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ついに始まった45歳以上の大量リストラ。中産階級の消滅で日本経済は壊滅へ=今市太郎

中高年のリストラが急増しています。日本を支えてきた中産階級が激減しており、ほんの1%の富裕層と残りの貧乏人で構成される構造破壊社会が生成されつつあります。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2020年1月15日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバッグナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

70歳まで働く社会を呼びかける国と現実のギャップが埋まらない…

儲かっている企業も中高年をばっさりリストラ

このメルマガでは昨年、本邦のファンダメンタルズの重要なファクターの変化という視点で、バブル世代や団塊ジュニア世代の雇用状況が激変しており、加速度的に早期希望退職という形でリストラが進んでいることをご紹介してきました。

【関連】40代のリストラ加速。人手不足は大嘘で、超低賃金の単純労働者だけを求める日本社会=今市太郎

東京商工リサーチの調べでは、2019年に早期・希望退職者の募集実施を公表したのは36社で、募集・応募人数の合計は1万1,351人(判明分)。そのほとんどが45歳以上の雇用しすぎたバブル世代や、そのあとの団塊ジュニア世代がターゲットになっています。
※参考:2019年(1-12月) 上場企業「早期・希望退職」実施状況 – 東京商工リサーチ(2020年1月15日配信)

業績の好・不調とは関係なく、儲かっているところでも、中高年の人減らしが非常に増加していることが明確になりつつあります。

40代リストラ世代は再就職も厳しい

圧倒的に人数が多く、与えられるポジションも限られている40代の中年層を減らして、その原資を若手や社内にいない才能を持った人材の雇用に回したいというのが、多くの企業の真意のようです。

また、個別企業は自社のことだけを考えてこうした動きをとっているものの、社会的には40代リストラ世代はひとつのクラスタ化をしはじめており、あまりにも同年代の求職者が増えていることで、次なる仕事を見つけることが困難な状況に陥りつつあるようです。

リストラに関しては、個々人の能力の問題に起因するので仕方ないという見方も強いわけですが、実は資本主義を基本とする日本社会に重大な問題を発生させようとしているのです。

Next: 中産階級が激減?終身雇用と企業内失業者の雇用維持が社会を支えていた…



激減する日本の中産階級

高度な資本主義国というのは、中間所得のいわゆる自他ともに認める中産階級という層がかなりの厚みを持って存在していることが、資本主義を継続させる重要な維持要件となっています。

しかし米国でもこの中間層というのは急激に姿を消しつつあり、ほんの1%の莫大な富裕層と残りはほとんど貧乏人だけで構成される完全に構造破壊社会が生成されつつあるわけです。

これは日本もしかりで、上層の所得層はそれなりに増えているものの、長く国内社会を納税の面でも消費の面でも支えてきた正社員のサラリーマン層が年々激減しています。

そして、最後の砦ともいうべき40代のもっともライフステージ的に様々な方面での消費を余儀なくされる層が、安定収入を得られなくなる社会が示現しています。

つまり日本は、米国よりもさらに深刻な資本主義社会の崩壊への道に突き進もうとしている状況なのです。

終身雇用と企業内失業者の雇用維持が、日本の一定以上の労働分配率を支えていた

つい20年ほど前まで、国内社会は良くも悪くも終身雇用が維持されていました。バブル崩壊後のデフレ低成長が続く中でも、国内の雇用形態の特殊性から、労働成果の低い、いわゆる企業内失業者も放逐されずに維持されてきました。

そのことが、ある意味で国内の労働分配率を維持し、一定の中産階級の数を保つことに貢献してきたといえます。

しかし40代の正社員から必要のない人材をどんとんリストラしていくという足元の企業の姿勢は、完全に終身雇用を終焉させる動きになっていることを改めて感じさせられます。

それとともに、これまでかなりのボリュームで維持されてきた中間所得層が消滅に向かおうとしている状況が顕在化していることがわかります。

実際この中間層の消滅により、年収300万円もしくはそれ以下の世帯が急激に増加しているのは事実で、ごく一部を除けば、1億総低所得社会がすでに現実のものになっていることに気づかされます。

Next: 70歳まで働く社会を呼びかける国と現実のギャップが埋まらない



働きバチでも蟻でも、実に「7割は働かない」のが自然界の生き物の法則

ほぼ10年ほど前に長谷川英祐氏が書いた『働かないアリに意義がある』という本が大変話題になりました。

働き者だから働きバチや働きアリという名がついているはずなのに、こうした昆虫の実に7割がさぼっているというショッキングな内容からはじまって、その7割の働かないものたちが巣全体の存続を保っているというなかなか興味深い内容です。

しっかり働いているのは、全体の2割から3割にすぎないという話を聞きますと、戦前の選民理論のもとになったパレートの法則を思い出させるわけですが、日本のサラリーマン社会でも上位の2割が優秀なだけで、それ以外は結構ぼんやりしている社会が高度成長期から続いてきたことは間違いなさそうです。

ただ、ハチやアリの場合、この7割の働かない層がここ一番、仕事をしなくてはならないときにしっかり働くという補完機能を持っている点が、どうも人間における企業のサラリーマン社会と違うようです。

国内企業は、もはや労働力枯渇という、ここ一番の状況に働けるかどうかわからない中年層はバッサリ切り捨てることを選択しているようで、再教育したり新たな能力開発をして雇用を続けるつもりはまったくないようです。

70歳まで働く社会を呼びかける国と現実のギャップが埋まらない

安倍政権は「働き方改革だ」「やりがいのある社会だ」「生涯現役社会だ」と都合のいいことを吹聴して、とにかく国民が70歳までは働く老後レス社会を実現しようとしています。

しかし、すでに40代から働きたくても再就職先のない状況が完全に示現しはじめています。

このギャップを個々人が社会生活の中から埋める手段を見つけるのは極めて難しいものがあり、自ら新たな能力開発をして次なる正業を見つけることは至難の業です。

FXやCFDの取引で少しでも収入を稼ぐことができればなどとも思いますが、サラリーマンがいきなり専業のトレーダーになって安定的に利益を確保できるほど甘くないのが相場の現実で、簡単にはお手伝いできないのが現状です。

Next: 中産階級の消滅で日本経済はさらに疲弊していく



中産階級の消滅で日本経済はさらに疲弊していく

それにしても国内市場におけるこの所得階層の劇的な変化による中産階級の消滅は、あらゆる本邦企業の経営にまるで投げ捨てたブーメランが戻ってくるように、ずしりと響くことは間違いなさそうで、ますます日本経済は疲弊してしまいそうな状況です。

経営者はこの構造を本当にしっかり理解しているのでしょうか?

足もとでは決して景気がよくないのに、米国FRBの隠れQEのおかげで連日史上最高値更新を続ける米株に引きずられる形で、ファンダメンタルズの実態からかけ離れるように日経平均だけ上昇しています。

このツケは、必ず株価に示現してくるはずです。

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image by:EQRoy / Shutterstock.com

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今市太郎の戦略的FX投資』(2020年1月15日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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