内閣府は4日、コロナ禍に対応する20年度第2次補正予算案について、物価変動の影響を除いた実質GDPベースで「2%の押し上げ効果がある」というにわかには信用できない疑惑の試算を公開しています。すでに4月に成立した第1次補正予算を合わせれば、プラス効果は6.4%に。これはどう見ても盛り過ぎの数字です。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2020年6月5日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
本当にGDPは増えるのか?
当メルマガでは定番の呼び名となっている疑惑の殿堂内閣府が4日、新型コロナウイルス感染症に対応するための2020年度第2次補正予算案について、物価変動の影響を除いた実質GDPベースで「2%の押し上げ効果がある」というにわかには信用できない疑惑の試算を公開しています。
すでに4月に成立した第1次補正予算を合わせれば、プラス効果は6.4%に。これはどう見ても盛り過ぎの数字です。
さらに現段階では何に使うのかはっきりしないのに予算に計上されている「10兆円の予備費」は、これには織り込まれていないといいます。
本当にこんなに大きな効果が出るのでしょうか?
すでに当メルマガでは触れていますが、今回の事業規模230兆円を超える規模のコロナ対策事業予算はGDPの4割超にあたり、「世界最大規模」と安倍首相は胸を張っています。
1次補正、2次補正と積み上げた一般歳出が「56.9兆円」程度ですから、1998年の小渕内閣が危急存亡の財政支出で真水40兆円を投入したのと比較しても、100年に1度の危機だから爆発的に大きな予算を組んだというわけではないのは一目瞭然。
しかも過去の財政支出の事例から考えても、経済が落ち込まないように支えるのが精一杯で、「トータルで6.4%もGDPを持ち上げる」などという話はまったく信用できない状況です。
しかも予算の執行を巡って実に不透明な業務委託先を無理やり選択していることが判明しはじめており、このコロナ対策がストレートに国内経済を浮揚することになるなどとはまったく思えません。
Next: 事業や業務委託費を大きく盛っては仲間内に発注する「お友達優遇」――
事業や業務委託費を大きく盛っては仲間内に発注する「お友達優遇」資本主義の実践
経済産業省から持続化給付金事業を巡って業務委託をされたペーパーカンパニーの一般社団法人が、電通に業務のほぼすべてを再委託し、さらに電通はそれを人材派遣大手のパソナに丸ごと外注していることが判明しています。
参考:持続化給付金、電通が業務を外注 パソナなどに、野党は追及強める – 東京新聞(2020年6月2日配信)
コミッションとしてどう見ても「安倍政権のお友達」企業が次々と絡む商流が発生し、その都度コミッションが引き抜かれるという、すさまじい搾取の構図が鮮明になってきています。
しかもこの実態のない社団法人は、そもそも経産省が定款作成に係わったという話も飛び出す始末。よくよく調べてみますと、年度以降、経産省の14件、総額1,500億円超の事業を受託し、その都度、電通やその関連会社、パソナなどが業務委託をうけては何もしないでさらに外注していた事実が判明しています。
結果、一刻を争う利用者がコールセンターに電話をかけてもまったくつながらず、中抜きは即日、資金の支給には猛烈な時間がかかるという、不条理な世界が延々と展開中です。
一説にはもう2021年の東京五輪が実施できないことがわかっていて、そのための救済資金として電通を間に挟んでいるのではないかという悪い噂も広まりつつあります。
嘘か本当かは判断のしようもありませんが、さもありなんと思う人々は相当多いのではないでしょうか。
こんな税金の使い方で国の経済が再成長するはずなどない
こうした極めて不信な事業委託費の設定は、新型コロナウイルス収束後に、国内の人の流れや街のにぎわいを創出し、地域活性化を図る官民一体の「Go Toキャンペーン」にも登場し、1.7兆円の総額の中で事業委託費に3,000億円も計上されている件も大きな疑問が生じています。
どうもこの政権を後ろで糸を引く経済産業省OB・現役官僚は、税金を仲のいい関係企業だけに平気で山分けするという、とんでもない官民一体の税金搾取が驚くほど進んでいることに呆然とさせられます。
これはよく見ますと、モリカケ・桜を見る会の事案とまったく同じように、仲間の企業や関係者だけ甘い汁を吸う「お友達優遇」資本主義が面々と継続しており、新型コロナ対策でもそのスキームがまんまとビルトインされていることがわかります。
巷では、コロナ倒産が足元でも200社超、雇い止めが1万6,000人超で、最終的には300万人以上が失業するかもしれないという危機的状況です。
それなのにやっていることがこれですから、どう見ても「トータルで6.4%の成長がはかられる」などという荒唐無稽な話を信じることはできません。
「電通の成長が6.4%」の間違いではないでしょうか?
Next: 今回の対策予算では、即時に対応できるようにといったまことしやかな理由――
日本経済の短期V字回復はありえない
今回の対策予算では、即時に対応できるようにといったまことしやかな理由から、使途をまったく制限されない10兆円の予備費も計上されています。
これが同じスキームのやり口のために使われる可能性は大で、ひどいとしか言いようがありません。
足元では経済状況も国の対応もそっちのけで、日本株を買い上げる個人投資家が跋扈(ばっこ)しています。
こんな国の経済が短期にV字回復などするわけはなく、むしろ二番底に向けて反転大暴落することのほうに注意したほうがよろしいのではないかと思う、情けない状況です。
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『今市太郎の戦略的FX投資』(2020年6月5日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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