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なぜバフェットは成長したアップルを買った? 投資家が参考にすべき「身の丈予測」の極意=俣野成敏

なぜ投資の神様バフェットは、避けてきたハイテク分野のアップルに2016年になってから投資したのでしょうか。また、なぜレバレッジをかけた投資に警鐘を鳴らすのでしょうか。彼が発した言葉から読み解きます。(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編

※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2019年9月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネープランの実現にコミットしたマネースクールを共催。自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。

自分のわかる範囲内で予測をすれば十分?天才投資家の目線とは

バフェット氏の投資に対する姿勢

今回は、大好評「名言に学ぶシリーズ」の続編をお送りします。前回でウォーレン・バフェット氏を特集した続きとなります。それ以前の名言につきましては、バックナンバーをご覧いただければと思います。

【関連】バフェットのこと誤解してない?投資家が名言を迷言にして失敗する3つの要因=俣野成敏

投資の神様と呼ばれているバフェット氏が、投資をする際にどのような観点から投資をしているのかは、誰もが気になるところです。

ここでは、氏の投資に対する考え方について、見てみることにしましょう。

バフェット氏自身が語る「投資で成功してきた要因」

ご紹介する名言は、バフェット氏が初来日した際の、会見でのコメントの一部です。来日の主な目的は、氏の率いる投資会社、バークシャー・ハサウェイの孫会社に当たるタンガロイ(福島県いわき市)の新工場完成式に出席するためでした。

《名言ピックアップ その1》

30年後、50年後も成長を続ける企業を探している

出典:バフェット氏初来日 「日本投資の魅力薄れず」- 日本経済新聞(2011年11月21日配信)

この名言は、投資を行う上でもっとも難しい「どの企業の株を買うべきか?」に対する、氏の考え方を語ったものです。

元来、投資を行う際には、必ず「どれを買うのか?」という銘柄選定と、「それをいつ買うか?」という時期の判断をしなくてはなりません。

何気ない一言ですが、実はこの中に、バフェット氏が投資家として成功してきた要因が隠されています

Next: なぜ今になってアップルに投資した?バフェットの目の付け所とは



なぜ今になってアップルに投資した?

通常、投資先を探す時は、最初に「これから伸びる産業はどこだろう?」と考える人が多いでしょう。最近だと、IOT(モノのインターネット)や電気自動車、シェアリングエコノミーなどが、よく取り沙汰されています。

一方、バフェット氏はどちらかというと、先進的な産業を敬遠します。かつて、氏の慎重な姿勢が裏目に出て、ITの分野で遅れをとったことは、当メルマガのバックナンバー Vol.138の中でお伝えした通りです。

そのバフェット氏も、今では代表的なIT企業であるアップルに投資を行っています。それはおそらく、氏にとってアップルが安定的に成長し続ける企業として映るようになったからなのでしょう。

個別企業のビジネスを理解できること」が、氏の重要な指標となっていることは、よく知られた話です。

アップルの大躍進を予想できた人

ところで、アップルの現在の躍進のもととなったのが、2007年に発売したiPhoneです。同機が携帯端末に革命を起こしたことは、ご存じの通りです。

世間を驚かせたiPhoneですが、「同機の発売前に、本当にこの変化を予測できた人はいなかったのか?」というと、おそらくいたはずです。それを証拠に、iPhoneに搭載されている機能は、世の中にすでにあった技術を応用したものでした。

どういうことなのか、別の事例でお話ししましょう。私の著書『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』は、仮想通貨のスペシャリストである坪井健氏との共著です。

坪井氏は、もともと暗号化技術のスペシャリストで、同じく暗号技術の粋を集めてつくられた仮想通貨に造詣の深い方です。坪井氏は、暗号通貨に携わる前は、たとえば人工衛星が送ってきた画像データを解析・加工する、といった仕事をしていました。

その氏が2011年頃に、知人を介して初めてビットコインに触れた時、「やはり、こういうものが出てきたか」と思ったのだそうです。

実のところ、ビットコインが出てくる前から、電子通貨という概念はすでにありました。ただ、いくらでも複製できる電子データを、「これがオリジナルである」と証明できる技術が確立していなかっただけのことです。

この事例は、あたかも凄い技術が突然、降って湧いたかのように、素人には感じられても、同じ分野で開発・競争をしている人にとっては、実はそれが“既定路線”であったことを示しています。

バフェットは自分が理解できないものには投資しない

要は、自分がよく知らない分野で他人と競争をしたところで、その分野を本業にしている人には敵わない、ということです。

その技術が本当に将来、モノになりそうなのか?ということや、その技術をどの企業が実現できるのか?ということを、部外者が予測するのは困難です。

これが、バフェット氏が「理解できるものにしか投資をしない」理由なのです。

30年後、50年後も成長を続ける企業を探している」という名言にあるような、「30年、50年先」というと、人は革新的な未来を想像するかもしれません。しかし、そのような中にあっても、今の自分の生活と変わらないこともたくさんあるはずです。

バフェット氏は、「今ある中から30年、50年後も続いているものを想像しなさい」と言っているのであって、すごい未来を予想しなさい、とは言っていません。

実際、投資は自分のわかる範囲内で予測をすれば十分だということを、氏の投資が証明していると言えるのではないでしょうか。

Next: 賢人が信用取引に警鐘?「借金で裕福になろうとすると、かえって貧しくなる」



「借金で裕福になろうとすると、かえって貧しくなる」

次は、借金をして投資を行うことの怖さを述べたものです。ここで言う借金とは、ローンのことではなくて、レバレッジ(信用取引)のことです。

レバレッジとは、少ない元手を証拠金として預ける代わりに、運営会社から借金をして取引を行うことを言います。

《名言ピックアップ その2》

借りたお金を元手に投資して、かなり裕福になる人はいます。しかし、そうしたやり方は一方でとても貧しくなる道でもあるのです

出典:『カリスマ投資家の教え』(著:川上穣/刊:日経ビジネス人文庫)

現在、世界3大投資家と呼ばれている、バフェット氏、ジョージ・ソロス氏、ジム・ロジャーズ氏の3人の中で、レバレッジを使わずにお金持ちになったのは、バフェット氏だけです。

ソロス氏とロジャーズ氏は、もとは同僚の間柄で、どちらもレバレッジを使って富豪になりました。

かつて、ソロス氏ロジャーズ氏の2人は、コンビを組んで運営していたヘッジファンド会社で、10年間に4,000%を超えるリターンを叩き出しています。

けれども、ロジャーズ氏がソロス氏と袂を分かち、37歳という若さで引退したのも、レバレッジによる心的負担があまりにも大きかったからだ、と言われています。

現在は、株取引やFX(外国為替証拠金取引)などで、一般投資家も気軽にレバレッジを使った取引ができる時代です。

特にFXでは、日本の運営会社の場合で最大25倍のレバレッジがかけられるため、「投資に失敗して多額の借金を抱え込んでしまう人がいる」と度々、問題になってきました。

これを受け、金融庁ではFXのレバレッジを10倍に引き下げる案を検討していましたが、業界の反対に遭い、2018年5月にその案を見送っています

なぜ、業界側が規制強化に反対したのかと言うと、レバレッジの倍率を高くしたほうが儲かるからです。

レバレッジは癖になる

バフェット氏は、レバレッジについてこう述べています。

レバレッジがうまくいくときは、利益が大きくなります。あなたの妻はあなたを賢いと思い、隣人は羨望のまなざしを向けるでしょう。

しかし、レバレッジは癖になるのです。この驚くべき手法でひとたび利益を上げた経験を持つと、ほとんどの人は保守的なやり方に戻れません

出典:『カリスマ投資家の教え』(著:川上穣/刊:日経ビジネス人文庫)

簡単に言ってしまうと、「味を占める」わけです。

こんな話があります。バフェット氏がまだ16歳だった頃、ある日、1人で競馬場へ行き、1レースで予想を外してしまいました。

本来であれば、そこで帰るべきでしたが、帰らずに賭け続け、ほぼ一文無しになってしまいます。

後になって、氏は当時のことを振り返り、以下のように自戒しています。

損を出して、プラスマイナスゼロに持っていこうとしたのが間違いだった。

出典:『スノーボール(改訂新版)〔上〕──ウォーレン・バフェット伝』(著:アリス・シュローダー/訳:伏見威蕃/刊:日経ビジネス人文庫)

この失敗は、一般投資家がレバレッジにはまり込んでしまう状況とまったく同じです。

出してしまった損失を取り返そうと、足りない分をレバレッジで補ったりすれば、たちまち損失が膨らんでいきます。

Next: レバレッジは諸刃の剣、バフェットは得意な長期投資で利益を上げた



バフェットは「待つ」ことで利益を上げた

現在、バフェット氏の代名詞と言えば「長期投資」です。銘柄を長期保有することで、市場で起きているボラティリティ(価格変動)も、許容することが可能となります。

一方、レバレッジを利用すると、余裕がなくなります。レバレッジには、返済期限があるからです。

バフェット氏のもっとも得意とする「待つ」戦略が使えないレバレッジは、もともと氏の投資スタイルとは相容れないわけです。

確かに、不動産投資などのように、レバレッジ前提で考えるべき投資もあります。とはいえ、とりわけ初心者にとって「レバレッジは諸刃の剣である」ということを、くれぐれも忘れないようにしていただきたいと思います。

バフェット氏から学ぶ「情報社会を生き抜く知恵」

情報化社会と言われる昨今。多くの人が、有り余るほどの情報を前にして、「どれが本当に正しい情報なのかがわからない」と途方に暮れています。

この状況に、警鐘を鳴らしているバフェット氏。情報とどのように向き合えばいいのか、賢者の次の名言を紐解いてみましょう。

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なぜ、バフェット氏はあえて情報集積地を避けて起業したのか?

「他人からの受け売り」で行動することの危険性

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【関連】没落する日本経済にジム・ロジャーズが警告「被害者になる若者は世界に逃げろ」=俣野成敏

【関連】なぜジム・ロジャーズは日本株を全部売った?天才投資家が警告する日本衰退の元凶とは=花輪陽子

<新刊情報>

この記事の著者・俣野成敏さんの新刊『トップ1%の人だけが知っている「最高のマネープラン」』が発売されました。ぜひお手にとってご覧ください。

トップ1%の人だけが知っている「最高のマネープラン」
著:俣野成敏/刊:日本経済新聞出版社

次回予告

次回は、「マネースクールの面接現場を覗いてみよう」をお送りします!

私が共催しているマネースクールでは、日々、お金に関する相談事が持ち込まれています。金融庁の2000万円問題レポートの発表があってからは、特に「老後資金」「資産運用」といったキーワードに質問が集中しています。

・少ない資金でも投資をすることは可能か?
・将来、不足すると予想される資金をどうすればつくれるのか?
・短期投資と長期投資をどのように組み合わせればいいのか?
・副業と投資のどちらを先に始めるべきか?

今回は、若手夫婦の質疑応答を事例に、資産形成のイロハについてお話ししたいと思います。次回の特集も、どうぞお楽しみに!

今後の特集スケジュール(予定)

2019年9月
第3回:(Vol.145)マネースクールの面接現場を覗く(9月21日配信)

2019年10月
第1回:(Vol.146)投資の身近な疑問に答えるQA集9(10月1日配信)
第2回:(Vol.147)賢人の名言から学ぶ9(10月11日配信)
第3回:(Vol.148)AIが金融市場を席巻する?!(10月21日配信)

【関連】副業サラリーマンの税金対策。「節税と脱税の違い」を僕達はまだ知らない=俣野成敏

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2019年9月配信分
  • 【Vol.144】「賢人の名言から学ぼう!シリーズ(8)」~ウォーレン・バフェット氏編(4)~(9/11)
  • 【Vol.143】「金融都市・香港はどこへ向かう?」(下)~これだけは知っておきたい金融知識~(9/1)

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image by:Rob Crandall / Shutterstock.com

※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2019年9月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

【関連】キヤノンもニコンも業績悪化、iPhone11ほか最新技術が現状維持しか考えない日本企業を潰す=鈴木傾城

【関連】いくらで人生逃げ切れる?超少子高齢化社会の「ハッピーリタイヤ」入門=俣野成敏

【関連】「海外銀行口座」開設への道〜いま日本人であること、国外に資産を置くということ=俣野成敏

俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』(2019年9月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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