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鉄板クレジットカードも紙くずに?コロナ時代のカード選び4つの新基準=岩田昭男

カード業界もコロナ禍で大打撃を受け、勝ち組と負け組の二極化が進んだ。今回はコロナ後の新しいカード選びの基準について、ケーススタディを交えて考えたい。(『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』岩田昭男)

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プロフィール:岩田昭男(いわたあきお)
消費生活評論家。1952年生まれ。早稲田大学卒業。月刊誌記者などを経て独立。クレジットカード研究歴30年。電子マネー、デビットカード、共通ポイントなどにも詳しい。著書に「Suica一人勝ちの秘密」「信用力格差社会」「O2Oの衝撃」など。

負け組・勝ち組がくっきり

カード業界はコロナの影響で、航空系や百貨店系などが大きな打撃を受けた。一方、アフィリエイトの方は回復が意外に早く、入会率があがり始めているサイトがあるといわれている。

ネットショッピングも好調のようで、どうやら業界は勝ち組と負け組の二極化が進んでいるといえるだろう。

そこで今回は、コロナ後の新しいカード選びの基準について、ケーススタディを交えて考えたい。

コロナ以降で変わったカード選び「4つの基準」

ウィズコロナ時代のクレジットカード選びは、これまでとかなり違うものになりそうだ。

<選ぶ基準その1:非接触カードに注目>

カードを選ぶ際に変わったのは、まず第一に、非接触カードが見直された点である。

貨幣や紙幣に付いたコロナウイルスが感染源になるという不安から、なるべくキャッシュレスを使おうという風潮になっている。

ただ、クレジットカードを使う際にレジで暗証番号を打ち込む方式では、ピンパット(暗証番号を入力する端末)にウイルスが付くといわれて敬遠されるようになった。

代わって、端末にカードをかざすだけで決済ができる「タッチ決済」が推奨されるようになっている。

<選ぶ基準その2:ほか決済ツールとのコラボ>

第2に、これからのカード業界は、「QRコード決済」や「電子マネー」など他のキャッシュレスツールとの連携が必要になってくる。

チャージするにせよ、ポイントを貯めるにせよ、特定のクレジットカードを持つと有利になるように設計され出した。

PayPayに対しては、Yahoo! JAPANカード。楽天ペイに対しては、楽天カード。Suicaに対しては、ビューカード。こういった組み合わせがはっきりと打ち出されている。

これを覚えておいて、 自分の経済圏に合わせて最適のクレジットカードを選ぶのが得策だろう。

<選ぶ基準その3:おトクから利便性へ>

第3に、サービスやキャンペーンが多岐に渡っているため、十分に研究して選ぶようにすることである。

これまでは還元率だけを見ていれば良かったが、今後は「おトクから利便性へ」とカード全体の方向性が大きくシフトしていくだろう。

予約から決済まで一気通貫で終わるサービスとか、AIを使って最適のカードを選ぶサービスとか、豪華な体験をサブスク(定額料金)で楽しめるサービスなど、いろいろ出てくるはずだ。

これまではある意味還元率オンリーで、その数字を見て判断すれば満足できるカードが手に入った。しかし今後、還元率は多くの特典の1つに過ぎず、これまでほどの力は持たなくなるだろう。

<選ぶ基準その4:カードの裏のストーリーを吟味する>

最後にもう1点。それぞれのカードの歴史というか、ストーリーを見て選ぶという視点も重要になってくるだろう。

これは新しい視点といえるが、クレジットカードといっても、使い勝手の良いカードもあれば、使い勝手の悪い(悪化が見えている)カードもある。使い勝手の悪いカードを選ぶと、改悪の波に飲み込まれたり、突然カード発行が中止されたりする。

自分が選ぼうとするカードは、自分にとって使い勝手が良いのか悪いのか。当たり前のことだが、ポイントだけではなく、そうした使い勝手で見極めることも必要になるだろう。

以上の観点から、1つのモデルを元に説明していこう。

Next: 雑誌の「クレカ特集」で1位のあのカードも、実はデメリットだらけ



新基準で高得点「Visa LINE Payカード」の場合

モノ雑誌などで、カードを特集する企画がよくある。最近「旬」になっているのが、スマホ決済をうまく組み合わせたクレジットカード選びだ。

その中でナンバーワンに押されているのが、「LINE Pay」と「Visa LINE Payカード」の組み合わせ。たしかに、この組み合わせなら「非接触」「利便性」などで満点に近い点数をはじき出せる。

とくに「最大3%」という高還元率に編集者たちは飛びついているようで、その多くがベストワンに推している。だが、筆者は手放しでは推薦できないカードだ。その理由を説明していこう。

「Visa LINE Payカード」は元来、「LINE Pay」を使う人のために開発されたクレジットカードで、先進的な特典を多く備えている。

まず、「Visa LINE Payカード」で買い物をすれば、最大3%という高還元率でポイントが貯まる(期間限定:2021年4月30日まで)。年会費は1,375円。初年度無料で、翌年以後は年に1回以上使えばその年も無料になる。

貯めたLINEポイントは、「LINE Pay」に紐付けておけばコンビニなど普段の支払いにも使えるというのが基本的なスペックだ。

しかし、実際のことを言うと、大きなデメリットもある。

それはクレジットカードとしての独立性が強すぎて、「LINE Pay」への奉仕(コラボ展開)が十分にできていないことである。前項の基準で言えば、(2)の「ほか決済ツールとのコラボ」の点数が足りないだろう。

クレジットカードが「LINE Pay」を十分にフォローしていない

例えば、「“LINE Pay”のためのクレジットカード」と言いながら、一方で、このカードの最大の特徴は「Visaタッチ決済ができる」ことを強調している点である。

タッチ決済というので、筆者は最初、「LINE Pay」に「Visa LINE Payカード」を紐付ければ、スマホでタッチ決済ができるようになるものと信じていた。しかし、それは無理な話だと分かった。

タッチ決済は、「Visa LINE Payカード」つまりクレジットカードを使うときだけに機能するサービスであり、「LINE Pay」にもスマホ決済にも無関係なものだったのだ。

タッチ決済も通知機能もクレカ側の機能

さらに、買い物した内容の通知が「LINE」アプリに送られてくるのは、「LINE Pay」で買い物した履歴だけとなっている。

「Visa LINE Payカード」で買い物した履歴は、三井住友カードのサービス「Vpass」でしか確
認できない。あくまで「主」はVisa LINE Payカードの方で、LINEは「従」の関係なのだ。

これにはさすがに多くのユーザーから批判の声が上がったため、現在、「LINE」アプリへの転送を準備しているとのことである。

Next: 不便すぎるLINEポイント。結局「利用者第一」のカードが勝ち残る



「Visa LINE Payカード」側の買い物には、「LINEポイント」は使えない

さらには、貯めた「LINEポイント」が使える場面も限られている。ポイント交換ができる相手が少ないこともあるが、ポイントを使って買い物ができる実店舗は「LINE Pay」経由の場合に限られるのだ。

その一方で、Visa加盟店でのカードショッピングとVisaタッチ決済とiD支払いでは、貯めた「LINEポイント」を消化できないというからこれは驚きである。

「Visa LINE Payカード」関連はほとんど三井住友カードの領分になっており、そちらが優先される。これではいくら高還元で「LINEポイント」が貯まるといっても、使い勝手が悪くてしようがない。この辺も改善する必要があるだろう。

こうしてみると、このクレジットカードは「“LINE Pay”のためのカード」と言いながら、その目線は発行元の三井住友カードと、その奥に控えるビザ・ワールドワイドの方を向いているといえるのではないだろうか。

「利用者第一」のカードが成功する

今後は、キャッシュレスの種類が増えるにつれて、業界内部の動きも弱肉強食の度合いが増して複雑になっていくであろう。

今こそカード発行者は、「利用者第一」の姿勢で公正に対応してほしい。正しい情報をしっかり開示してほしい。

利用者にどこまで寄り添っていけるのか。それを試される時代になってきた。

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    image by:Narith Thongphasuk / Shutterstock.com

    達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』(2020年8月15日号)より一部抜粋
    ※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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