【法律相談】避妊せず性行為のあと、別れた彼女が慰謝料を請求してきた

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法律関係のお悩み事なら何でもおまかせの無料メルマガ『知らなきゃ損する面白法律講座』。今回ご紹介するのは、別れた彼女から慰謝料を請求されて困っているという、30代男性からのご相談……ていうか先生もおっしゃってますが、弁護士よりもまず先に、彼女とよく話し合いをしないと。

別れた彼女からの慰謝料請求は認められる?

□相談□

付き合い始めた翌日に、お互い同意の下、コンドームしないセックスをしました。その一週間後に、価値観の違いから、別れを切り出しましたが、彼女は別れたくないとごねております。そんな彼女の主張を無視していたら「別れるなら裁判しましょう」と急に言ってきました。

彼女の主張としては、「ゴムをせずにセックスしたものの、した日からどうも体調がおかしい。不安で病院にも通い始めたし、精神的苦痛を感じている。別れたいなら、この精神的苦痛に対する慰謝料を請求したい」とのことです。

この請求は認められるものなのでしょうか? (30代:男性)

 

□回答□

結婚をしていない男女間において、慰謝料請求が認められるケースは限られているという点をまずはお伝えしたいです。

具体的なパターンとしては、

1.恋人関係にあったが、交際状況が変質し、ストーカー行為などをするようになり普段の生活が脅かされた場合
2.喧嘩して相手方から暴力を振るわれた結果、怪我をした場合
3.嫌がっているのに、性行為を強要された場合
4.性行為の結果、妊娠が発覚した後、相手方からないがしろにされた場合

などが挙げられます。これがすべてのパターンではありません。代表的な事例とお考えください。

上記のように、慰謝料請求が認められるのは、ストーカー行為や暴力によって明確な権利侵害(身体や生活の安寧を脅かされた場合)がある場合と言えるでしょう。

少し例外的なものは、妊娠発覚後に相手方を故意に無視するなどして、対応を拒んだパターンです(裁判例では、妊娠の結果、堕胎した事例において堕胎に伴う不利益は男女が平等に被るべきものだが、これを女性にのみ負担させたのはおかしいとして、女性から男性への慰謝料請求を認めたものがあります(東京高判平成21年10月15日))。

今回のご相談内容は、避妊具を用いずに性行為に及んだことが精神的に苦痛となったから慰謝料を請求する、というものです。これまで述べたように、性行為が無理矢理であったら慰謝料の可能性もありますが、合意のもとであったということですから、特段慰謝料請求が認められることは考えづらいと思われます。

したがって、基本的にご心配されることはないと考えます。もっとも、気持ちよく次の恋愛に進むためにも、彼女様と真摯に話し合い、双方納得の上しっかりと別れられたほうがよいのではないかと考えます。

[関連情報]
・別れた彼女が中絶し、多額の請求をされた!

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