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電通が目論む「情報銀行」構想の衝撃、個人情報保護よりも「活用」重視の恐ろしさ=岩田昭男

リクナビが無断で学生の内定辞退率予測データを販売して大問題になりました。個人情報保護が注目されるなか、今度は電通が危険な「情報銀行」構想を練っています。(『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』岩田昭男)

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プロフィール:岩田昭男(いわたあきお)
消費生活評論家。1952年生まれ。早稲田大学卒業。月刊誌記者などを経て独立。クレジットカード研究歴30年。電子マネー、デビットカード、共通ポイントなどにも詳しい。著書に「Suica一人勝ちの秘密」「信用力格差社会」「O2Oの衝撃」など。

第2のレアメタル「個人情報」に群がる日本企業たち、筆頭は電通

日本人は「個人情報をどう守るか」

8月28日、埼玉県の浦和でNPO法人「埼玉消費者被害をなくす会」が主催する一般消費者を対象にした学習会で、私は「キャッシュレス社会と信用格差社会」をテーマにした講演を行いました。参加者は80人ほどで、大半は中高年の女性でしたが、最近のキャッシュレスブームもあってか会場は熱気に包まれ、皆さん熱心に私の話に耳を傾けてくれました。

講演の前半は「キャッシュレスとは何か」、後半では「キャッシュレスと信用格差社会の関係」について述べました。

とくに、信用スコアというものがどうして生まれたのかということと、それに派生して生まれた信用格差社会について詳しく説明しました。さらに、各国の個人情報の保護の意識について比較し、とりわけ日本人の意識のありようについて触れました。

ヨーロッパでは昨年5月に、GDPR(General Data Protection Regulation=一般データ保護規則)が施行されました。このGDPRが提唱しているところのデータポータビリティーの権利、つまり、自分のデータ(個人情報)をある管理者から別の管理者に直接移行させる個人の権利、あるいはデータを削除する権利、データ処理に関して異議を述べる権利などについても詳しく説明しました。

そして、GDPRで認められたような権利をきちんと行使するため、日本でも「情報銀行」という新たなコンセプトを持った企業が生まれ、活動を開始しています。しかし、この情報銀行には問題が多く偏った運営が計画されており、それに対して多くの批判が寄せられています。こうした動きも紹介しました。

最後に、こうした状況のなかで、個人情報をどのように守るかについて話をしました。

そこで、ここではこの講演の内容を踏まえて、キャッシュレス社会が進んでいくと企業の在り方がどう変わっていくのかを、いろいろな側面で見ていきたいと思います。

リクナビが個人情報を勝手に売り払った背景

まず大きな変化として起きるのが、「クラウド会計」が盛んになるということです。クラウド会計とは、クラウド会計ソフトを使って企業が簡単に会計を行うことです。

キャッシュレス決済とクラウド会計がどのような関係にあるかといえば、たとえばキャッシュレス決済によってデジタル化された情報をクラウド会計ソフトに落とし込んでいけば、税務署に提出する報告書などが簡単にできるようになります。事務処理の時間が短縮されるだけではなく、正確な事務処理が可能になります。

こうした点が、目に見えるかたちでのキャッシュレス決済の成果のひとつといえるでしょう。

もうひとつは、スマートフォンの活用です。スマホの活用によってさまざまな部分での「見える化」が進みます。そのことでまず、アプリの活用という変化が起きます。今、それこそ数えきれないほどのアプリが生まれていますが、それらを使って私たちの生活を豊かにすることができます。そこに決済をかみあわせれば、これまでにないかたちで日々の暮らしが変わり、改善されていくでしょう。

ただ最も根本的な変化といえば、個人情報の取り扱いではないでしょうか。たとえば、私たちの氏名、年齢、職業から始まり、いまや購買履歴、健康情報などが知らないうちに売り買いされているという状況が、キャッシュレス化によってさらに促進されるのではないかという心配があります。

先日も、就職情報サイトの「リクナビ」が内定辞退率予測データをトヨタ、ホンダなどの大手企業38社に約400万円で売っていたという事件が発覚し、大きな問題になりました。

リクナビが学生に無断で内定辞退に関するデータをつくり企業に提供していたということで、学生本人の同意を得なかったことが問題になったのですが、この背景には、私たち日本人がこうした企業側の行いを無意識のうちに許しているという問題があります。

今後、キャッシュレス化がさらに進んでいき、日本社会全体の個人情報に対する意識が希薄であり続ければ、同様の事件が頻繁に起こるようになるでしょう。

Next: 個人情報と引き換えにわずかなキャッシュバックを得る消費者たち

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