排ガス不正か、クルマの未来か…新聞各紙は東京モーターショーをどう見たか?

※写真はイメージです
 

【東京】トヨタだって、他人事じゃないよ!

【東京】は2面の解説記事「核心」で、見出しを「エコカー 日高欧低」とした。リードは、日本の各メーカーが燃料電池車などの次世代エコカーを披露するのに対して、欧州勢が得意なディーゼル車はVWの不正問題の余波で存在感が低下。事件は日本勢への追い風になったが、「VWの深刻な不正は自動車業界そのものへの不審を招きかねない怖さもある」と警告を発している。

記事の中では、日本の各メーカーが出展する車についての記述の後、VWの乗用車部門を統括するディース氏が謝罪したこと、日本で予定していたディーゼル車の販売を後ズレさせることなどを書いている。記者に囲まれている様子の、ちょっと悲しげなディース氏の顔を写した写真も掲載されている。

さらに、エコカーの開発競争で日本勢が優位にたつとの想定をした上で、「電動化技術を軸に、自動車業界で提携が進む可能性がある」と専門家は言う。だが、VWの不正によって、「メーカーがズルをしているようなイメージがなんとなくできてしまわないか」との懸念があるとも。最後に「燃費性能などは、より実態に即したかたちで明示していく必要がある」と専門家の提案で締めている。

uttiiの眼

《毎日》が示したVWの排ガス不正事件の大きさを、《東京》はさらに、日本のメーカーにも跳ね返ってくる問題として大きく捉えた記事になっている。この観点は《朝日》、《読売》には全くない。

トヨタが次期プリウスで誇らしく主張する「リッター40キロ」は、なかなかオーナーが実感できる数字ではないだろう。そのことを、《東京》が取材した専門家はやんわりと指摘しているわけだ。きつい言い方をするなら、消費者を騙しているのはVWだけではない、ということになるだろうか。

image by: bankerwin / Shutterstock.com

 

uttiiの電子版ウォッチ』2015/10/28号より一部抜粋

著者/内田誠(ジャーナリスト)
朝日、読売、毎日、東京の各紙朝刊(電子版)を比較し、一面を中心に隠されたラインを読み解きます。月曜日から金曜日までは可能な限り早く、土曜日は夜までにその週のまとめをお届け。これさえ読んでおけば「偏向報道」に惑わされずに済みます。
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