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ゴーン被告に関する安倍首相発言が大問題化、やはり政権による国策逮捕だったのか?=今市太郎

ゴーン被告の逃亡に関連して、安倍首相は8日夜、キヤノンの御手洗冨士夫会長らと会食した際に「日産のなかで片付けてもらいたかった」と発言したことが発覚。大問題の様相を呈し始めています。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2020年1月10日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバッグナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

安倍首相が自ら政府関与を裏付け? 陰謀論とは片付けられない…

ゴーン被告のイメージに変化

日本時間1月8日22時、イランと米国の戦争寸前の真っ最中、レバノンにおいてカルロスゴーンの記者会見が行われ、国内ではTX・テレビ東京が生放送を行うといった異例の事態となりました。

ゴーン氏の発言に関して、実際にご覧になった方は様々な印象をお持ちでしょう。

結構エモーショナルな発言が多く、日産の立て直しに動いた頃の理路整然とした語りの雰囲気とはずいぶん異なる雰囲気を醸成していたことは紛れもない事実です。

彼が口にした内容がどこまで本当なのか、現状では知る由もありません。

しかし、この会見で当初政府関係者でゴーンの逮捕に関わった人間の名前を暴露すると言われていた部分については、レバノン政府にも迷惑がかかるという理由から、とうとう公表されることはありませんでした。

ゴーン発言の詳細内容については今後様々な形で検証されることでしょうし、すでに矛盾点を指摘する米系メディアも現れていますので、その経過を見守りたいところです。

それとは別に、安倍首相が8日夜、キヤノンの御手洗冨士夫会長らと東京・銀座の日本料理店で会食した際に驚くべき発言をしたことが露見して大きく注目され、大問題の様相を呈し始めています。

「本来、日産のなかで片付けてもらいたかった」とはどういう意味か?

この御手洗会長との会食には、自民党の河村建夫・元官房長官も同席していたそう。

時節柄、ゴーンの記者会見についても話題になり、首相は「本来、日産のなかで片付けてもらいたかった」と語ったと、極めて迂闊な発言をマスコミに伝えてしまったのです。

ちなみに河村氏は、山口県選出の衆議院議員。安倍氏とは選挙区でも近しい存在の二階派議員で、麻生内閣時の官房長官ということで、安倍首相との関係性も強い人物です。

安倍首相としては、日産・ゴーンの事案は政権にとってもいい迷惑という意味で語ったのでしょう。

しかし、聴き方によっては、日産の中で片付かなかったので政権として手を貸した。つまり、「日産から頼まれたので、ゴーンを逮捕してやったのだ」とも取れる発言であることから、ネット上ではゴーン自身の問題とは別に、大問題になってきています。

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安倍首相が自ら政府関与を裏付け?

まあ脇の甘い発言といえばそれまでですが、2018年末のゴーンの突然の逮捕は、日産・三菱自動車のルノーとの統合、海外移転を阻止する日本政府の意思があったのではないか?という憶測が流れ、国策捜査・逮捕説が常に付きまとってきました。

それだけに、首相サイドからこうした発言が飛び出すのは、聞き捨てならないものがあります。ある意味で、この疑惑を自ら実証するようなものとなっているわけです。

ゴーン氏は当初、会長としてルノーとの経営統合計画に異を唱えていたものの、ルノーCEO続投と引き換えに態度を豹変させたあたりから、日産内部でクーデターを起こす動きがあり、日産幹部と相談を受けた検察が官邸や経産省に働きかけて、ゴーンをまんまと逮捕・排除したのではないか。

こうした見方をある意味裏付けるような発言を首相自らが平然と行っていることは、非常に気になるところです。

国策捜査・逮捕につながる陰謀論はすでに市場で満載の状況

このメルマガでは巷に渦巻く政権がらみの陰謀論を解説して追及するのが目的ではありませんし、徹底した取材ができるわけではありませんから、真偽のほどを詳らかにすることはまったくできません。

ですが、日産の中でゴーンを追及する社内チームの旗を振っていた当時の広報担当の専務だった川口均氏は横浜商工会議所の副会頭で、当該選挙区出身の菅官房長官とは会社ぐるみで近しい間柄であったうえに、個人的にも相当懇意な関係です。

東京地検特捜部がゴーンを逮捕した直後、菅官房長官を訪ねて、逮捕の報告と謝罪を行っていますが、真っ先に官邸に挨拶に行くというのも、実にMake Senseな状況といえます。

もともと検察と共同した計画を、逐一、菅官房長官に報告していたのではないかと疑われるのも無理はありません。

また経産省で経済産業審議官・内閣官房参与を歴任し、退任後は2018年6月から日産の非常勤取締役に就任している豊田正和氏も、ルノーとの統合や海外移転を阻止するために経産省が日産に送り込んだ刺客ではないか?という説もまことしやかに流れている状況です。

豊田氏は安倍首相の側近で、やはり経産省出身でよからぬ話があると必ず名前の出る今井尚哉首相補佐官とも、原発の再稼働を巡ってかなり近しい関係にあったと言われています。

ゴーンの記者会見では、こうした噂の人物の誰かの名前が公表される予定だったのではないかという見方が強まっています。

Next: 自動車産業は世界的再編の途上、特定国が関与すべきものではない



自動車産業は世界的再編の途上、特定国が関与すべきものではない

経産省が通産省だった昭和の時代には、確かに有能な官僚が産業のグランドデザインを描き、民間企業を主導して国内で大きな発展を遂げることに深く寄与した時代があったことは紛れもない事実です。

しかし、90年代以降の経産省の関与はもはや前時代的で、日本企業を守り抜こうとする動きが次々と裏目に出ているのが実情です。

ルネサスやジャパンディスプレイの件などを見ていると、完全に市場・業界動向と逆行した動きをとっていることがよくわかります。

自動車産業もしかりで、EV化が進み自動運転の普及で個別所有から社会インフラ化・サブスク化が進み、そもそも市場のリーダーシップがややもすれば既存の自動車メーカーではなくなりつつあります。

そのなかで、旧来からのビジネススキームを国産で守り抜くために、ルノーを日産と三菱から排除することに奔走し、政権までもがそれに加担するというのは完全に時代錯誤の領域に入ってきているといえます。

検察の対応は明らかにおかしい

そうでなくても国内の産業・経済はもはやズタズタな状況ですから、もっと革新的で国民にわかりやすい青写真が必要になってきていることは言うまでもありません。

確かにゴーン自身が相当カネに汚く、しかも今回のような逃亡を企てたことなどは、すべて肯定されるものではありません。

しかし、検察の対応は明らかにおかしなものがあり、それに政権や官邸さらに経産省が組しているとなれば、もはや見て見ぬふりをしてはいられない状況です。

そうでなくても、「桜を見る会」の政治資金規正法違反問題しかり、現職大臣の公職選挙法違反問題しかり、政権の当事者とそれに近い人間がまったく司法によって罰せられない状況と、ゴーンの逮捕騒動は、相当なコントラストを描いていることは間違いありません。

Next: 先進国として異常? 安倍首相が日産問題の政府関与について説明すべき



日本は先進国として異常?

この政権が先進国としてまともなものではなくなりつつあるのは、国民のみならず、海外から見ても同様です。

外資がこのような状況下で積極的に日本市場に投資を行うことなど、まったく考えられないところにさしかかってきています。

首相はこの際、役人が差し出すカンニングペーパーの原稿棒読みではなく、自らの言葉で日産問題に対する政権の関与について、真摯に説明すべきではないでしょうか。

政権が検察を自由に操り、動かして、民間企業の内部抗争や統合劇に深く介入して思うがままの結果を出すなどということは、まともな資本主義にはあり得ないものです。国民はいったい、この政権の何を信じればいいのでしょうか。

これ、為替にも重大な影響を与える事案です。

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今市太郎の戦略的FX投資』(2020年1月10日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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