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誰もトランプ再選を止められない。大統領の弾劾裁判が「茶番」に終わる可能性=江守哲

何時間も「自撮り撮影」に応じ、これまで支持者と納まった写真は5万を超えるという民主党のエリザベス・ウォーレン候補。トランプの再選を阻む刺客となるでしょうか?(江守哲の「ニュースの哲人」〜日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ

本記事は『江守哲の「ニュースの哲人」〜日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ』2019年10月11日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:江守哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

トランプ vs“自撮りの女王”ウォーレン候補、選挙戦のゆくえは?

ウォーレン候補、「富裕税」と自撮りで人気化

2020年の米大統領選に向けた動きが徐々に活発化しています。

共和党候補はトランプ大統領で決まりでしょうが、民主党はすでに報じられているように、候補者が乱立状態です。その中でも、徐々に候補者が絞られてきているようです。

政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」によると、民主党候補者指名争いでは、左派のウォーレン上院議員(70)が8日にとうとう支持率で首位に立ちました。支持基盤のリベラル層だけでなく穏健層にも浸透し始めているようです。これにより、これまで一貫してトップだったバイデン前副大統領(76)が逆転されたことになります。

RCPは、ウォーレン氏は10月に入って発表された5つの調査のうち、4つでバイデン氏を上回ったといいます。支持率平均はバイデン氏を0.2ポイント上回る26.6%となりました。

ウォーレン氏は、富裕層の資産に一律課税する「富裕税」など大胆な政策が評価され、春先までひと桁だった支持率を順調に伸ばしてきました。さらに、現在の勢いに貢献しているとみられるのが親しみやすさの演出のようです。

演説が終わると、長いときで4時間も自撮り撮影に応じるなど、気さくな面を見せているといいます。その結果、これまで支持者と納まった写真は5万を超えるといいます。これはすごいですね。

リベラルと保守の両陣営から高い支持率

一方、バイデン氏は2週間前から支持率を4ポイント減らしています。トランプ大統領が攻撃する副大統領時代のウクライナをめぐる疑惑が影響したとみられています。

8日発表されたキニピアック大調査によると、ウォーレン氏は、民主党支持者のうち「かなりリベラル」と答えた層で、26%のサンダース上院議員(78)を上回る38%の支持を獲得しました。一方、「穏健・保守」と答えた層でもバイデン氏の35%に次ぐ22%の支持を得ました。

選挙サイト「ファイブサーティーエイト」は、「ウォーレンの魅力は、彼女のイデオロギー的基盤を超えて広がっている」と指摘しています。

大統領選挙が近づくと、選挙ビジネスも活発化してくるでしょう。様々な専門家と呼ばれる方がメディアでいろんなことを言い始めます。

今後は、選挙戦のネタ探しにみな躍起になるでしょう。その中で、やはり注目されるのが、トランプ大統領の弾劾バイデン氏の疑惑です。

Next: トランプ大統領とバイデン候補の「泥仕合」は結局どうなる?



バイデン候補「トランプ大統領を弾劾する必要がある」

バイデン氏は、自身も絡むウクライナ疑惑に関して下院民主党が弾劾調査を進めているトランプ大統領について、「弾劾する必要がある」と初めて明言しました。かなり突っ込んだ意見をここで初めて出してきています。そろそろ行動しないと、置いていかれるとの焦りでしょう。

トランプ大統領がウクライナ政府にバイデン氏とその息子を調査するよう圧力をかけた疑惑に関し、バイデン氏は「トランプ大統領は自らの言動で自らの疑惑を提起した。司法を妨害し、議会調査を拒否したことで、すでに自らの有罪を証明したのも同然だ」と強調しました。

そのうえで、「衆人環視の中でトランプ大統領は就任の宣誓に背き、国を欺き、弾劾に値する行為を行った」と厳しく批判ています。さらに「米国の憲法と民主主義を守るために、トランプ大統領を弾劾する必要がある」としています。自信があるのかないのかは不明ですが、ここで発言しないわけにはいかないほど、追い込まれていたことも事実でしょう。

トランプ大統領「私自身は何も悪いことはしていない。悲劇的だ」

一方、トランプ大統領はバイデン氏の発言に即座に反応し、「私自身は何も悪いことはしていないのに、ジョー・バイデン氏が息子のハンター氏と共に少なくとも2カ国に多大な損失を被らせた上で、私自身の弾劾を呼び掛けているのを見るのは悲劇的だ」とツイッターに投稿しました。

ハンター・バイデン氏はウクライナの天然ガス会社の役員でした。弾劾調査では、トランプ大統領が議会で既に承認されていたウクライナ向けの約4億ドルの支援と引き換えにバイデン氏の調査を同国に迫ったかどうかが焦点になっています。

トランプ大統領は、「ウクライナ疑惑の発端となった内部告発者は強力な民主党員で、民主党員として私の敵の1人と協力していることが判明している」と主張し、弾劾調査は単なる民主党による攻撃との見方をあらためて示しました。

一方、内部告発者の弁護団は声明を出し、内部告発書が政治の影響を受けたとの見方を否定しました。さらに告発者は、「政治の候補者や陣営、政党のために働いたり、助言をしたことは一度もない。一貫して政治に無関係な公務員職を務めてきた」と説明しました。

これに対して、ホワイトハウスは弾劾調査への協力拒否を表明しています。ただし、トランプ大統領は、「下院民主党がわれわれの権利を保証するなら、ホワイトハウスは協力する」としています。そのうえで、法務チームに元下院議員のトレイ・ゴウディ氏を加えています。

Next: トランプ政権内の「矛盾した発言」に投資家は惑わされるな



「トランプ弾劾」という茶番劇

トランプ政権内から矛盾した発言が出てきていますが、どうなるでしょうか。

普通に考えれば、弾劾される可能性はきわめて低いといえます。これは、一般的に言われているように、弾劾決議には上院で3分の2以上の賛成が必要だからです。共和党が過半数を占める上院で、トランプ大統領を落とし込めようとする造反議員が多数出てくる可能性は低いでしょう。

このように考えると、今回の民主党の調査などは茶番に終わる可能性が高そうです。もちろん、そうなるまでは紆余曲折があり、これを世間は面白がるでしょう。しかし、これは出来レースと結論付けられることになりそうです。

結果的に、トランプ大統領の再選は盤石でしょう。トランプ大統領の誕生のいきさつを考えるとよいでしょう。なぜ彼が演出されたのか。自分が米国という大国を支配し、だれに大統領の職を務めさせるのか、という大所高所から考えれば、おのずと答えは「トランプ大統領の再選」となるでしょう。

いまの米国に、トランプ大統領が進めてきた様々な政策を継続できる人物はそういません。これは、共和党内もそうでしょう。まして、民主党にそれができるはずもありません。そうであれば、選択肢はきわめて限られるでしょう。上手いことできているということでしょう。

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2019年10月配信分
  • 「米大統領選は無風か」」(10/11)

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image by:Evan El-Amin / Shutterstock.com

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