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「大暴落は全値戻しさ!」何も疑わず株を買い漁る米ミレニアル世代の末路は?=藤井まり子

「バブルに乗り遅れたくない」と必死なミレニアル世代が牽引してどこまでも上がる米国株。ネガティブ材料は完全無視で、この8月がスーパーバブル到来の前哨戦になっています。バブルが弾けるのはいつでしょうか?(『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』藤井まり子)

※本記事は有料メルマガ『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2020年8月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

世代交代完了?暴落の記憶は失われ「スーパーバブル」がやってくる

引き続き、アメリカ株式市場の上昇が止まりません。

主導しているのは「手数料無料のロビンフッド」を利用する個人投資家たち(すなわち、若いミレニアル世代)で、彼らは「バフェット指数」などの投資理論を完全無視して、どこまでもアメリカ株を買い上げています。

熱狂とまでは行かないまでも、「今度こそはバブル行きのバスに乗り遅れたくない」という、若い世代の真剣かつ切実な思いが伝わってきます。

彼らミレニアル世代は、「2001年のITバブル崩壊」「2008年のサブプライムバブル崩壊」そして「今回のコロナショック」という3度の株価の大暴落と、そのいずれもが「FRBの政策」によって救済されたのを、まざまざと目の当たりにして大人になりました。

こうした経験が3度も続くと、多くの投資家は「株価は下がっても必ず戻る」と信奉するようになります。

彼らミレニアル世代を中心に、今のアメリカの投資家たちは、「長期投資は必ず報われる」との思想を天真爛漫に信じているのです。

当然、この「スーパーバブル」は、遠い将来、長期金利の上昇で「むごい終焉を迎える」わけです。しかし、その「スーパーバブルのむごい終焉の時期」は、まだまだ10年くらい先の、遠い将来のことだと私は考えます。

当メルマガでも、「来年(2021年)あたりには、そこそこ安全でそこそこ有効なワクチンの開発が成功し、早ければその半年~1年半後にはインフレが始まって、スーパーバブルが巻き起こる」と予測しています。

ちなみに、 一般には「投資家の間で世代交代が起きると『バブル』が発生しやすい」とも言われています。そのスーパーバブルの前哨戦が、「FRBの救済と株式の長期投資を信奉する」ミレニアル世代の手によって、すでにこの夏に巻き起きているのかもしれません。

「株価が下がるわけはない」調教済みのロビンフッダーたち

さて、アメリカ議会での「追加の財政刺激策の協議」が、想定通りに暗礁に乗り上げています。

民主党案と共和党案の間では、「とてもバカバカしい、度胸試し的なチキンゲーム」がいつもどおりに展開されています。

一方、トランプ大統領は、越権行為を犯して8月8日には大統領令に署名。大統領令により、失業給付金の上乗せ分については「週:400ドル」を給付するとして、株価の下落を防いでいます。

この「大統領令による上乗せ分(週:400ドル)」は、大統領個人の「非常時予算」によって賄われます。ところが、この「非常時予算」では、上乗せ分はわずか1か月半で底をついてしまう計算です。

こういった「追加の財政刺激策」についてのネガティブ情報に対しても、ロビンフッダーたちの強気派が席巻するアメリカのマーケットでは、ほとんど反応が起きません。

それどころか、ムニューシン財務長官は、民主党案への懐柔策として、「共和党案(1兆ドル強)と、民主党案(2兆ドル)の差額分である1兆ドル弱について、2021年以降の『ヘリマネ予算』として計上するという方法もある」と発言。 2021年以降もヘリマネ継続を示唆して、強気派を勇気づけています。

おかげで、アメリカ株価は上昇を続けています。

Next: 強気派を支えるのは、パウエルFRBの方針転換



イールドカーブ・コントロールの「導入期待だけで」市場は様変わり

今のマーケットの強気派たちを支えているのは、一言で言えば、「パウエルFRBの9月の政策変更への期待」です。

この期待は、「パウエルFRBが、9月には金融政策の新たな枠組みを発表してYCC(イールドカーブ・コントロール)を導入。2%を超えるインフレを巻き起こすだろう」といった内容です。

さらに詳しく言い換えると、強気派たちは、パウエルFRBは9月15日~16日のFOMCで「YCC導入でさらなる金融緩和策を強化」「2%を上回るインフレ政策への容認」と、大きく政策変更するだろうと期待しているのです。

このさらなる金融緩和策の強化「YCC」への期待で、市場の「アメリカ国内の期待インフレ率」は徐々に上昇、目下のところ1.66%まで上昇しています。

これに伴い、ドルが下落する一方で、市場のボラティリティ(変動率)は低下、株価が値上がりしているのです。YCCの導入期待だけで、マーケットは様変わりしているのです。

ヘリマネが続く限り米経済も安泰か

強気派たちの中には、「S&P500はこのままじりじりと上昇を続けて、年内には4,000ポイントまで行く」とする人々さえも現れています。

個人的には、年内にS&P500が4,000ポイントというのは、 あり得ないわけではないけど、さすがに無理だと思います。せいぜい3,400ポイントあたりではないでしょうか?こればっかりは分かりませんが…。

一方、8月7日発表の「アメリカの7月の雇用統計(商務省)」は、意外や意外、マーケット予測を上回る「良好な内容」のものでした。雇用統計に先立って発表された「7月のアメリカのISM製造業景況指数とISM非製造業景況指数」も、大方の予測を上回って「良好な内容」でした。

これら7月の経済統計の数々は、「アメリカ財務省がヘリマネを継続している限りは(そのヘリマネをアメリカFRBが援護射撃している限りにおいては)、アメリカ経済は穏やかながらも回復を継続する」ことを、強く裏付ける内容だったのです。

「良い情報は、悪い情報」? 期待だけがひとり歩きしている

ところが、スーパー金融相場では「良い情報は、悪い情報」です。

アメリカ経済の回復が穏やかながらも底堅いならば、9月のパウエルFRBは「金融政策の新たな枠組み(=YCC)」導入を急がなくてもよくなるかもしれないのです。

そもそも論として、FRBが「YCCと2%を上回るインフレ目標」の導入などの「金融政策の新たな枠組み」を導入するのは、伝統的に、年始めの1月であるのがほぼ恒例となっています。

今年のYCC導入の場合も、どんなに早くても「12月の正確なスケジュール予告」の後、「YCC実施は年明けの1月」からというのが恒例のはず。

「9月のFOMCで、パウエルFRBが『YCCなどの新たな金融政策の枠組み』を導入するだろう」という期待は、あまりにも性急過ぎる「期待だけのひとり歩き」ではないでしょうか。

もし、9月FOMCで、パウエルFRB議長がこういった「強気派たちの性急すぎるハト派的期待」を裏切るようなことがあれば、9月のマーケットでは波乱が巻き起こることでしょう。

Next: 「バフェット指数」は近いうちの大幅調整を予告している



「バフェット指数」は近いうちの大幅調整を予告している

一方、弱気派の代表は、知る人ぞ知る「バフェット指数」を信奉する人々や、ジョージ・ソロスなどの古株たちです。

ウォーレン・バフェットが編み出した「バフェット指数」は、バブル崩壊や大幅調整を予知するうえで大変優秀な指数としてつとに有名で、信奉する専門家は多いです。

すなわち、「一国の株式市場の時価総額がその国のGDPを上回ったならば、暴落や大幅調整は近い」とする指数です。この「バフェット指数」で、ウォーレン・バフェットは、2001年の“ITバブル崩壊”を予想できました。

そして今、「バフェット指数」は「今のアメリカ株式市場では、(2018年1月並みの)大幅調整が近い」と警鐘を鳴らしています。

夏枯れの8月は「秋の大暴落」の兆候か

今のグローバルな株式市場は、サマーラリーで沸きに沸いています。

しかしながら、過去を振り返ると「8月は用心すべき月であった」という例がとても多くなっています。8月は、金融史上最も物騒な事件が起きた季節の「前触れ」になることが多い月なのです。

1929年・1987年のウォール街暴落の前哨戦、1997年のアジア金融危機、1998年のロシア危機、そしてもちろん2008年のリーマン・ブラザーズの破綻の始まりなどなどです。

夏枯れの8月こそ、油断してはいけない季節なのかもしれません。

さらにさらに、新型コロナは風邪の一種なのですから、秋になれば「感染爆発」は必至だと思われます。スペイン風邪の時も、「第2波」は秋とともに襲いかかってきました。

「感染爆発」が起きれば、マーケットのセンチメントは急速に悪化します。

かくして、 強気派(大きな調整も起きることなく、バブルが形成されていく派)と、弱気派(大幅調整は近い派)が真っ二つに割れて対立する、「8月のコロナマーケット」となっています。

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【要注意】資産形成および投資は、必ず「自己責任」でお願いします。この記事は藤井まり子の個人的見解を述べたもので、当メルマガ及び記事を読むことで何らかの経済的及び精神的被害を被ったとしても、当方は一切責任を負いません。

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2020年8月配信分
  • ロビンフッド「スーパーバブル」の前哨戦か?大幅調整前の「嵐の前の静けさ」か?(8/18)
  • ロビンフッド「強気のミレニアル世代」VS「弱気のバフェット指数」(8/14)
  • ロビンフッドYCCの導入で株価は上昇する!「r>g」(8/11)
  • ロビンフッド「目一杯の高値圏」に来ているアメリカ株式市場~年後半の波乱に要注意!(8/7)

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image by:KeyStock / Shutterstock.com

藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』(2020年8月18日号)より一部抜粋、再構成
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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