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消費増税で日本撃沈。企業努力の店内飲食・持ち帰り同一価格がデフレを起こす=今市太郎

いよいよ消費増税実施ですが、持ち帰りと店内飲食を同一価格にする企業と、別料金にする企業で二極化しています。この混乱で結局はデフレへと向かいます。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2019年9月21日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

消費者はとにかく安いお店へ。結局「デフレ逆戻り」が確実な状況

消費増税で株価下落は避けられない

いよいよ10月1日からの消費税増税実施まで1週間となりました。

この消費税増税は10月以降の株価にもかなり大きな影響を与えそうで、過去の消費税実施、増税実施のタイミングをみても株価が下落しなかったことはないほど相場にも影響を与えるものとなっています。

ただ、食料品新聞に関しては生活必需品ということで、8%の軽減税率が適用されています。

したがって軽減税率が適用になる商品やサービスの運用が非常に難しくなるわけですが、実際の実施にあたっては同一の業態でも企業によって対応が異なるものとなっています。

それによって、実施後に消費者がどう判断して商品やサービスを選択するのか、非常に注目されることとなってしまいました。

口に入る食料品と飲食店のサービスがすべて8%ならば何の問題もなかったのですが、お酒と外食は10%増税としているがゆえに、ものによっては一物二価を実現してしまっている点がややこしさを加速させています。

持ち帰りもその場で食べるのも「同じ価格」の飲食事業者が出現

個別に事業者の対応をみてみますと、国が決めた枠組みを正確に順守するところと、独自判断で一律価格にして手間を省くほうを優先した企業の2つが出現することとなりました。

当初メディアなどで語られてきたように、持ち帰りと店内飲食で値段が違うかどうかは、個別のお店ごとに異なる結果となっています。

たとえば牛丼チェーン店の場合、吉野家はまさに国が紙の上で考えて設定したとおり本体価格を維持することで、店内での飲食は10%、持ち帰りなら8%という運用を実施することとなっています。

ところがすき家はすべて税込みで同一価格とし、店内は10%、持ち帰りは8%としながらも、顧客が負担する料金は同一としています。おそらくレジ打ち時に顧客からの申告でなんらかのボタンを押すことで税率の振り分けを行うことになるのでしょう。

さらに松屋は券売機での対応を行っていますが、機械では難しいことから店内、持ち帰りともに税込み価格を同一のものにして主力商品は価格据え置き、それ以外は税抜き価格を調整して税込み価格を一律にする対応しています。

こうなると同じ牛丼屋からの持ち帰りをするとしても、2%安くならない店もあれば、そもそも2%分の値上げを本体価格で調整して吸収し顧客に転嫁しないケースさえでてきてしまったことになるわです。

なんだバラバラじゃないかと憤慨される方も多いと思いますが、そもそも国からは消費税を納税する事業者の判断で税抜き価格を調整することで一律の税込み価格を表示することは実は認められているのです。

Next: 企業によって対応バラバラ。消費者はとにかく安い店へ向かう



愚直に一物二価対応をする店舗と、価格据え置きする店舗に「二極化」

こうした価格政策は、企業によって本当にまちまちな状態です。

店内飲食と持ち帰りを同一価格にしているのは日本マクドナルドで、7割近い商品は価格を据え置いていますから、事実上2%増税分は自社で吸収しており、単価の安いものだけ10円程度値上げをすることでしのぐ形になっています。

一方、愚直に店内10%、持ち帰り8%を実施するのはスターバックスケンタッキーフライドチキンモスバーガーなどで、店員が顧客の意向を確認できるところは当初の想定どおりの一物二価で運用することがわかっています。

まあマニアックな消費者ならどこの店のどれは持ち帰りがお得、いや店内飲食がお得という取り組み表でも作って利用することになるのかも知れません。

しかし早い話が、「今回の増税で値上げしなかったお店に行こう」と判断する消費者が増えそうで、実際に増税がはじまってからの各事業者の売上状況に変化が出るのかどうかに注目が集まります。

軽減税率と関係ない業態でも「価格据え置きで増税分コスト吸収」の店が増加

販売の現場は顧客の意識にかなり敏感なようで、10月の増税以降も販売価格を据え置くかたちで、増税分を実質的に値下げすることで客離れを防ごうとする小売業態が多くなっていることがわかります。

無印良品でおなじみの良品計画や、最近カジュアル商品で売り上げを伸ばすワークマンは、自社のプライベートブランドの価格を据え置きとしている状況です。

ここに挙げたのはほんの一部ということになるわけですが、10月以降、外食関連の店はまさかの値下げで迎え撃つという兵(つわもの)も現れており、結果的に物価を押し下げてデフレに逆戻りから、さらにそれを加速させかねない妙な雰囲気を醸成しはじめているようです。

Next: さらに食料品の容量が減る?結局「デフレ逆戻り」が確実な状況へ



結局「デフレ逆戻り」が確実な状況

そもそも軽減税率の運用内容も、現場の運用実態をまったく無視して役人が勝手に考えたものであることは間違いなさそうです。

結局のところ、消費者はますますお金を使わなくなる方向に動くことが予想されます。

これまでも商品コストの上昇を価格に転嫁できなかった事業者は、商品のサイズや個数を微妙に減らすことで値上げを見送るというウルトラ・デフレ対応を行ってきたわけですが、このやり方がますます流行りそうな気配となってきています。

このように小売りの事業者は消費者の買い控えや消費減退という急激な態度変化に相当戦々恐々としているようで、政権や日銀が緩やかに景気が回復しているという見方をとっているのとかなり乖離していることがはっきり窺われます。

なぜか日経平均だけはここのところ強含み、世界的にみてもトレンドが出ているのは日本だけという稀有な状況ですが、10月からの相場の大幅下落に向けてあえて飛び込み台を高くしているようにも見えてきます。

6年半超のアベノミクスと日銀の量的金融緩和が何の意味もなかったことを改めて示すことになるのかが危惧されます。

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今市太郎の戦略的FX投資』(2019年9月21日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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