国内11年ぶりのオーロラ観測の裏にあった大停電の恐怖

オーロラ
 

北海道で11年ぶりのオーロラ観測!太陽嵐がもたらした強度「G4」の磁気嵐

『週刊 サイエンスジャーナル』2015.4.11号より一部抜粋

3月18日未明、日本でオーロラが観測された。北海道の北の夜空がうっすらと赤く染まった。オーロラは、太陽から飛来する磁気と電気を帯びた粒子が大気中の粒子と100km以上の上空で衝突し、美しく輝いて躍動するのが見える幻想的な現象である。

北極や南極に近い高緯度でよく出現するが、日本のような中低緯度では珍しい。今回は名寄市で観測され、国内では2004年11月の北海道下川町以来11年ぶりだった。肉眼では見えなかったが、なよろ市立天文台の職員の中島克仁(なかじま かつひと)さんが写真の撮影に成功し、公表している。今回のオーロラはひじょうに淡く、人間の眼では見えなかったようだ。

今回のオーロラの原因は、活発化していた太陽の活動領域で、15日10時ごろにコロナ質量放出(CME:太陽ガスの放出現象)が起こり、プラズマ粒子が地球に到達して、3月18日に発生した磁気嵐による。

太陽嵐は「太陽の津波」ともいえる現象だが、2度の爆発は1つの巨大な塊となり、太陽から地球まで1億5000万キロの距離を移動して、日本時間18日午後1時30分に地球を取り囲む磁気圏に入った。

磁気圏が乱れて発生した磁気嵐は、米国海洋大気庁のNOAAスケールでレベル「G4」とされ、2013年秋の太陽嵐以来、最も強いものとなった。

NOAAによると、磁気嵐の強度はG1(小さな)からG5(極端に大きな)までのレベルがありG4はG5に次ぐ強さ。太陽活動の周期11年の間に100回ほど発生するとされている。太陽は膨大なエネルギーや荷電粒子を宇宙空間へ放出するが、地球は磁場により太陽嵐の影響から守られている。

影響としてはまず、電力網に障害をもたらす可能性がある。実際、過去にはそうした障害が生じたことがある。1989年3月、強力な磁気嵐によりカナダ、ケベック全州の電力網が遮断され、市民が12時間にわたる停電を経験した。

電離圏を移動する低軌道衛星に重大な支障が出る可能性がある。地球の電離圏は太陽嵐の影響を強く受け、嵐のピーク時にはイオン密度が高くなるからだ。ただし、国際宇宙ステーションの宇宙飛行士らに危険はないとされる。

テレビ信号には影響はないが、強度によってはGPS(全地球測位システム)データの受信が阻害され、GPS機能の精度やスマートフォンの使用に問題が生じる場合がある。アマチュア無線の信号は電離層で反射させて遠距離通信を行うため、影響を受ける場合がある。

磁気嵐の発生時には、通常よりも低い緯度にオーロラが出現することが多い。17日には、夜明け前に米アラスカ州、ワシントン州、ミネソタ州、ウィスコンシン州、ノースダコタ州およびサウスダコタ州で天体観測者らがオーロラを確認したと報告している。

 

『週刊 サイエンスジャーナル』2015.4.11号より一部抜粋

【2015.4.11号】
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6.北海道で11年ぶりのオーロラ観測!太陽嵐がもたらした強度「G4」の磁気嵐

 

『週刊 サイエンスジャーナル』

著者/なみ たかし
大学でライフサイエンスを学ぶ。現在/理科教員/サイエンスコミュニケーター/サイエンスライター。メルマガでは毎日の科学ニュースをもとに、最新科学やテクノロジー、環境問題や健康情報など、役に立つ科学情報をわかりやすく解説。
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image by: なよろ市立天文台

 

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