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電通が目論む「情報銀行」構想の衝撃、個人情報保護よりも「活用」重視の恐ろしさ=岩田昭男

個人情報と引き換えにわずかなキャッシュバックを得る消費者たち

このことを、私が最初に考えるきっかけになったのが、いわゆる「信用スコア」です。

現在のクレジットカード、電子マネー、QRコード決済などのキャッシュレス決済のポイントサービスは、還元率を中心にした「おまけ」という要素を強く打ち出すことで顧客の囲い込みを図っています。

そうした「性質」のポイントが、いま個人情報を得る「代価」へと変わってきていると思います。ポイントを提供するからあなたの購買履歴を売ってくれとか、Tポイントなどはそうですが、そうしたサービスがどんどん出てきています。

ポイント還元率の競争の時代は終わり、個人情報争奪戦の時代が始まったといえるでしょう。

信用スコア社会のアメリカ

その主役となるのが信用スコアです。信用スコアとは個人情報を使って個人の信用を分析するサービスのことです。キャッシュレスが進めば、このサービスの提供がどんどん可能になります。

キャッシュレスによってクレジットカードの取引が増えることで、アメリカでは、エイファクス、エクスペリアン、トランスユニオンの三大情報信用機関があって、そこに国民の金融情報が集まる仕組みになっています。その情報を分析して、スコアリングして売っている、それが現在のアメリカの信用情報機関です。その個人情報が、アメリカ人の信用を計る物差しになっています。

クレジットカードの返済履歴を使った偏差値が信用スコアといっていいのですが、その元祖がクレジットスコアです。クレジットスコア、これはFICO(ファイコ)スコアとも呼ばれますが、1990年代にアメリカで誕生したもので、クレジットカードの返済履歴をもとに金融工学を駆使して偏差値を出し、利用者一人ひとりの信用度を示すというものです。

具体的にいえば、300点~850点で格付けし、企業や個人に自由に売られており、この点数が個人の生活を大きく左右する指標となっています。

もう少し詳しくいうと、社会保障番号と紐づいて、個人の信用力を表すものになっています。ここが重要ですが、750点以上が「Very Good」でプライム層、650点以上が「Good」で普通、649点以下がサブプライム層となり、信用力のない人に分類されます。

プライム層は、「延滞の可能性は22%と少なく、深刻な支払い不能になる確率は1%とさらに低い」といわれています。つまり、経済的に安定していて危機的状況に陥ることはない人たちということです。

Next: 高スコアの友人を持て?リーマン・ショックをもたらした格差社会が日本にも

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