AIIB事件前の状況2~ウクライナ問題とイスラム国
さて、シリア戦争ドタキャンの2か月後、今度は欧州ウクライナが騒がしくなってきました。親ロシア・ヤヌコビッチ大統領に反対する大規模デモが起こった。2014年2月、革命が起こり、ヤヌコビッチは失脚します。
これ、「陰謀論」でもなんでもなく、アメリカがオーガナイズしたのです。なんといっても、「オバマさん自身」が認めていますから。証拠はこちら。
● オバマ大統領 ウクライナでの国家クーデターへの米当局の関与ついに認める
動画はこちら。
● Brokered it & broke it: Obama on Kiev deal that paved path to bloodshed
2014年3月、ロシアはクリミアを併合。これで、アメリカの最重要ポイントは欧州にシフト。最大の敵はプーチン・ロシアになりました。
しかし、「ロシア憎し」の情熱も長つづきしませんでした。同年8月、アメリカは「イスラム国」への空爆を開始しています。以後、アメリカの視線はプーチン・ロシアとイスラム国をいったり来たりしていました。
AIIB事件の衝撃
アメリカの「戦略重要地域」は、欧州、中東、アジアである。しかし、2013~14年の動きを見ると、アメリカは中東と欧州(ウクライナ)で戦っている。アジアには視線がむいていないことがわかります。
ところが、2015年3月、すべてを一変させる「AIIB事件」が起こった。
毎回書いていますが、親米国家群、具体的にはイギリス、ドイツ、フランス、イタリア、イスラエル、オーストラリア、韓国などなどが、中国主導「AIIB」への参加を決めた。しかも、アメリカが「入らないよう」要求していたにも関わらずです。
「親米国家群が、アメリカのいうことではなく中国のいうことを聞く!!!!!!」
これはつまり、「アメリカではなく中国が覇権国家になりつつあること」を示していました。「AIIB事件」で、アメリカの「主敵」は、「プーチン・ロシア」「イスラム国」から、中国にかわったのです。
【参考】AIIB進撃の中国に、アメリカが宿敵・ロシアと和解する可能性が浮上
4月末、安倍総理の「希望の同盟」演説で、「日本は味方」であることを確信したアメリカ。5月から、中国の「南シナ海埋め立て問題」をバッシングしはじめました。
これ因果関係が重要です。
「AIIB事件(原因)があったから、南シナ海埋め立てをバッシングしはじめた(結果)」
決して、「中国が国際法を無視しているから、バッシングを開始した」のではない。それが証拠に、中国は、「2013年」から埋め立てを開始しています。アメリカは、事実上2年間、中国の動きを無視していた。つまり、「AIIB事件」で衝撃を受けたアメリカが、「南シナ海埋め立て問題」を「口実」にして「中国バッシング」を開始した。
こういう「因果関係」です。