民間の調査会社によると、1,000万円以上の負債を抱えて倒産した企業の数が3か月連続で前年同月を上回りました。ここからさらに倒産は増える見通しです。(『らぽーる・マガジン』原彰宏)
※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2019年12月9日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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倒産増加の原因は「節約志向」?
民間の調査会社帝国データバンクによれば、1,000万円以上の負債を抱えて倒産した企業の数は、10月で785件、前の年の同じ月より5%増え、1か月の件数としては今年に入って最も多くなっています。
11月は724件で、3か月連続で前の年の同じ月を上回ることになりました。前の年の同じ月より2.5%増えました。
10月に関しては、消費税率引き上げ後の売り上げの落ち込みや台風による被害の影響があったとの調査報告があります。業種別には、アメリカと中国の貿易摩擦や日韓関係の悪化で輸出が減ったことなどが影響して、製造業の倒産が前の年より30%増えたほか、小売業も12%増えました。
消費者行動と企業倒産は繋がっていて、
「消費者の節約志向が強く、消費税率引き上げの影響が一段と懸念されるうえ、夏以降の豪雨被害で事業を再開できずに廃業する企業も出てくるのではないか。倒産はこのあとも増えるおそれがあり、1年間の件数は、2年ぶりに前の年を上回りそうだ…」と民間調査会社は話しています。
11月の倒産に関して業種別にみると、人手不足や人件費の高騰が重なり、ソフトウェア開発を中心にサービス業が9.8%、建設業が7.2%、それぞれ増えました。
また消費者の根強い節約志向を受けて飲食店の倒産は1月から先月までで668件に上り、年間として最も多いペースで増えているということです。
あらゆる業種・地域で倒産は起きている
また、民間調査会社の東京商工リサーチが9日に発表した11月の全国企業倒産件数は、前年同月比1.4%増の728件でした。こちらの調査でも、やはり3カ月連続で前年同月を上回っています。
6月(734件)以来の高い水準となった11月は、負債総額は前年同月比2.3%増の1,241億1,600万円で、5月以来6カ月ぶりに前年同月を上回ったとあります。
負債1億円未満の倒産が全体の7割超を占めました。
産業別の倒産件数をみると、全10産業のうち5産業で前年同月比で増えました。
「農・林・漁・鉱業」が前年同月比で増えたほか、金融機関の融資姿勢が慎重になっている「不動産業」も前年同月比で増えた一方、「小売業」は6カ月ぶりに前年同月比で減ったとあります。
11月倒産を地域別に見ると、9地域中4地域で前年同月を上回ったとあります。
近畿(210件)はサービス業(55件、前年同月比31.0%増)のほか、卸売業(27件、同50.0%増)が増加し、前年同月比12.9%増。四国(22件、同83.3%増)は建設業や製造業など5業種で増加しました。