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ついに中国発「コロナ・ショック」が金融市場を直撃、世界同時株安へ=原彰宏

中国発の新型肺炎が猛威を奮っています。金融市場にも大打撃で、いよいよ「コロナ・ショック」といえるマーケット状況になってきました。(『らぽーる・マガジン』原彰宏)

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※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2020年1月27日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

金融危機は近い? 習近平強権体制の弱点があらわになった…

中国発の「コロナ・ショック」へ発展する

マーケットが大きく変動するとき、特に暴落となるような大きな出来事を、よく「○○ショック」と表現しますが、まさに、いま世界中で起きていることは、中国発の「コロナ・ショック」だと言えます。

後世、歴史に名を残すマーケット暴落出来事は、「ブラック・マンデー」に始まり、「ITバブル崩壊」があり、そして「リーマン・ショック」を経ていますが、今回の「コロナ・ショック」は、どのようなポジションになるのでしょう。

ただ、SARSも中国発ですし、一連の新型ウイルスがマーケットを破壊するという観点で見れば、間違いなく、マーケット史上の大事件となることでしょう。

それぐらい、先行きが見えないマーケットのマイナス要因であることは間違いありません。

SARS・重症急性呼吸症候群のときも、「ショック」と銘打ってもおかしくないマーケット状況でした。

今回の新型ウイルスは、人間への重症度は低いとはされてはいますが、SARS流行当時とは比べものにならないほど、物理的にも情報的にも距離がなくなってきていますので、今後の展開がまったく読めないというのが正直なところでしょう。

発生源は食用の野生動物か

SARSの原因病原体は「新型コロナ・ウイルス」でした。「コロナ」ですね。

どちらも、野生動物を扱う市場が発症の源となっているのが共通点です。

よく言われることですが、中国では、

4本足のものは机と椅子以外、
2本足のものは家族以外、
飛ぶものは飛行機以外、
水中のものは潜水艦以外なら、

何でも食べる……。

中国独特の食文化が、これらを生み出していると言えるのかもしれません。

今回の新型肺炎の発生源が、武漢市内にある「武漢華南海鮮卸売市場」です。

同市場では、食用の動物や爬虫類も売られていて、その中でも、中国に生息するアマガサヘビやタイワンコブラが感染源の可能性ではないかと指摘されています。

Next: SARSの恐怖が再び? イヌもネコも食用として売られている



SARSの恐怖が再び

2002年11月に中国広東省広州市で発生したSARSは、同市郊外にある「広州新源蛇鳥禽畜総合市場」という野生動物の市場が発生源とされました。

売られているものは、鳥類ならば野鳥やウズラから大型の水鳥まで、ヘビはコブラもいれば、イヌ、ネコ、野豚、狼の類から、子鹿まで、日本では見かけない動物も含めて、生きたまま網や鉄の籠や檻の中に入れられて店先に並べられていました。

イヌは生きたまま四角い箱のような檻の中に”すし詰め”にされて、その檻が縦にいくつも重ねられています。

ネコに至っては、客が選んだものを”やっとこ”で首筋を挟んで籠から引きあげ、麻袋に詰め替えて手渡していました。

すべて食用です。

SARSは、野生のハクビシンが持ち込み、媒介してヒトに広まっていったとされています。今日本にも、多くの野生のハクビシンが生息しているのです。

SARS感染のときに問題となったのが「スーパースプレッダー(超感染拡大者)」の存在です。1人で多人数に感染を拡げる特殊な感染者のことで、その存在が、パンデミックに繋がるのですね。

SARSの集団発生は、2002年11月16日の中国の症例に始まり、台湾の症例を最後に、2003年7月5日に、WHOによって終息宣言が出されました。

32の地域と国にわたり、8,000人を超える症例が報告されました。

日経平均は急落へ

マーケットは、米国のドローン攻撃によるイラン要人殺害に始まり、日米通商交渉第一段階署名合意にいたり、アップダウンさせられました。

昨年からのマーケット変動の一番の大きな要因は米中通商交渉でした。

今足下では、もっぱら中国の新型肺炎、コロナ・ウイルスが最大のネガティブ要因となっています。

先週金曜の時点では、欧米市場は世界保健機関(WHO)の緊急事態発動見送りにより、ヘッジファンドも模様眺めを決め込んでいました。

NYでの企業業績発表も、無難にこなしている状況でした。

それが、週末を控え、多くのファンドは新型肺炎関連の新たな展開を見守る姿勢となりました。

ところが事態は悪化しました。

中国本土以外にも感染者が見つかり、とうとう米国でも感染者が見つかりました。

中国の習近平政権も、全国人民代表大会(全人代)を3月5日に控え、なりふりかまわぬ強権的封じ込めに動きました。

結果として、週明けの東京市場がヘッジファンドの株売り、円買いの仕掛けをまともに受ける展開となって、東京市場は大幅下落となりました。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

「米中通商協議“第1段階”の合意を受け、しばし安堵感に浸っていた市場は、不意を突かれた…」専門家の嘆きの言葉です。

Next: 金融危機は近い? 習近平強権体制の弱点があらわになった



習近平強権体制の弱点があらわになった

まさに、ウイルス感染拡大なんてことは、相場予想では誰もが想定していないことだけに、ただただ情勢を見守るだけです。まさに想定外です。

しかも、新型肺炎に対する地方政府の後手後手にまわる対応は、習近平強権体制の弱点をあらわにしたという指摘もあります。

武漢市では全国の地方政府幹部集会が7~17日に開催されていました。そこで地方当局が冷静を装い公表が遅れたとの指摘もあります。

市内の病院には、「感染ゼロ」の「目標」が下知され、「未達」だと病院事務長が解雇される懸念もあり、看護師たちが感染事例報告をためらったとの報道も市場には流れているそうです。

今回ばかりは、習近平政権も、「外国分子による陰謀」などに責任転嫁はできず、自身の求心力もそうですが、中国経済に多大な影響が出ることは、まさに、香港や台湾情勢で頭が痛いときに、もう「踏んだり蹴ったり」という感じではないでしょうかね。

習近平氏の踏ん張りどころでしょう。

金融危機は近い?

この「コロナ・ショック」が中国経済にどれほどの影響をもたらすのか、これから出てくる経済指標がすごく心配です。特に個人消費の落ち込みは避けられないでしょう。

おりしも米国市場は、過去最高値水準にあり、かなりの高値警戒感が、エネルギーとして内在しています。

さらなる新型ウイルス拡大報道が強まるとか、あるいは、中国経済失速を示唆するような経済指標結果が出るようなことがあれば、ヘッジファンドにとっては、格好の利益確定の口実となるのではないでしょうか。

当面のマーケット好調さとは裏腹に、いつでもドスンと行くエネルギーが貯まっていると踏んだほうが良さそうですね…。

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らぽーる・マガジン』(2020年1月27日号)より一部抜粋
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