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日本経済、コロナで原爆も空襲もなく焼け野原へ。GDPマイナス25%の世界が来る=今市太郎

日本の4〜6月期GDPがマイナス25%になるとの衝撃的な予測が出ています。実額としては20兆円近い消費の落ち込みになるわけですから、それはもうすさまじい数字であると認識すべき状況です。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2020年5月26日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

まもなく日本経済の悪化が可視化される

世界的に「経済の早期再開期待」などという浮ついた理由から、国内の株価も上昇を維持しています。しかし、国内経済の前のめり再開のおかげで、いよいよ実態経済の悪化のひどさが可視化されてくることになりました。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

そのため、これまでに正確に感じられなかったその壊滅的悪化ぶりを、ようやく多くの国民が身をもって感じさせられる時間がやってくることになりそうです。

四半期GDPは終わってから発表になる遅行指標ですから、正確な数字が示現するのは7月以降。そもそも本当の数字がちっとも良くわからない疑惑の殿堂内閣府がまとめるので、手心が加えられる心配もあります。

GDPマイナス25%の世界が来る

米国アトランタ連銀が想定する4~6月のGDP縮減率はマイナス42%超という猛烈な数値になっていますから、日本で予想されている「マイナス25%」程度の数値はさらに悪化することさえ考えられる状況になってきています。
※参考:日本の4-6月期GDP予想、マイナス25%に下方修正-ゴールドマン – Bloomberg(2020年4月8日配信)

しかも、第2四半期の一時的な落ち込みだけで終わるかどうかは、まだ誰にもわからないのが実情。今年1年間の落ち込みは、我々が足元でほのかにイメージする内容より遥かに悪化することだけは間違いなさそうな状況です。

第2四半期だけで25%のマイナスGDPが示現した場合、実額としては20兆円近い消費の落ち込みになるわけですから、それはもうすさまじい数字であると認識すべき状況です。

国内の市場をネットのチャート上から見ている投資家にとっては、どうもまったくリアリティが感じられないものになってしまっているようです。

Next: 年初まで人手不足がよく語られていましたが、足元ではもうまともなバイト――



レイ・ダリオほか著名投資家は慎重になっている

年初まで人手不足がよく語られていましたが、足元ではもうまともなバイトすらなく、求人情報が掲載されても学生から失業者まで殺到することから、経済再開といっても収入を確保する手段が著しく限られている状況が顕在化しはじめているようです。

この3月、リスクパリティ戦略をとりながらも久々に巨額の損失を出してしまった世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーターアソシエイツのCEOレイ・ダリオは、LinkdInのインタビューで、足元の状況が1933年当時の大恐慌の真っただ中の状況と酷似しており、すでに不況を超えてカネと信用を作り出すメカニズムが完全に崩壊したと語っています。

当然、株価が元に戻り、それを超えて行くには相応に時間がかかり、簡単ではないとの指摘もしています。

「歴史は常に繰り返す」とする見方をしているレイ・ダリオの視点は、国内外で中央銀行がなんとかしてくれるから相場は大きく戻し、この下落が最大のチャンスであるという見方をする投資家とはかなり異なるもの。

相場に精通して大きな利益を得ることができたエキスパートほど、今の相場の上げには追随していないことがわかります。

悲観と楽観で真っ二つに割れた金融市場

どうも足元の市場は、次の2つの層の人たちに分かれているように見えます。

それは、大恐慌を実感してこれからさらに厳しい状況が展開し、大きなパラダイムシフトが待っていることを予想・実感しはじめている層。そして、実態経済はどうであれ相場は大きく戻すという楽観主義から、どれだけ危うくてもそれに賭けるしかない層です。

ここからの相場展開を想定するにあたって、このどちらの意識を強く持っていくのかは、投資の結果にもかなり大きな影響を及ぼすことになるでしょう。

過度に悲観論を振りかざす必要はありませんが、さりとてなんの根拠もない楽観論だけで相場を買い向かうのも相当リスキーな時間帯が到来していることを感じさせられます。

Next: AIやアルゴリズムが相場を先導するようになってから、ヒトの裁量取引なら――



日本が焼け野原になっているのが見えないのか?

AIやアルゴリズムが相場を先導するようになってから、ヒトの裁量取引ならとっくの昔に認識できたような事柄が、事実として示現してはじめて相場がその方向に動き出すという、妙な時間のズレがかなり示現するようになっています。

まさに足元の状況は、そのズレが最大に乖離した状況なのではないか?と強く実感させられます。

見かけ上の日本社会は店舗のシャッターが閉まりネオンが点灯していないだけで、正月かお盆休みが延長しているだけにしか見えません。

しかし現実は遥かに壊滅的で、原爆も空襲もないものの、その後に匹敵する焼け野原状態がすでに姿を現そうとしているように思われます。

緊急事態宣言が解除されたことで東京の経済再開が徐々に始まると、その状況はますます露わになることでしょう。

改めて、大恐慌という状況がどんなものなのか、再認識する必要がありそうです。

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2020年5月配信分
  • ドル円の異常なほどの下値の堅さはGPIFの買いが影響か(5/29)
  • 新型コロナでGDPの4割超世界最大の経済対策実施と盛りまくりの安倍首相(5/28)
  • 米国で想像以上に加速する法人・個人デフォルトの嵐(5/27)
  • 本邦個人投資家がリアルにイメージできないGDPマイナス25%の世界の危うさ(5/26)
  • 緊急事態宣言解除~でも本邦新型コロナ感染は収束したわけじゃない(5/25)
  • FXのスキャルピングは果たして高リスクの邪悪手法なのか個人投資家を助ける手法なのかという問題について(5/23)
  • やりたい放題の安倍首相大ピンチ~黒川検事長辞任で違法案件の検察による猛烈な逆襲が相場に与える影響とは(5/22)
  • モデルナのワクチン馬鹿騒ぎに見る完全なコロナバブル相場の茶番劇(5/21)
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  • 有権者インサイトを無視しすぎた安倍首相~トランプと比較しても超低能力政権で国は沈没してしまうのか?(5/19)
  • 新型コロナで世界が叩き始めた中国~一時的なジェスチャーか本格的な分断の始まりか(5/18)
  • 効率的で間違いないFXの証拠金管理について(5/16)
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  • 中央銀行が史上空前緩和で実現できるのはフェイクな株価のみ~コロナ大恐慌は1929年の世界大恐慌と大きく異なる状況を示現(5/12)
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  • 結局WTI原油先物の動向が最も経済と株の先行きを表しているという厳しい現実(5/6)
  • 市場が全く織り込んでいないもう一つのリスク~新型コロナ禍での新興国市場の崩壊(5/5)
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今市太郎の戦略的FX投資』(2020年5月26日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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