NHKのヤラセと政治の圧力、BPO検証を新聞各紙はどう伝えたか?

 

【読売新聞】伝えない事による政権・与党擁護

【読売】は《朝日》同様、1面の左肩に記事を置き、関連は3面の解説記事「スキャナー」と38面。

1面記事の見出しは「BPO「重大な倫理違反」」「NHK演出「事実を歪曲」」。見出しの通り、基本的には論点1のみの記事。最後の方に、「…また、総務相がNHKに文書で厳重注意したことや、自民党情報通信戦略調査会がNHK幹部を呼んで説明させたことについて、「放送の自由とこれを支える自律に対する政権党による圧力そのもの。厳しく非難されるべき」とした」とだけ紹介。それ以上の言及なし。

3面の解説記事「スキャナー」の見出しは「報道の許容範囲逸脱」。全体がNHKの当該番組について攻撃する内容の記事。つまり、論点1のみ。メディア法研究者、立教大学の服部孝章教授は「倫理違反」に留めず、踏み込んで「捏造」と位置づけるべきだったとBPOに注文を付けている。

38面の見出しは「NHK 再検証予定なし」。800字ほどの記事は、NHKの対応に絞られている。論点1がほとんど。最後に総務相に対する批判があったことに対して、高市総務相が「一刻も早く再発防止体制を作ってほしいとの強い思いから行政指導文書を作成した。指摘は当たらない」との談話を発表した旨。ここが僅かながら論点2。

《読売》は全体にほとんど総ての紙幅を論点1に宛て、論点2についてはBPOの指摘部分を付け足し的に書き記すか、高市大臣の反論を付けたりする程度で、問題としては無視したに等しい。

uttiiの眼

「あからさまな政権・与党擁護の姿勢」と書けば、言い過ぎではないかと評価する向きもあるだろう。だが、このような形で重要な論点を事実上ブロックし、読者の関心から遠いところにおく姿勢は、巧妙に、しかし、あからさまに政権と与党を擁護しようという姿勢に変わらない。38面記事の下には「BPO検証委 意見の要旨」なるものも掲載されている。ここは完全に論点1のみの要旨となっていて、論点2は完全にオミットされている。ここに《読売》の報道姿勢が凝縮されている。

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