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東京五輪は免罪符か?渋滞緩和策「首都高1000円値上げ」はオリンピック後も継続へ

東京オリンピック期間の首都高速渋滞緩和を目的に、東京都が深夜帯を除いて「高速料金の値上げ」を検討しています。実施となれば、五輪後も継続との考えです。(『らぽーる・マガジン』)

※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2019年5月27日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

国民に負担を強いる渋滞緩和策も東京五輪のレガシー(遺産)に?

高速道路「値上げ」の口実?

ロードプライシング」という言葉があります。東京都環境局のホームページには、以下のような説明があります。

ロードプライシングは、特定の道路や地域、時間帯における自動車利用者に対して課金することにより、自動車利用の合理化や交通行動の転換を促し、自動車交通量の抑制を図る施策で、TDM(交通需要マネジメント)施策の一つです。

出典:ロードプライシング – 東京都環境局

交通渋滞や大気汚染の著しい地域に導入することにより、渋滞緩和大気環境の改善に資することが期待されると説明しています。

東京都は平成12年8月、ロードプライシング検討委員会を設置し、首都高速渋滞緩和のために検討を続けてきたと説明していますが、昨年からこの話が具体化されてきたのは、ひとえに2020東京五輪のためです。

「首都高速料金を上げれば、利用者が減り渋滞が減る」。

わかりやすく言えば、そういうことです。

なぜ?東京五輪後も値上げは続く

2020年東京五輪・パラリンピック期間中の渋滞対策を検討している国や東京都が、首都高速道路の通行料金を日中に1,000円上乗せする案を軸に調整していると日経新聞は報じています。
※参考:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44989950Y9A510C1MM8000/

上乗せ額は、ずっと500~3,000円で検討されていました。今回の1,000円上乗せ案に関しても「3,000円から1,000円に大きく引き下げた」と言いたいのでしょう。

経済活動や公共交通に配慮して事業用のトラックやバスなどは対象外にする方針のようです。

現在、自動料金収受システム(ETC)利用の通行料は普通車で300~1300円です。

首都高は選手や関係者の移動に使われるため混雑が予想されるようで、国などは大会期間中、首都高の渋滞が通常の2倍近くになる可能性があると予測。選手ら関係者の円滑な移動や物流を妨げることがないように、交通量を15%程度減らす必要があるとしています。

「ロードプライシングは、首都高の渋滞慢性化解決のためのレガシーである」と言っているようですが、料金引き上げは東京五輪閉幕以降も続けるということのようです。

Next: IOCは「一般人に迷惑をかけない方法」を要請。今夏から試行実験が始まるが…



今夏から混雑緩和の試行実験が始まる

都などは今夏、民間企業にも呼びかけて混雑緩和の試行実験を予定しています。

混雑緩和を図るため、大会中の時差出勤在宅勤務休暇取得などを推奨してきたほか、物流企業には配送時間の変更などを求めていて、大会約1年前の7月22日~8月2日、同19~30日(土日を除く)でこれらの施策をテストします。

削減が見込めない場合、料金の上乗せに踏み切るか、年内に結論を出す方針です。

午後10時から早朝までは値下げを検討

ロードプライシングの対象は、会場へのアクセスで交通量の増大が見込まれる首都高中央環状線の内側で、早朝から午後10時を想定しているとのことです。

交通量が少ない深夜や未明は料金の上乗せをせず、通行料を引き下げ、利用の分散も検討するともあります。

首都高料金所ゲートの一部閉鎖も検討されています。

IOCコーツ氏「一般人に迷惑をかけない方法」を求める

これに対し2020年東京五輪・パラリンピックの準備状況を監督する国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会のジョン・コーツ委員長は22日、東京都内で毎日新聞の取材に応じ、国や東京都などが渋滞対策として検討している首都高速道路の料金上乗せについて、渋滞対策の推移を見守る姿勢を示した上で「料金上乗せ以外の方法もある。国民の意見を考慮した上で慎重に議論を進めてほしい」と述べ、慎重な協議を求めたと報じています。
※参考:https://mainichi.jp/sportsspecial/articles/20190522/k00/00m/050/373000c

コーツ委員長は、2008年北京五輪や昨年の平昌五輪で実績のある、車両のナンバープレートの末尾が偶数か奇数かで利用日を制限する手段や、1996年アトランタ五輪で実施された、複数の人が乗る車両だけが通行できる専用レーンの設置策などにも言及しました。

ただこれらの策は、法改正や専用機器の導入も検討せざるをえないため、実施が見送られる見通しのようですが、「まずは一般の人々に迷惑を掛けない方法を検討すべきだ」と語ったとのことで、海外の人にこのような指摘を受けていることに注目してみました。

Next: なんでもあり?「東京五輪のため」は免罪符か



「東京五輪のため」は免罪符?

東京五輪のためなら何でもありという感じがするのですがね。

小池都知事による築地市場の豊洲移転延期を受けて、選手移動のための道路整備が間に合わず、首都高利用等がなされることになった経緯があります。

そのツケを利用者が料金アップで負担することになるのかという思いもあります。

東京五輪に関しては、
・復興五輪
・コンパクト開催
などと言っておきながら、復興コンセプトが忘れられているようで、さらに大きく膨らむ予算にはあきれてしまいます。

ロードプライシング…。ワイズスペンディングとかレガシーなど、なんでもカタカナを使えばいいというものではないですよね…。

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らぽーる・マガジン』(2019年5月27日号)より一部抜粋
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