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韓国「反日不買」の自殺行為で経済に異変、個人消費減退が止まらず長期不況へ=勝又壽良

韓国経済が危機に直面している。日本に打撃を与える目的で始めた反日不買が、「人を呪わば穴2つ」の喩え通りに、韓国自身がその穴に飛び込み大損をした形だ。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2019年1月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

韓国は「失われた20年」に突入?絶望的な低物価・低成長局面へ

韓国経済よりも支持基盤が大事?

韓国で新年恒例の官民合同の式典が開催された。歴代大統領は、ほぼこの式典に参加して、政府と民間が協力しようというセレモニーである。

文大統領は就任後3年間、なぜか出席を拒んできた。推測するに、支持基盤の労組市民団体が「反企業」で結束しているので、それに気配りした結果と見られる。

韓国経済よりも、支持基盤勢力に配慮する。これが、文大統領のポリシーのようだ。

日韓関係についても、労組や市民団体の意向を忖度している。前記の2団体は、強烈な反日団体であり、福島第1原発事故被害を過剰に宣伝して、韓国の反原発運動に利用しているほどである。

韓国原子力学会(学術団体)は、福島第1原発事故について科学的な調査発表を行い、韓国の反原発運動が誤っていると指摘した。すると、労組と市民団体が強烈な抗議をして、研究発表を撤回させる圧力団体になっている。もはや、理屈を超えた妄念集団とも呼んでよい2団体が、同時に日韓関係を悪化させる原動力になっている。

この2団体に対して、文政権は無力そのものの存在と化している。

韓国議員団が2度目の訪日

韓国国会議員は、これら2団体に比べれば、日韓関係の悪化が韓国に何をもたらすか。深刻に受け止めるようになってきた。その表れが、2度目の与野党議員による訪日計画が明らかになったことに表れている。

日韓議員連盟所属の与野党の国会議員6人が、1月8~11日に東京を訪問する

訪日期間中、自民党の二階俊博幹事長との面会を希望するなど、日本の主な政治指導者らに会い、冷え込んでいる両国関係の改善を模索するという。

韓国国会代表団10人は、昨年7月31日~8月1日に訪日した際、二階氏との面会を希望したが2回延期され、実現しなかった経緯がある。それだけに、今回の訪日では「知韓派」とされる二階氏と面会して、日韓関係改善の糸口を探そうという強い意欲を見せている。

韓国側が焦っている背景には、昨年7月以降の「反日不買」が、日本側の「嫌韓感情」を一層、刺激したという事実がある。

Next: 話し合いを拒否してきた韓国/日本人の「嫌韓」が年々増加している



話し合いを拒否してきた韓国

日韓で争点になった徴用工賠償問題は、1965年の日韓基本条約によって解決済みである。

韓国政府は、賠償金を日本政府から受け取りながら、被害者に配分しなかったという手落ちが問題の発端である。韓国大法院は、日本からの「無償3億ドル」が経済協力金名目で、賠償金名目でなかった。それ故、日本企業は別途、賠償金を支払えという「難癖」をつけてきたのである。

この判決は、「三百代言」そのものだ。日本政府が、「ハイ、そうですか」と受け入れるはずがない。文政権は判決後、この問題で日本との交渉を一切、絶ったのだ。

その結果、持ち上がったのが日本による「半導体3素材の輸出手続き規制強化」である。韓国が、これに仰天して「反日不買」という禁じ手を使ってきた。さらに日本の怒りを買い、「嫌韓感情」を増幅しているのだ。

こういう日韓関係の混乱は、文政権が日本側との話し合いを拒否したことから始まったと言えよう。

日本人の「嫌韓」が年々増加している

日本人の「謙韓感情」は根強いものがある。『毎日新聞』(12月30日付)が、日本の有権者2,400人を対象に韓国・米国・中国・ロシアの4カ国に対する親近感を調査した結果、5点満点で韓国は1.9点と最低点になった。中国は2.1点であり、韓国は初めて中国を下回ることが明らかになった。韓国は、1年前の同調査に比べ0.2点下げた一方、中国は0.2点上げている。親近感が下がった国は韓国だけで、韓国に対する親近感1.9点は、2014年に調査を始めて以来の最低である。

毎日新聞と言えば、韓国記事では比較的に「知韓記事」が多いとされる。その新聞社の世論調査が厳しい結果であり、韓国はショックを受けたのだろう。「10年後の日韓関係」では、さらに悪化するという結果が出ているのだ。

日本とこれら4カ国の10年後の関係について「悪くなる」(1点)から「良くなる」(5点)までの間で点数を書き入れるようにした項目でも、韓国は最下位であった。米国・中国・ロシアは関係が良くなるという回答が、昨年調査よりすべて上昇していたのである。韓国だけが、昨年より0.3点下げて2.2点だった。この項目では米国3.3点、中国2.5点、ロシアは2.4点である。

日本は、10年後の日韓関係についても絶望的な見方である。

Next: もはや自殺行為?「反日不買」で韓国の航空会社は軒並み赤字へ



日本が見せた韓国への怒り

韓国側が、この世論調査結果を見れば、「青ざめて」当然である。

これまで、「世界中で日本をバカにできる国は韓国だけ」と妙な威張り方をしてきた。そういう無礼な態度が、日本人の本格的な怒りを買ったとも言える。文政権が残した日韓関係への爪痕は、簡単に消えるものでなさそうである。

日本が、本格的に韓国への怒りを示したのは、従来の「政経分離」を止めて、「政経非分離」に切り替えたことだ。

「政経分離」とは、韓国が歴史問題で反日運動を始めても、日本が経済的な対抗手段を取らなかった点である。今回の徴用工賠償問題では、日本が「政経非分離」で対抗した。徴用工賠償という歴史問題に対して、日本が「半導体3素材の輸出手続き規制」で対抗したのだ。

韓国は、これに驚き混乱して「反日不買」という禁じ手を使い、自らも被害を受けることになったのである。

「反日不買」で航空会社が軒並み赤字へ

韓国側の被害では、航空8社がすべて7~9月期決算で赤字経営に陥ったことである。

日韓路線は最大限2時間程度と短いフライトである。航空会社にとっては、最も採算の乗る路線という。このため、韓国の航空会社は現在の8社に加え、新規参入が3社もあるという盛況ぶりである。

文政権では、経済の内需振興策として、地方に空港建設を奨励している。この裏には、日韓航路で航空会社が採算を取りやすいという前提あってのことだ。

ところが、政府が率先して「反日不買」運動を薦めれば、日本への観光客を減らし、地方空港増設が赤字要因になることに気付いたのであろう。

文政権は、地方空港増設を政権浮揚の目玉政策に据えている。反日不買運動は、これに水をかけることになる。

なんとも締まらない話だ。これが、文政権の抜けたところである。

デメリットを考えない粗雑な政権

最低賃金の大幅引き上げは、賃金を増やして個人消費を刺激するという「単線構造」を想定していた。

現実は、最賃大幅引き上げが、生産性上昇分を上回り、失業者を増やす「複線構造」であることに気付かなかった。

この失態は、「反日不買」運動にもそのまま当てはまるのである。要するに、理念先行でそれがもたらす負の効果について考えることもしない粗雑な政権である。

Next: 個人消費が大きく減退、19年の名目GDP成長率からわかる韓国の危機



日韓の争いで個人消費減退

韓国の消費者心理は、政治不安に敏感である。これは、歴史的に中国の支配を受けてきたことの影響と見られる。

朝鮮民族は、中国からの無理難題によって振り回され、経済的に搾取された苦い経験が語り伝えられているはずだ。これが、「集合的無意識」となって、韓国人の深層心理に遺伝していると読めるのだ。この「集合的無意識論」は、ユングの心理学で指摘されたものである。

日本人が、度重なる天災による被害を「諦観」して受け止めている。外国人から見れば、大きな災害を受けても、黙って耐えている姿に驚いている。これは、先の「集合的無意識論」から言えば、何千年もの間に繰返される天災を黙って引き受ける、日本人の深層心理を形成しているのであろう。

この「集合的無意識論」は、期せずして日韓において立証できるテーマである。

韓国人には日韓の争いごとが、政治的な不安心理となって消費者心理を萎縮させるのである。反日不買は、日本経済を痛みつけるよりも、韓国自身が深傷を負うという予想外の事態に陥っているのだ。

韓国経済に異変が起きている

それは、昨年のGDPに表れている。OECD(経済協力開発機構)による昨年の最新名目GDP成長率予測(12月末)では、韓国が前年比1.4%にとどまった。

韓国統計庁発表の昨年の消費者物価指数は、0.4%の伸びに過ぎなかった。単純に言えば、昨年の実質GDPはわずか1%成長に止まることになろう。現実の実質GDP計算では、名目成長率をGDPデフレーター(物価)で調整する。昨年のGDPデフレーターは、後ろに掲げた。

過去の名目GDP成長率の推移は次のようになっている。

2011年:4.99%
2012年:3.74%
2013年:4.16%
2014年:4.13%
2015年:6.14%
2016年:4.94%
2017年:5.45%
2018年:3.16%
2019年:1.40%(OECD予測:12月)/ 1.05%(IMF予測:10月)

2011年以降の推移でも、19年の名目GDP成長率は極端に低くなっている。韓国経済に異変が起こっている証拠である。GDPデフレーターが、前年同期比でマイナスに落込んでいることにそれが表れている。

2018年10~12月期:マイナス0,1%
2019年01~03月期:マイナス0,5%
2019年04~06月期:マイナス0,7%
2019年07~09月期:マイナス1,6%

GDPデフレーターがすでに1年間もマイナス状況にあり、期を追うごとにマイナス幅を拡大している。衝撃的な話だ。

文政権の大幅最低賃金引き上げ輸出不振、それに「反日不買」に伴う不安心理が個人消費を直撃し、消費者物価上昇率を「ゼロ%台」へ押し下げている結果であろう。

当初は、日本経済に打撃を与える目的で始めた反日不買が、「人を呪わば穴2つ」の喩え通りに、韓国自身がその穴に飛び込み大損をした形だ。笑うに笑えない話である。

Next: 韓国は「失われた20年」に落ち込む? 絶望的な低物価・低成長局面へ



韓国は低物価・低成長局面

韓国では、物価状況が低迷していることから日本経済が味わった「失われた20年」に落ち込むのでないかという危機感が強まっている。「低物価・低成長」から、最悪の事態を想定するのであろう。

韓国が、このまま労働市場の改革もせず、「親労組」の立場を続ければ、ドロ沼状況に落ち込むほかない。韓国では、あまりにも労組の力が強く、企業がこれに従うという、他国では考えられない事態に陥っている。韓国では、労使が対等ではないのだ。

労組が企業経営に関与するという事態を招いている。与党「共に民主党」にとっては、選挙運動の際に大車輪で活動する貴重な戦力だけに、言いたいことも言えないという不思議な状態にある。

こういう歪な関係を整理しなければならないが、文政権は今後20年間、進歩派が政権を握るという構想を練っているほど。この夢のような話では、労組の強力な支援を前提にしている。

文政権は、長期の政権構想が最大の目的になっている。それだけに、労組を諫めるようなことは不可能だ。

労働市場改革が不可欠

韓国経済が立ち直るには、労働市場改革が不可欠である。

誰もそれを知りながら、実行できないという矛楯した状態に陥っている。韓国の危機は、強すぎる労組の力を調整する者が表れないという混乱した事態にあるのだ。

朝鮮李朝の末期は、外交面で混乱し調整のつかないことが崩壊の原因となった。現在の韓国は、強すぎる労組の力を他とバランスさせる政治勢力が現れず、逆に利用して政権を握るという文政権の中に混乱の原因がある。

韓国は結局、国内の混乱で経済力を失っていく「運命」であると見るほかない。朝鮮李朝のたどった道である。

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  • 反日不買の代償払った韓国 長期不況回避に日本の支援を痛感(1/6)

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勝又壽良の経済時評』(2019年1月6日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。

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