送で「NHKをぶっ壊す!」と叫んでいるシーンは、なんとも言えない違和感と不思議さを感じるものです。

今回の選挙で「NHKから国民を守る党」は、23区のうち19区に1人ずつ議席を得ました。千代田区。港区・江戸川区で落選した以外はすべて当選していて、20人中17人が当選という驚くべき当選率でした。

すでに得ていた2つの区と合わせて、23区のうち19区で議席を確保したことになります。「NHKから国民を守る党」は23区以外の都内、また他府県でも議員を輩出しています。

代表の立花孝志氏はTwitterで、次のように呟いています。

いよいよ国政進出ですか。

今回の区議選では、国政でよく見る「幸福実現党」からも多くの候補者が当選しています。大川隆法氏率いる「幸福の科学」ですね。

あの毎回都知事選挙でおなじみのマック赤坂氏も、港区議会議員選挙に当選しています。泡沫候補から脱却しましたね。

いやはや、今回の統一地方選って一体なんだったのでしょうね…。

テレビが見られる「携帯・スマホ」に受信料支払い義務

最高裁は、ワンセグ付きの携帯電話(スマートフォン含む)を所持しているだけでは、NHK放送受信契約を結ぶ義務は発生しないと男性が訴えた裁判で、男性の上告を退けました。

この男性というのが、「NHKから国民を守る党」代表の立花孝志氏です。

東京高裁は、ワンセグが見られる機器を持っていれば、NHKとの受信契約の締結義務はあるとの判決を出しました

争われたのは放送法64条(受信契約及び受信料)の1項。

協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

この中の「受信設備を設置した者」という文言に対し、持ち運んで使う携帯電話が「設置」に該当するかが争われていました。

一審の東京地裁は、「設置」とは受信機を管理・支配するという観念的・抽象的な概念であるとして、契約締結義務があるとしており、高裁もこれを支持したとあります。

Next: 「カーナビ」にも受信料支払い義務…範囲はどんどん拡大している



テレビが見られる「カーナビ」にも受信料支払い義務

そして東京地裁は5月15日、テレビが見られる「カーナビ」についても、NHKの受信契約を結ぶ必要があるとの判決を下しました。

裁判を起こしたのは栃木県の女性で、テレビは持っていなかったがワンセグ機能付きカーナビについて受信契約を求められたため、契約の必要はないとして提訴したようです。

ここで争点となったのは、やはり先程の放送法第64条1項。今度は「ただし…」のほうの文面で、「放送の受信を目的としない受信設備」という文言です。

テレビを見るために車に乗る人はそうそういないだろうという見解から、カーナビに対して受信料を求めるのはおかしいのでは?という訴えでした。

これも裁判所は、目的としているかどうかはユーザーの主観ではなく、客観的・外形的に判断するのが相当だとして、カーナビは「放送の受信を目的としない受信設備」には該当しないとしました。

NHKを見れる機器を持っていたら拒否はできない

ようは、NHKを見ることができる機器をもっていたら、それだけでNHK受信料は払わなければならないということのようです。

先ほどのワンセグ携帯は、主にNTTドコモ・au・ソフトバンクの3キャリアから発売されたAndroidスマートフォンの多くに搭載されていて、アップルのiPhoneはワンセグチューナーを搭載していないので、NHK受信料を負担する義務はないそうです。

カーナビの件は、違った角度から波紋を広げそうです。

NHKの規約によると、家庭(世帯)ならば車が複数あっても契約はテレビを含めて1つで良いそうですが、事業所の場合は車1台ごとに受信料を払わなくてはならないことになっています。

タクシー会社はどうなる?
ホテルは部屋数だけ支払う義務があるのか?
自動車販売会社や製造メーカーのインフォーメーションは?

そう考えると、いろんな問題が出てきそうです。

ホテルでの契約には救済措置があるという話ですが、今後の受信料徴収状況によっては話も変わってきそうです。

また、官公庁によってはNHK受信料支払いに差があるようで、直近まで復興庁はNHK受信料を払っていなかったという情報もあります。

NHKの人が「ピンポ〜ン」と自宅を訪ねてきたときに、徴収スタッフに「テレビはない」と言っても、「携帯は持っているでしょう」などと粘られて逃げられなくなるのかも…。

Next: なぜ契約者だけが見られる「スクランブル放送」にしない?



スクランブル放送議論

「スクランブル放送」は、契約者だけが放送を見ることができるよう暗号化(スクランブル)する方式で、有料放送の「WOWOW」や「スカパー!」などが採用しているものです。

NHKも、任意で契約し受信料を払った人だけが見られるようにすればいいのではないか…そういう議論があります。

ネット上では、「見たくない自由を許さないという前時代的な仕組みが今時まかり通ってることが不思議で仕方ない…」という意見もあるようです。

NHKホームページの「よくある質問」コーナーに、スクランブル放送について「なぜ、スクランブルを導入しないのか」という質問を立てて、答えを下記のように掲載しています。

NHKは、広く視聴者に負担していただく受信料を財源とする公共放送として、特定の利益や視聴率に左右されず、社会生活の基本となる確かな情報や、豊かな文化を育む多様な番組を、いつでも、どこでも、誰にでも分けへだてなく提供する役割を担っています。

緊急災害時には大幅に番組編成を変更し、正確な情報を迅速に提供するほか、教育番組や福祉番組、古典芸能番組など、視聴率だけでは計ることの出来ない番組も数多く放送しています。

スクランブルをかけ、受信料を支払わない方に放送番組を視聴できないようにするという方法は一見合理的に見えますが、NHKが担っている役割と矛盾するため、公共放送としては問題があると考えます。

また、スクランブルを導入した場合、どうしても「よく見られる」番組に偏り、内容が画一化していく懸念があり、結果として、視聴者にとって、番組視聴の選択肢が狭まって、放送法がうたう「健全な民主主義の発達」の上でも問題があると考えます。

出典:なぜ、スクランブルを導入しないのか – NHK(よくある質問集)

特殊法人「日本放送協会」

NHKは、総務相が所轄する外郭団体の「特殊法人」です。

特殊法人とは、その法人を設立する旨の具体的な法令の規定に基づいて設立され、独立行政法人、認可法人、特別民間法人のいずれにも該当しないもので、運営上は、法人税や固定資産税などの納税が免除されています。

また、日本国政府の財政投融資による資金調達が可能となっています。事業計画には国会の承認が必要となります。

ずっと行政改革が永田町ではテーマとしてあがってはきますが、大きく進む気配がなく、公務員制度改革や地方分権推進などといっしょに、常に話題となるのが特殊法人改革です。

NHKの問題はかなり奥が深く、ずっと聖域ともされているところです。NHK改革に触れることは、かなりナイーブな世界であるようですね…。

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らぽーる・マガジン』(2019年5月20日号)より一部抜粋
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